第11話 怪鳥現る!?

 ついにこの時が来た。


 今の俺様の配下は2体。

 部屋の隅のカビから出来たグリーンスライムと、水のエレメンタルを作ろうと水に磨力を注いでできたブルースライムだ。あれはあれで可愛らしいが、来るべき人間との戦いを考えたら、多分村人にすら負けてしまうかもしれないレベルだ。


 もっとオーガとか、人型悪魔が作りたいと思っていた。そして、目の前の床に倒れているスズメを見ながら、人型の鳥系モンスター『ガルーダ』を想像していた。

手足は鳥羽に覆われ風の力を操り風の刃や竜巻を引き起こす。想像しただけで背中を震わせた。


 もちろん、今の俺様の魔力量ではガルーダは無理だろう。だが!まずは人型モンスターを作成し、性格の悪いギャバではなく従順な手足となる魔物を作るのだ。そう願いながら横たわるスズメへ魔力を込める。もちろん足りない魔力は左手に握る白い石から助けを得ている。


 スズメの体に淡く白い光がともりだす。ついつい口元がニヤニヤと崩れてしまう。


 そして…。


 ボフッと軽い爆発と共にスズメの体から煙が上がった。そばにいたギャバがニヤリと笑う。


「成功でございます。魔王様」


 ギャバの言葉には何の期待もしていないが、晴れていく煙を俺様は期待に目を輝かせて見つめた。明らかに俺様より大きい。…ん?俺様か?130センチだ。なんか文句あるか?


 そこへ現れた魔物は、3メートルに及ぶ大きな魔物だった。見た目は…スズメだ…。誕生するなり鳴き声を上げるスズメ。明らかにピヨピヨ言っている。


「おめでとうございます。ビッグスズメです。魔物っちゃあ魔物ですね」


 大きなスズメは魔王様を見つけると目を輝かせて上から覆いかぶさった。まるで母に甘える子供のように。


「わっ!くそ!やめろ!なめるな!」


 巨体にのしかかられ動けなくなった俺様はどうやら気に入られたらしい。だが余りの重さに俺様の命が尽きようとしていた…。



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新米魔王の苦悩 ありんこ @arinco30

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