第一章 出会い 【秋彦の場合】
夕飯のカレーを食べる前に、シャワーを浴びた俺は、窓を全開にして扇風機をフル回転させながら、トランクス一枚で、丸テーブルの上のコンビニのカレーを見つめる。
『俺、カレー大好きなんです。』
大好きなんです…大好きなんです…大好きなんです…
勇気の笑顔と、言葉が俺の頭の中をグルグルと回る。
「う……おぉぉぉぉぉー!」
まるで、獣のような雄叫びを上げる。
大好きって言ったのは、カレーのことだ!
そうだ。そうなんだ!カレーが大好きだって、言ったんだ。
落ち着け、俺。
「こん…のぉー!カレーめー!」
お前なんか…お前なんか………食ってやる!!
俺は、すごい勢いで、ガツガツとカレーを食べる。
「お前なんか、俺の腹の中に入っちまえば、終わりなんだよ。お前なんか、お前なんかー。」
何やってんだ、俺。何、カレーに敵意持ってんだよ。
少し、冷静になる。
「アホか、俺は。」
かなり、冷静になり、半分残ったカレーは、落ち着いて食べれた。
カレーを食べ終え、お茶を飲みながら、首にかけたタオルで、流れる汗を拭う。
「暑い。暑過ぎる。」
扇風機の前、うちわでパタパタと仰ぐ。
おっさんだ。どう見ても、おっさんだ。格好といい、行動といい、23歳のやることじゃねぇーだろ。
「もう、耐えられない!」
俺は、うちわを投げ捨て、扇風機を止めると窓を閉め、クーラーのリモコンを手に取る。
「節約の為に、我慢してたが、もう無理だ。とりゃ-あ-!」
ピッとスイッチを押すと、涼しい風が吹いてくる。
「うっわぁー!天国じゃあ-!」
俺の身体に若さが蘇る。最高-!!
独り暮らしの節約生活は、ここで終わった。
そして、その月の電気料金は……………
めっちゃ、高かった。チーン。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます