第6話 やっぱり私は

「ミルクのごはん、私が用意してもいい?」

 近づくのは駄目でもごはんを用意するだけなら良いと思った。

「いいわよ。キッチンの棚に入っているよ」

 華伯母さんはいつもの笑顔で答えた。

 言われた棚を見ると、家であげていたのと同じキャットフードがあった。もしかして家で買ったキャットフードを伯母さんに渡したのかな? よく見るとごはんの皿も家で使っていたのと同じ皿だった。

 私は家にいた時と同じ分量のキャットフードを皿に盛った。お水も新しく取り替えた。ソファに座ってテレビを見るふりをしてミルクを見ていた。


 ミルクはキャットフードの方へ歩いていった。一旦いったん匂いをかいで、そのあと食べた。お水も飲んだ。嬉しかった。私があげたごはん、食べなかったらどうしようかと思っていた。ごはんを食べ終わったミルクは毛づくろいタイムに。これは家にいた時と同じ。座って手や体をなめている。可愛いな。


 毛づくろいタイムが終わったらクッションに戻って満足そうな顔をしてとするはず。家にいた時そうだったから。ミルクが歩き出した。クッションに向かっていたけれど、途中で止まった。どうしたんだろう、何か迷っているのかな。そう思った瞬間、ミルクが私の方へ歩いてきた。私のひざに手を乗せて飛び乗ってきた。


「ハ……ハッピー!」

 私はつっかえて叫んだ。華伯母さんが笑っている。

「ミルクが選んだのなら仕方ないわね」

「ミルク! ごめんね!」

 私は嬉しくてミルクを抱きしめた。ミルクは少し迷惑そうだった。


 華伯母さんはお母さんに相談されていたんだって。私がミルクの世話をさぼるようになったからどうしようって。ミルクはぬいぐるみじゃない、命があるんだって事を教えたいって。

 華伯母さんは猫が欲しいと思っていたからミルクを引き取ることにしたんだって。


「華伯母さん、旅行とか遊びに行く時ミルクはどうするの?」

 華伯母さんはよく旅行に行くし夜遊びもする。

「実家に預けたり動物用のホテルに預けたりするのよ。それが出来なかったら友達にお願いするつもりよ」

 選択肢がたくさんある。さすが華伯母さん。


「華伯母さんに飼われてミルクは幸せだね」

 私は心からそう思った。

「そうね、私の所に来るなんてミルクはハッピーでラッキーな猫よ」

「ハッピーだね!」

 私は再びミルクを抱きしめた。


 今度から週に一度、ミルクに会いに来ることに決めた。華伯母さんはいつでも来ていいよって言っていた。

 一週間の予定が増えた。嬉しい予定。やっぱり私は忙しい。

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