第10話 スズメ

チュンチュン……。


 そこは魔王城の中庭、周りは城に囲まれているが芝が茂り中央にはゴージャスな噴水が構えていた。そして、その芝生でカエルのように飛び跳ねる少年。


「くそっ!このっ!!」


 どうやら雀を捕まえようともがいているようだ。スズメは軽やかに避け、まるでサタンがあざ笑われている様。その光景を見てギャバは微笑ましく言った。


「クスッ、滑稽ですねぇ」

「お前もやれ!!」


 結局スズメは捕まえられず…。魔石は有るのに魔物にする生物がいない。


「仕方ないですね」


 そう言うとギャバは指先から魔力の塊を放出した。

 ヒュンッ! バシュッ!

 スズメの羽の端に当たり、身をくねらせて落ちる。ひらひらと落ちるスズメをサタンは手のひらで受け止め、逃げられないよう手で押さえた。


「そんな事出来るなら最初からやらんか!!」

「いやだって、スズメが可哀そうじゃないですか?」


可哀そう…? いやいやお前悪魔だろ。

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