後日談
「行ってきます」
朝、魔実はドアを開ける前にスマホで前髪を確認した。その時、
「魔実」
「なに?お義父さん」
母と再婚した父である佑介に声をかけられ、魔実は振り返る。
勇誠との関係の話し合いの席で、一番最初に怒り、勇誠に掴みかかったのがこの父だった。
元来穏やかで優しい男性だった義父。母と再婚する前から同じ職場で、交流があった。
勇誠に少しにてて、頼りになる大好きな父。
「魔実、父さんはお前には幸せになって欲しい」
「うん」
「普通に好きな人が出来て、普通に結婚して、普通に子供が出来て、普通に年を取っていって欲しい。そう思ってる」
普通の、世間一般的でよくあるありきたりな人生。きっと子に願う普遍的な願いなのだろう。
勇誠との関係が、それから逸脱することなのも分かっている。だけど、
「お父さん。私は幸せだよ」
例え親からどう思われても変えない。これだけは貫くと皆で決めた。親不孝であることは申し訳ない。だがそれでも、自分が愛したいと思い、この先もそれ以上の人なんか居ないと、確信している。
「私の幸せは私が決める。私が不幸かだって私が決める。そして、私の幸せは私自身で掴んで見せる」
「魔実……」
じゃあ行ってくるね。魔実は背を向け歩き出す。ドアを開け、隣の家にやってきた。合鍵はもらっているので開けると、勝手知ったる家の如く2階に上がり、部屋に入る。
そこで寝ている勇誠のベットに腰を掛けると、
「ほら勇誠。起きて」
「んー。魔実?」
おはよう。と魔実は言いながら笑みを浮かべる。それに応えるように、勇誠も笑みを浮かべた。そんな勇誠に、魔実はキスをする。
「んん」
「んちゅ」
軽いキスをして真実は顔を離すと、
「さ、いこうか。勇女ちゃんがご飯作ってるよ」
「そうだな」
皆と一緒に。それには同意してもいいが、毎朝起こしに来るこの時間だけは誰にもあげられない。
と魔実は内心そう言って笑いながら、勇誠と一緒に階段を降りていくのだった。
「すいません!」
「ん?」
東桜高校の剣道部道場に、1人の男子生徒が顔を出す。その男子生徒は入部届、と書かれた紙を手にしてやってきた。
「あの、入部希望の三木島 猛といいます!」
「そうか。宜しくな」
そんなやり取りが行われたのは、余談である。
ハーレムエンド後のギャルゲーの主人公が勇者になってヒロイン達と魔王を倒して世界を救うようです ユウジン @YUUZIN
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