故郷

だれもが

心の中に抱く想いがある

安心という名の平穏を

安全という名の安らぎを

心から望み、糧にして

その先へと進みたがる


波の音を耳で感じ

風の香りに心を躍らせる

陸でも海でもないその場所で

私は生まれ

そこで死んでゆく



その先に見るのは

新しい平穏と

心からの不安と

すこしの懐かしさ


彼のものは空を飛び

またあるものは海を渡る

私はこの地に体をうずめながら

過去を聞き 未来を見る


心踊るほど

期待するほど

希望を見出すほど

先に進む足枷となるものがある


私は知らない

この地が日に日に小さくなっていることを

私は気づかない

私の周りの命が削られてゆくことを


先をはばむ安定は

時に牙を持ち

爪を立てて

その場に止まらせようとする

それはまるでモンスターのように

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夜の森 熊野一白 @kmomoyo

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