第11話 集結①

 9月某日、代表者会議コンベンションに出席するため、私は大阪を訪れていた。


 東京駅から新幹線に乗り、約2時間30分。新大阪駅に降りたった私と美守理を出迎えたのは、博物館で出会った騎士ナイトと名乗る謎の紳士だった。


 紳士に促されるままミニバンに乗り込み、強面こわもての男達に護衛ごえいされながら車に揺られること30分、ついに調整者コーディネーターが集結する会場へと辿り着いた。代表者会議コンベンションの会場は世界的にも有名な国際展示場である。


「っていうかもう疲れた……」


 世界の命運を決める会合が後に控えているというのに、慣れない長距離間の移動のせいですでに疲労困憊ひろうこんぱいだった。


「予定では国際会議ホールで現在の進捗しんちょく状況を確認したのち、VIP室にて調整者コーディネーター5人による会談となっております」


 髭の紳士こと草薙氏が執事のようにスケジュールを読み上げる。


「さあ行きましょう」


 草薙氏に案内され、私と美守理は国際会議ホールへと向かった。


 国際会議ホールの中は広く、軽く300人は収容できそうだ。スーツを着こなしたお姉さんに案内され、席に着く。

 

 防犯上の理由から到着時刻はずらしてあるらしく、ホール内の人影はまだまばらだった。どうやら調整者コーディネーターの中では私が一番乗りのようだ。


「美守理」


 猛禽類もうきんるいのように鋭い眼光の男がそこに立っていた。


「隼人、警備の方はどうなっているの?」

「万事ぬかりなしだ」


 隼人と呼ばれた男性が美守理に顔を近づける。


「こないだうちのバカ共が世話になったみたいだな。連中は俺がきっちり落とし前をつけさせたから勘弁してくれ」

「教育はしっかりしておくことね」

「こっちが調整者コーディネーターか」


 隼人がこちらに視線を向けた。


「鬼頭隼人だ、よろしくな」


 握手をすると、その手が秘めているであろう膨大な破壊力が伝わってくる。


「俺は会場の警備があるからまた後でな」


 隼人は屈強な男達を従えて部屋を出ていった。


「美守理……」

「あの男が番人センチネルよ」


 美守理の声は低く、それはまるで警告のように聞こえた。

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