ドラコ=アフリカヌス

作者 ももも

70

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★★★ Excellent!!!

現代に生きるドラゴンと、それを世話する飼育員さんのお話。「もし~だったら」というⅠFもので、怪獣ゴジラじゃないけれど、「異質ななにか」が確かにそのまま現実に存在をしていたらという、良く知っているはずの世界の中にあるズレの感覚を、楽しむことができる小説と思います。飼育員さん同士の会話や、ドラゴン同士を対峙させたときのエピソードなど、実に「それがあるならこうなるだろう」というリアリティある手触りをしていて説得力がありました。常にすこし不思議でありつづける小説だと思います。

★★★ Excellent!!!

『出産』に至るまでの感覚の打破、敢えて一般的な動物と並列に扱い、同じ目線で『飼育』『観察』する人々のドキュメンタリー、人間が常々行っている『都合のよい解釈』、生命と向き合う上での倫理観。

様々なエッセンスをきれいなマーブルに整えて焼き上げた、バタークッキーのような作品でした。サクサク読めて、とても美味しい。

あえて『幻想の存在』を扱うからこその巧みな構成は圧巻です。

★★★ Excellent!!!

生命の誕生というのは普段すまし顔をしているような人でも思わず手に汗握り、固唾を飲んで見守ってしまう奇跡の一大事だと思います。

本作は、人間に存在を認知されなければ存在し得ない幻想種のドラゴンの出産を見守るドキュメンタリーです。

妊娠したドラゴンの様子をじっと見守り、最後にはじわりとくる。

言ってしまえば野暮なことかもしれませんが、やはりそこに感動があるのは事実なのです。

★★★ Excellent!!!

 作中のドラゴンは人々の幻想、認知、あるいは信仰によってその存在強度を高める幻獣でありながら、同時に単なる動物――多少パーツの多いトカゲでもある。

 ドラゴンの珍しさ/デザイン的な不可思議さが「シマウマ」や「キリン」と並べて比較される描写は、ほんの数行で、その実在感を「カバ」と同程度にまで引き上げる。無駄なく、鋭く、凄まじい技術だ。
 そうしてドラゴンが身近になったからこそ、ドラゴンを取り巻く人々の感情をも身近に感じられる。

 7000字強で現実世界を再編してのける、良質な幻想文学。