第9-1話

私の名前は金森千冬。ジャーナリストよ


校内でも引き続き彼を追いかけるわ


今日は朝から雨が降っているのに傘を女の子に渡した彼はずぶ濡れ


服を乾かしている間は、タオルを腰に巻いただけの状態で授業を受けていたわ


大丈夫?座れば先生の方からは丸見えじゃないのかしら?


ほら、現国の水原先生も顔を赤くしながらチラチラ見てるじゃない


てか見すぎね彼女は。今度指導受けた時の保険として写真を何枚か取っておきましょう


「君!今は授業中じゃないのかね⁉」


あら、教頭先生に見つかってしまったわ


でも大丈夫。「これで今日の所は許してくれないかしら?」


「……………妻には内緒にしておくように。では……」


フフフ、人の弱みは握っておくものね


これで心置きなく彼を観察出来るわ


美術の授業では彼は……モデル?


ポーズを決めたまま一切動かない彼はまさに芸術


落ちそうで落ちない腰のタオルが気になるわ


いっそのこと落ちて欲しいのだけれど……


その後の保健の授業でも彼は利用されていたわね


でも彼の肉体は通常とはあまりにもかけ離れすぎてて参考にならないんじゃないかしら?


腕なんて私のお腹よりも太いじゃないの


………本当よ?


学校が終わって帰る彼


…………何故彼はその後服を着る事をしなかったのでしょうか?


既に乾いているはずですが……


そして傘立てで傘を探す彼……


いえ、貴方朝に女の子に傘を渡してましたよね?


彼はいろいろ規格外のようです


今後も調査が必要でしょう


落ち込みながら帰る彼を見てそう私は決めました


いざとなれば家を張り込む事も厭いません


プライベート?そんなものはこの世に存在しませんのよ?

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