応援コメント

夫に欠けていたものとは──「初雪 Première Neige」」への応援コメント


  • 編集済

    今のところ私が持っている「モーパッサン短編集I」に収載されている作品は出てきていませんが、青空文庫で「首飾り」とこちらの「初雪」を読むことができました。翻訳者の和訳も上手いのだと思いますが、情景描写が細やかで物語の展開も面白く、読み応えがあり、さすが、フランス自然主義の代表作家としてよく知られているだけあると改めて思いました。

    それで、こちらの「初雪」について、妻の側について考察してみましたが、妻は暖房をつけて欲しいがために風邪をひこうと裸同然で雪の中を素足で歩いていきますが、この行動事態はもはや気が狂っているとしか思えませんが、暖房をつけたいという願望を叶えるための夫に対するあてつけでもあり、夫も妻もお互いのことを分かり合おうとする気持ちが微塵もない夫婦の典型のようにも思いました。現代では価値観の違いで別れる夫婦が多いようですが、現代ならとっくに別れてるのではないかと思ったりもしました。

    作者からの返信

    中澤さん、コメントありがとうございます。
    青空文庫をちょっと覗いたことがあるんですが、その時は日本語が古くて読みにくかったです。きっと新訳がどんどん出ているんでしょうね。原作の細やかな上手さはここでは書けないので、実際にお読みになったご感想はとても嬉しいです。
    この「初雪」は風景の描写とそこで暮らす妻の心情が重なって、病んでいく心がよく伝わりますよね。突然雪の中を歩くと突拍子もないですが、それまでの蓄積があっての行動だと、それしかなかったのだと納得させられてしまう。当てつけと抗議のため自分の体を犠牲にするとか、平行線の結末ですよね。離婚が難しかった時代ならではの犠牲なのかもしれません。

    こちらにも沢山の☆を下さり、また励ましを頂きました。感謝に尽きません。ありがとうございます!m(__)m


  • 編集済

    柊さん、こんにちは。
    この夫は「思いやりの心」が全くないわけではないのですが、寒さに強く、アウトドア大好き人間で、寒がりに対する「思いやりという器」の容量が小さいのですよね。私は今、「世界を変える運命の恋」を書いているところで、軸になるのが「(青年の相手に対する)思いやり」です。思いやりのやさしい心って、生まれつきなのでしょうかね。

    さて、この女性のほうは、日本人に似ていると思いました。夫のほうには「暖房を買ってください」とは言ってはいるのですが、本人が思っているほど、メッセージは伝わってはいないのでしょう。でも、夫から「風邪をひいたことがないじゃないか」と言われた一言がぐさりときて、雪の中に胸までつけてしまうという大胆なことをします。
    外国の女性は(概して)いつも口論しているので、離婚しても、友達関係になれたりする場合が多いと聞きます。日本人女性の場合には、耐えられるところまでじっと耐えますが、ある時、それが切れて爆発して、それっきり。離婚したら、二度と会いたくもないというケースが多いと聞きます。夫のほうは、今までうまくいっていたはずなのにと茫然とするみたいですが・・・・。

    私が先生の小説をもとに何かを書くとしたら、こんなふうにしたいです。
    あったかい南フランスに療養に来ている女性がいます。彼女は死期が近く、両親は死に、子供もできなく、悲しい運命なはずなのに、とても幸せそうです。
    なぜなの、と私(著者)は思います。
    でも、「パリが初雪」だと知ると震え、夫からの手紙がきても、迷惑そう。「急いで帰ることはない。ゆっくり療養しなさい」というやさしい手紙なのに。
    それを不思議に思った私が、彼女のことについて書く、というストーリーに(笑)

    作者からの返信

    九月さん、コメントありがとうございます。
    そうですね、思いやりがないというより、自分に理解ができないことに気持ちが行き届かないんでしょう。こういうタイプはフランスに多い気もします。(というか多分日本以外の国の人ってこういう風ではないでしょうか)
    相手に対する気遣いの方向性が日本と他の国では違うかも。
    自分が求めることはその場ではっきり言わないと通じない、これは日本の「察する」のとは正反対ですね。たしかに最後まで溜めこむ奥さんは日本人ぽいのかもしれません。
    ズレたものを修正するのにどちらかが極端な行動に移らなければならないなら、最初から無理な二人だったのかも、とも思えます。
    九月さんの二次創作だともうひとりの目線があって、客観的に二人をとらえることができそうですね。この短編だとモーパッサンは若干奥さん寄りに描いているように見えます。

  • 柊圭介様

    柊圭介様がお住まいのフランスの冬の厳しさや夏の暑さは、日本と比べてどのように違うのでしょうか?
    地域によっても、年齢、性別によっても感じる気温は個人差があると思います。
    男性と女性では特に夏のエアコンの設定温度はかなり差があるようです。自分は盛夏には16℃くらいが丁度良いです💦
    妻が身体を張ってまでも得たかったのはカロリフェールだけでなく「相手を思いやる心」という心の温かみだったのですね。それが夫にはなかった。悲し過ぎるお話です。
    モーパッサンのこのお話…高校の現国の教科書に載っていたんですよ。当時はあまり深く考えませんでした(;´∀`)
    柊圭介様のエッセイで初めて深い意味を学びました。
    ありがとうございました!

    作者からの返信

    読み進めて下さりありがとうございます。
    全体的にいうとヨーロッパは湿度が日本よりかなり低いですね。なので夏は日差しがきついですが過ごしやすいです。あと昼と夜の温度差もふり幅が大きいですね。
    秋から冬は寒さもそうですが天気がずっと悪いです。
    それから日照時間が夏と比べて5時間ぐらい減ります。なのでかなり暗いです。
    この話はノルマンディーが舞台ですが、寒さに加えてこの日照時間の短さや悪天候もこの妻の精神に大きく影響したんじゃないでしょうか。慣れない人間だと鬱っぽくなってしまうと思います。だからこそ夫の優しさが必要だったはずですが、分からない人には通じないという……。その象徴が暖房だったのかなと思います。
    教科書に載っていたんですね。大人になってから分かるって話、けっこうありますよね。
    こちらこそ、ご感想頂き嬉しいです。ありがとうございます!

  •  「暖房」が「相手を思いやる心」……成程です。
     まるで寓話のような教訓が含まれているような気もします。夫に「相手を思いやる心」があれば、彼女はもう少し幸せな生活が出来たかもしれないですね……。

    作者からの返信

    作家が意図しているかは分からないですが、メタファーとして解釈できる小道具も色々あると思います。社会風刺や人間の本質を皮肉に描くのがとてもうまいですが、そこを教訓と捉えるのも読み方の一つでしょうね。
    この夫婦はすれ違うべく一緒になったような気もします。こういう終わり方もやるせないですが……。

  •  寒い地方に住んでいたので、描写が身に染みました。主人公の取った行動も、追い詰められればそうなるかなと不自然さはありませんでした。
     シベリアに抑留された日本人の中には、わざと凍傷を負って労働を逃れようとした人もいましたし。
    青空文庫で予習したのですが、文意が理解できず、最後のほうがよくわからなかったので、読んですっきりしました。主人公がどこにいるのか分からなかったのです。

    作者からの返信

    こちらにもコメントをありがとうございます。

    妻にとってこの生活は鬱になる材料が多すぎましたね。寒さというのは心を侵食しますよね。突飛に見える行動も、それまでの積もった感情があるだけに納得します。

    青空文庫は読んでみたことがあります。ちょっと翻訳が古いですよね。不明なところがはっきりしてよかったです。

  • お互いにもともとは悪気などないのに……この価値観の違い。
    語って通じる話でもないので、ひとこと「不幸」としか言い表せません。
    雪も辛いですが、雨の中には鬱を誘うものもあるような気がして、奥さんが風邪を引こうとした行動も正気ではなかったですね。>_<

    作者からの返信

    そうですね、価値観の違いは話して通じるものではなくて、感覚的なものなのかも知れません。呑み込まざるを得ない側が追い詰められて鬱になっていくのも無理もないですね。奥さんのとった行動は思いつめたようにも思考停止にも見えます。最後まで平行線のままの夫婦は不幸な結婚だったとしか言えませんね。

  • 柊さんに、ゆいそわちゃんと三回も呼んでもらえてHAPPY♡元気いっぱい!エネルギッシュになりましたよ。ありがとうございます。嬉しかったです!(^▽^o) ルンルン♪

    さて……寒い。凍えそうなほどに寒い。なのに暖房をつけてもらえない……。
    ( >д<)、;'.・ヘックション!あ、思わずくしゃみが笑。
    女性は基本的に冷え性ですからね。私も寒いの嫌だわー。私の経験上、思いやりの欠けている人に思いやりの心をもってもらうことって無理な気がします!どんなに言っても分からない。諦めるしかない。現代だと「でもこの人と結婚しようと決めたのは私だから……」って思えますが、見合い結婚だと心の持っていきようがないですね。
    不幸な女性の一生を垣間見た気分です。

    作者からの返信

    ゆいそわちゃんこちらも読み進めて頂きありがとうございます。エネルギー補給になって嬉しいです ^^

    この話はなんかこう、虚しさが大きいですよね。
    「思いやりの欠けている人に思いやりの心をもってもらうことって無理な気がします」そうですよね、思考回路にないことを求めるのは無理です。
    恋愛結婚と見合い結婚、どちらが諦められるか僕には分かりません。逆に見合い結婚の方が自分の決断じゃない分、人のせいにできるというか。選択肢のないこととして諦められるのかな、とも思いますが、どうでしょう。
    命を削るまで思いつめる女性だったのが気の毒です。このペアは組み合わせも悪かったですね…。
    ゆいそわちゃんは暖かくしてお過ごしください。

  • これはまた、見事に恐ろしくも悲しいお話ですね。心がきゅっとするような。
    このお話の恐ろしさは、この夫が、実はどこにでもいるような、ごく『普通』の男であろうということ。
    人間というのは、その実、なかなか自分のフレームからは抜け出せないもの。
    『そんなことは普通』『これは当たり前』となんらの疑念もなく、自分の世界を押し付けあう存在なのかもしれません。
    相手と自分とを置き換えてみる、それはなかなかに難しいことではありますが。心したいものです。(なので私は常々自らを変態であると自認してやまないのです、嘘です、単に真実変態なだけです!)

    作者からの返信

    呪文堂さん、ありがとうございます。
    なんというか「日常」なんですよねこの話は。特別な事件ではないけれど、おそらく我々にも身に覚えがあるじわじわとした痛さがありますね。妻の取った行動はそのじわじわに追い詰められた者の最後の手段だったような。
    つい夫を責めがちに読んでしまうけれど、誰かと暮らしていると自分もきっと相手に自分の価値観を押し付けているのだろうと思います。
    真実変態、いいですね。そうはっきり断言されるのにこんなイケメンなコメント下さるというギャップが素敵です。

  • こんな夫婦は現代にも多くいそうですね。すれ違いがあっても愛情と思いやりがあればうまくいくかもしれないのに。
    私もよく気候に気分が左右されます。冬のノルマンディー、どんよりして憂鬱な空なんでしょうね。

    作者からの返信

    橋本さん、いつもご感想をありがとうございます ^^
    この夫は自分の価値観を絶対と思っているので妻の価値観を見下していますね。男女のヒエラルキーもあったり。これも普遍的なところがありますよね。自分にも返ってきそうな話です。
    1月にノルマンディーの海の方に行ったことがありますが、住みたくはないなと思いました。パリの冬ですら鬱っぽくなる人多いですし。
    トスカーナは夏しか知りませんが、冬場は太陽が出るのでしょうか。気温よりも太陽が出るか出ないかの違いが大きいなと思います。

  • 何という旦那だろう。
    でも、「暖房」というキーワードに象徴されている「相手を思いやる心」。これがない人、結構多いような気がします。

    私も若い頃は思いやりが足りなかった。
    今、その分も思いやってやらないといけないと思ってます。

    作者からの返信

    自分を顧みると価値観をひとに押しつけていることあると思います。近い相手には特にそうなるかなと…。いつも相手の気持ちを思いやることは難しいけど意識していたいですね。

  • ああ、レベルは違うけどなんだかこんな夫婦いますね
    とても読みたくなりました

    ありがとうございます

    作者からの返信

    結婚している方や誰かと住んでいる方には結構通じやすい話だと思います。どちらの立場であれ、思い当たる節がありますよね。
    ご感想頂けるの嬉しいです。ありがとうございます。

  • 今回の夫は、「首飾り」のマチルドにドレスを買ってあげた夫とは大違いでしたね。
    それにしてもモーパッサン、面白いですね。共感出来る事が多いです。
    この寒さよく分かりますよー! 今、南仏にいれて幸せなのも。
    柊さんの文章がお上手で、読んでいて毎回楽しいです♪

    作者からの返信

    シェリーさん、コメントありがとうございます!
    モーパッサンの物語に出てくる人たちってその辺にいそうですよね。小説ではあるけど、もしかしたらあるかも知れないような話だったり。そういうところが共感されるんでしょうね。楽しんで読んで頂けるのが何よりです!嬉しいお言葉ありがとうございます。

  • これも、モーパッサンらしいお話ですね。(というほど作品読んでいませんが、こちらのエッセイで知る限りの作風では・・・)死ぬかもしれないけどノルマンディーから、夫から逃れられて幸せ、とか。

    南仏いいですよね。いろんな芸術家が惹かれて移り住んだ土地ですね。パリも大好きですが、次にフランスへ行く機会があればぜひ足を運びたいです。

    作者からの返信

    今の時代だったらこれもモラハラに入れられるんでしょうかね。人の心のすれ違いを描いても上手いなと思います。

    先月南仏に行ってました。海ではないですが。よかったです。そのうちエッセイに書きたいと思っています。

  • いますね、男女問わず。自分の価値観が絶対正しいと信じて疑わない人。
    私は常々、ネットとエアコンさえあればどこででも生きていけると思ってますが(笑)両方がないこんな環境、死んじゃいますよ(>_<)
    特に暑さ寒さは人によって体感が違いすぎるので、各自エアコン完備の個室に住むべきです…って何の話💧
    たとえエアコン、もといカロリフェールがなくても、せめて少しでも相手を思いやる言葉のひとつでもあれば…と思わずにはいられません…。

    作者からの返信

    黒須さんのエアコンへの熱い思いが伝わりました(笑)ネットがあってもエアコンなかったら指がかじかみますから。
    ちなみにうちは中央暖房ですが、設定温度が勝手に決められてるので(余計なお世話)家にいてもすごーく寒い時があります。

    寒さも含め、その場所に慣れてる慣れてない、とか、色んな要因で順応できないと孤独に陥りますしね。そういう時にそばにいる人が聞いてくれないと、この妻のように追い詰められてしまうのでは、と思います。

  • 夫婦が別れを考える理由の一つは価値観の違いですね。

    日本の女優さんが、浮気ばかりする夫と離婚を一度だけ考えたと話していました。
    それは浮気でも貧乏でもなく、子供のために残しておいたお弁当用のプチトマトを食べてしまった時だそうです。妻にとったら「思いやり」のない行動なんです。

    前回も家庭の中で、私って「思いやり」を示してないなと反省しました。

    モーパッサンの作品は時に教訓になります。ありがとうございます。

    作者からの返信

    まったく価値観が同じなんてきっとあり得ないんでしょうけど、だからこそ思いやることが大事なんでしょうね。
    少なくともこの話の中では妻の訴えを聞いてあげてもよかったのではないかと思いますが…。自分にとって大事でないことは聞き流してしまうものですね。
    地味な話かなと思っていましたが、こうしてコメント頂けると、載せてよかったと思います。ありがとうございます。

  • このお話も懐かしいです。価値観の違う相手と人生を共にする悲劇。
    湯たんぽをひとつ買ってきて、
    「ほら、携帯式カロリフェールだよ」だなんて!!
    傷心の身には泣きそうになるほど、棘を持って響くでしょうね。
    「相手を思いやる心」が「暖房」というキーワードに象徴されている……本当に、そうですね。思いやりと言う暖房の電源が入ることのない平行線の関係の物悲しさを感じました。

    作者からの返信

    ひいなさん、引き続きお読みくださりありがとうございます。
    この時代の人、特に女性には結婚は相手次第の運任せだったのだろうなと思います。夫はけっして悪い人ではないと思うのですが、彼女にとって正しい人ではなかったですね。解放された時には手遅れになっているのが悲しいです。