1話

ちょっと短いけど、キリがいいので更新します。

また誤字とかあったら教えてください。

よろしくお願いします。(^人^)



「あかん!!由奈くん!!」

「え?」

 止めようとする竜司の声が聞こえたときには既に由奈は地面を踏み込み、海に飛び込んでいた。

 口いっぱいに空気を吸い込み息を止め、頭から海に飛び込んだはずだが着水する瞬間に変な浮遊感が来たと思うと、由奈は頭から地面に激突した。

「いってぇー!!!」

 突然の激痛に驚きながら周りを見渡した由奈は優鬼と郷司も居る事に気付き、率直な疑問を2人に問い掛ける。

「なんなんすかここ!?」

 確かに3人は海に飛び込んだはずだったが、そこは飛び込んだ海の中でなければ波止場でもなかった。

 室内のようだが、日本ではまず見ない造りで、たまにテレビで見る外国の遺跡のような所で3人の居る中央には見たことのない文字のようなのもが描かれている。

 3人から少し離れた場所に2人の乗っていたバイクが倒れていた。

「おいおい、、、大事なバイクをこかしちまったじゃねぇか」

 優鬼と郷司がバイクを起こしているとなにかが近づいてくる音が聴こえてきた

「おい、何か聞こえるぞあの通路からだ」

 状況が全く把握の出来ない3人だったが、慌てて身構え、音のする方を凝視する。

 耳を澄ますと、それは何人かの走ってくる音だと想像できた。

 金属がぶつかる音も聞こえ、まるで現場で腰道具をつけた職人達が走ってくるようであった。

 だが現れたのは、とび職の人ではなく、ペンキ屋でもない。

 通路から現れたのは中世を舞台にした映画で出てくるような重装備の騎士達だった。

 騎士達はあっという間に優鬼達を囲み、武器を向けるとその中の一人が声をあげた。

「動くなっ!!」

「我らはコロナ王国騎士団!貴様らは誰だ!?魔王軍の者か!?」

「いきなりなんすかっ!なんなんすかっ!やばいっすよ優鬼さんっ!!」

 刃物を向けられた由奈はそそくさと優鬼の後ろに隠れ、助けを求める。

「うっせぇんだよセリ子が」

 郷司は優鬼の後ろに隠れている由奈に悪態をつきながら、騎士に近づく。

「おうこくきしだん?まおうぐん?なんだよそれ」

「馬鹿じゃねぇの?」

「我らを愚弄するか!?」

「動くなといっているだろっ!!」

 騎士は近づいてくる郷司に剣を向け、声をあらげるが、

「おめぇ、誰にいってんだ?光り物だしたぐれぇで俺を抑えれると思ってんのか?」

 郷司の凄みに騎士達が後ずさるが、そのうちの一人が郷司に斬りかかる。

「おせぇんだよクズがっ!」

 郷司は騎士の振りおろす剣をかわし、腹部に拳を打ち込んだ。

 鎧を着ており、普通に考えると効かないはずだが、郷司に殴られた騎士は唸りながら崩れ落ちた。

 あまりの出来事に騎士達は硬直し仲間の騎士がうずくまる光景を見ている事しか出来なかった。

「おい、起きろよ、俺に光り物向けといてこれで済むと思ってんじゃねぇぞ?」

 倒れた騎士の上に座り、兜を無理やり剥ぎ取り髪を掴み無抵抗な顔面を殴ろうとする郷司の腕を優鬼が掴む。

「おい!郷司!落ち着けよ!」

「ちっ!うっせぇんだよいい子ちゃんがよぉ!」

 郷司は舌打ちをしながら、優鬼の腕を払い除け立ち上がった。

「そっちも落ち着いてくれよ 多分だが俺らはまおうぐん?ではない、と思う」

優鬼は倒れた騎士を起こしながら続けて語りかけた。

「全く状況がわからねえんだ ここはどこなんだ?」

 騎士たちが優鬼達に聞こえないようになにかを話したかと思うと、優鬼に近づいてきた。

「貴様らからは魔力が一切感じられない。魔王軍の者ではないようだな。だがここはコロナ王国の管理下だ、我らに同行してもらうぞ」

「優鬼さんちょっといいっすか?」

 由奈がなにかを閃いたかのようか顔を上げると、優鬼に耳打ちをした。

「俺の連れにアニメオタクがいるんすけど、最近アニメで流行ってる異世界召喚ってやつじゃないっすかね? ある日突然異世界に召喚されて、その異世界を救うてきな?」

 由奈が真剣な顔つきでそんな事を話してきたので、優鬼は思わず吹き出した。

「おいおい、異世界召喚?そんなのあるわけねえじゃねえか」

「でも俺たち確かに海に飛び込んだっすよ?なのにこんな所にいるわけだし、、、」

「まあ確かに、、、」

 優鬼は顎に指を当て、深く考えこんでいた。

「あ!」

 由奈がまたなにか閃き優鬼と郷司に向かい話しかける。

「優鬼さん!俺たちが海に飛び込んでここに来たってことは、もしかしたら同じ場所で行方不明になった初代の忍さんもここにいるかも!!」

「たしかにその可能性はあるかもしれないな!物は試しだ!ついて行ってみるか!」

 初代総長の黒霧島忍が生きている可能性が一瞬でも見えた優鬼は由奈の提案を受け入れる事にするのであった。

「わかったよ、同行してやるよ!」

「よし、ついてこい」


「郷司お前もとりあえずこいよ!」

 騎士に返答した優鬼は、会話に入らずタバコをふかす郷司にもついてくるように言った。


 騎士達に連れられ通路を抜け建物を出るとそこには、日本、いや、地球ではありえない世界が広がっていた。

「おいおい、、、マジかよ、、、」

 優鬼は由奈の言葉が現実味を帯びていく事に驚きを隠せなかった。


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前科有りの勇者さま! やーまん @ryuya1218

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