《エピローグ》

4月。桜が舞う。いい天気だ。

「久しぶり。どお?スーツ似合ってる?」

僕は泉の墓石に語りかけた。

「僕、今日から先生になるんだ」

「あれからいじめは無くなったんだ。凄いよ

な。僕の絵も金賞受賞して沢山の人にいじ

めはダメだって伝わった。どれもこれも泉

が背中を押してくれたからだよ。ありがと

う。自分のこともけりつけたんだ。父親の

不倫相手が謝りに来ても全部無視だったん

だけどあの日、ちゃんと話したんだ。僕も

言いたいこと沢山言った。父さんにも面

会しに行って話聞いたし聞いてもらった。

すごい心が軽くなったんだ。今は僕みたい

な子供を正しい道に戻してあげたいと思っ

てる。だから教師になったんだ」

多分僕みたいに1回の勇気でこんなにも上手くいく人なんて少ない。僕は恵まれていた。中には勇気をだして自分がいじめられてしまったり、悪い方向に行ってしまったりして自信を無くしてしまう人の方が遥かに多いと思う。勇気なんて出さなければよかったと落胆してしまう人だって多いはずだ。

だから僕みたいに教室のど真ん中で声を上げるやりたかじゃなくても陰で支えたり、一緒に話をするだけでもいいと思う。だけって言うけど多分その少しの事が追い詰められてる人には救いになったりするんだ。

僕はそれを子供たちに伝えていきたい。

「じゃあ、そろそろ行くね」

そう言って泉に背を向けた。

''頑張って!圭太君なら出来るよ''

そう言われた気がした。

僕はまっすぐに歩き出す。

未来のために。


「泉。ありがとう」

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殺人犯の息子の僕とマスクを外せない君  くじら @siroitotoro

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