第115話 潜入部隊

「廃墟となった街を見下ろして黄昏ていた訳じゃなかったのね」

「良かったわ、ちゃんとあの頃の君に戻ってるのね」

 と小さなパラソルをクルクル回しながらエミリアが褒めてるのか貶けなしてるのか分からない話をする。


 意見を聞きたい相手がこの次に喋り始める。

 察しの良い小豆公望だ。


「では選抜案を話しますね」


 今回の潜入は局地戦、先の市街戦での広域に殲滅するのとは違います。


 敵陣の陣内に隠密裏に本体部隊を招くゲートを構築する。

 ゲートの場所は安全が第一です。

 叶わぬなら堅牢な地の利の良い場所を探し出して確保する。


 その前に一つ検証した事実を報告します。


 富嶽による上空高度1万5000メータからの超高高度からの侵入も電磁パルス壁に阻まれて失敗しています、もうこの計画しか侵入の手立てがない事を認識し

 て頂きたい。


 そして次が本計画の肝となる一番難しい点。

 亜空間ゲートから殲滅部隊を招くまでゲートを守り切り安全裏に侵入を成功さ

 せる。


 ここで我々にはこの様な戦闘経験がないので知識がある敷島隊長に説明お願い

 したいと思います。

 敷島のおっさんが説明を代わる。


 潜入部隊は敵陣内に気づかれずに入り込むだけでなはない。

 敵陣内の状況把握。

 ゲートを開設する場所の捜索と確定。

 その地を隠蔽して亜空間ゲートの開設準備を行う。

 通信での遠隔連絡を行う手立ては無いので電磁パルスを超えて再び戻って開設準備完了とその場所を伝える伝令役が必要。


 そして隠密潜入が前提なので包囲されて全滅するリスクが高い!


 暫し、重たい空気が流れ沈黙となる。


 静かに将校が手を挙げる。


 敷島おっさんに随行して来たラストバタリアンの将校だ。


「我ら栄光あるドイツ機甲師団の電撃作戦グデーリアンを紹介したいと思いますが宜しいでしょうか」


 敵の虚を衝く作戦は敵側の作戦分析がない状態であれば十中八九成功します。

 但し作戦に当たる部隊員にはしっかりとした基軸となる行動手順書と時間的余裕の無い状況下に瞬時に不測の事態の対応を行うための細かな作戦パターンを数多く頭に叩き込む必要があります。


 そして適材隊員の選抜と隊員各位の鉄の意思が必要です。

 それがあれば初物の潜入作戦の成功確率は90%はあります。


 僕も記憶を辿る。

 電撃作戦か〜。

 ドイツ機甲師団が無敵を誇った必勝作戦。

 大きく目が行くのは圧倒的練度の将兵と高速高機動の機甲戦力。

 作戦の先陣は高高度からの急降下爆撃で敵の虚を衝き敵の撹乱による進行経路

 の分断後に機甲科師団の圧倒的な火力での横線からの各個粉砕と縦正攻法から

 の殲滅。


 だけど、潜入要素には注目がないけどな〜。


 バタリアン将校が少しニヤッとした感じがする。


 電撃作戦の成功には作戦の前哨となる潜入部隊である特殊部隊ブランデンブルクが必要不可欠なのです。


 特殊部隊ブランデンブルクは、敵の支配圏内に潜入して電撃部隊のための

 情報採取、拠点確保、妨害工作を戦闘を行う事を避け隠密裏に行います。


 その精度で電撃作戦の戦果が決まります。


 特殊部隊ブランデンブルクは、生存第一を念頭に必要であれば何年も敵地に潜み活動する鉄の意志を持った精鋭勇者です。


 ロンメル 元帥も得意とされた電撃作戦は味方の消耗を極少に押さえ込んだ素晴らしい戦略です。


 私が特殊部隊ブランデンブルクの知識を教示しますので重たい空気は吹き飛ばして下さい!

 潜入部隊は生存率向上を主眼にする部隊なのです。

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