第4話 仲間

さて、ナルコ草原に到着。流石に、初心者の姿は殆どない。行き遅れた、初心者が必死にツノウサギやレッドボアを倒している。レベルアップは、葛葉が助けてくれたけど。やっぱり、頑張ってみよう。


「なあ、お前って錬金術師だろ?後衛が、居たら安定するから組まないか?俺は、ゼノで剣士だ。」


「えっと、アレンだよ。うん、喜んで。」


すると、隣からオロオロと声がする。


「あ、あの……わ、私も組んでくれませんか?そのですね、神官なので戦えないんですよ。ちなみに、名前はシンラと言います。とても、臆病です。」


「どうする?」


ゼノは、アレンを見て聞いてくる。


「うん、良いと思うよ。そしたら、僕がバフとデバフに専念できるし。じゃあ、よろしくね。」


さて、それでは頑張りますか!


「ぎゃあー、レッドボアがぁ!突っ込んで来たぁ!いやぁー!回復したのに、何で来るのぉー!」


「馬鹿!えっと、こっちだコノコノ!あれ?何でだよ!?こっ、こら!回復しても、無意味だろ!?」


あー、うん。つい最近、葛葉が言ってたっけ?回復魔法は、攻撃よりもヘイトを集めやすいって。ならば、ヘイトを僕がゼノが奪えば安定するかな?


「あー、シンラ?回復止めて、僕の後ろに回り込んで。ゼノは、当たらなくて良いから攻撃を。僕は、毒薬でレッドボアのヘイトを稼ぐから。シンラ、回り込んだね。よし、ヘイトが僕に移った。ゼノ、全力で攻撃してヘイトを奪って。そのまま、ゼノと僕でコンボを稼ぐよ。シンラは、ゼノの回復をこまめに宜しくね。よっし、お肉ゲットだよ!」


さて、ギルドで換金してから話し出す。


「いやー、助かったよアレン君!」


「まったく、ヘイト管理をしっかりしろよ?アレンには、助けられたな。そうだ、breezeってお店でご飯を食べてポーション買おうぜ。もう、レベル30だしさ。一応は、持ってた方が良いだろ?」


breezeか。そうだね、僕も薬草を売らなきゃ。えっと、わお……256本もある。ちなみに、相場が一本が10Gだから。2560G、かなり稼げるね。


「ようこそ、breezeへ。ん、新規のお客様か?」


あ、トキヤさんだ!よく見たら、マッキーさんもいるね。顔を覚えてたのか、手を振る2人。猫の獣人さんは、それを見て納得する。そして、仕事する。


すると、ルイスが現れる。ゼノ達は、目を輝かせている。憧れの、ルイスさんとグレンさんを見れて嬉しいようだった。すると、グレンさんが近づく。


「よう、どうした?何を、買いに来たんだ?」


「あ、あのののの……」


「……」


あらら、2人とも緊張して駄目だね。


「あの、薬草って買い取ってますか?」


「おう、買い取ってるぞ。えっと、ランコルさんは休みだったな。となると、カリオストロは……あらー、忙しそうだな。ルイス、薬草を売りたいみたいだ。お願いしても良いか?俺は、2階を手伝う。」


「了解です。では、薬草の買い取りをしますね。」


ルイスさんは、薬草を鑑定して頷く。


「薬草採取、上手になりましたね。これならば、次に売りに来ても、買い取らせていただきます。」


「本当?やった、また売りに来るよ。」


すると、2人は驚く。


「アレンは、七王のルイスさんと知り合い?」


七王?えっと、うんと?すると、ルイスさんはキョトンとしてから笑顔。うん、癒される笑顔だなぁ。


「さて、これがお金ね。」


「うん。えっと、はい?」


すると、ルイスさんはクスクスと笑う。うん、葛葉のクスクスと同じだ。よし、普通に行こう。


「それと、ご飯を食べに来たんだ。」


「なるほど、ゆっくりして行ってくださいね。」


そして、ルイスはゼノ達を見る。グレンさんが、仕事が終わったのか暢気に近くに来る。


「さて、剣士と神官の君達の名前を聞いても?」


ルイスは、暢気に笑えば緊張する2人。


「ぜっ、ゼノです!グレンさんの、ファンです!」


「しっ、シシシシシンラでふっ!」


ルイスは、優しい雰囲気で明るく笑う。


「ふふっ、面白い子達を仲間にしましたね。何気に、楽しそうで何よりですよ。」


「うん、とても楽しいよ。」


アレンが、本心から笑えばルイスは更に笑う。そして、ポケットから黒い鍵を出してアレンに渡す。


「これは?」


「名無し同盟には、数多くの生産クランが参加しています。この鍵は、名無し同盟加盟クランだけですが。見せれば、値引きをしてくれます。鍵色で、誰が渡したか分かるので。同盟主なら、黒です。副同盟主が白。各クランマスターまたはリーダーが銀になります。初心者救済、その為のものですよ。」


これは、ありがたい……ん?この鍵、黒だよ?


え、うぇーい!?え、いやいや!え?葛葉?クランリーダーなのは、知ってたけど同盟主なのぉ!?


「さて、そろそろ厄介のが来るので撤退します。」


「ルイスさん、厄介なのって?」


ルイスは、無言で困ったように笑うと答えず地下に降りた。アレンは、鍵をストレージに入れる。


「お前ら、上がってこい。」


マッキーさんに、呼ばれて席に座るように言わた。どちらも、初期からの超ベテランプレイヤー。ルイスさん同様、有名人でマッキーさんは配信者でもある。トキヤさんも、元ランカーだとか。


「にしても、あの日の無謀なプレイヤーがルイスのお気に入りだとはな。まあ、縁を感じるな。」


マッキーは、暢気に笑う。


「久しぶりに、ルイスが笑う姿を見た。ここんとこは、ずっと工房に籠って無言でポーション作ってたし。凄く、疲れてる様子だったからな。」


トキヤは、心配そうに言ってから優しく笑う。


「えっと、何かあったんですか?」


「この世界には、ジョブを極めた者に王の称号が渡される。ルイスも、錬金術を極め錬金王の称号を持ってるんだが。数ヶ月前、掲示板で錬金王が1番弱い王だって。しかも、それ書いたの運営側の人だったんだ。どうやら、新人さんだったらしいけど。」


マッキーは、珈琲を飲みながら言う。


「しかし、情報はデタラメ。運営が、訂正した時にはもう遅くってな。うちに、王称号を奪いに初心者達が来てさ。ルイスも、最初は相手せずに無視してたら酷くなってな。相手して、倒されたらチートだの反則だの煩く喚くし。だから、ルイスはお店に顔を出さなくなった。けど、最近は楽しそうでさ。」


トキヤは、アレンを見てから笑う。


「アレン、多分だけどお前のおかげだな。」


「いやいや、僕は錬金術の基本を習ってただけなんだけど。特に、特別な事はして無いし。」


そっか、だから出会った日に悲しそうだったんだ。


そして、ルイスさんは僕を巻き込まない為に七王の事、言わなかったんだろうな。うーん、ゲームって楽しいもののはずなのに。僕に、出来る事って?


「アレン、俺達は帰るよ。」


少しだけ、考える仕草をしたアレンを見て、何かを感じたのかゼノはシンラを連れて行った。


「そんで、何を悩んでるんだ?」


マッキーは、素っ気ない雰囲気で言う。


「え?えっと、大した事じゃ……」


「よし、場所を変えようか。」


トキヤは、笑うと立ち上がる。そして、地下に。えっと?ここって、クランの人しかダメなんじゃ?


「おや、トキヤさん?」


ふえー?ここって、ルイスさんの工房!?


「あら、いらっしゃい。でっ、トキヤさんトキヤさん。ここは、同盟加盟主とメンバーしか立ち入り禁止のはずですが。いったい、どうしたんです?」


「こいつに、7王の事を教えた。」


すると、ルイスさんは苦笑する。


「なるほど。なら、いろいろと話さなければいけませんね。うーん、何処から話しましょうか?」


ルイスさんは、薬草を棚に戻す。すると、ランコルさんが紅茶を持ってくる。後から、聞いたけどランコルは休みはルイスさんの近くに居るみたい。


「まず、錬金王の弟子候補について……」


すると、僕とルイスさん以外は驚いている。


「察しの通り、僕が錬金王なのですよ。そして、どうやら薬の作り方を3つ教えて貰えると、その称号を手に入れられるみたいです。バレれば、メンバーに入れようと強引な事をする奴らも出て来ます。なので、君には黙って誤魔化していました。」


やっぱり、葛葉……ルイスさんは良い人だなぁ。


「ありがとう、僕を守ってくれたんだね。うん、頑張って錬金術を学ぶ。また、相談が有れば来ても良いかな?その、まだまだ未熟だしさ。」


「ええ、良いですよ。最近は、葛葉としてお店のお客さんに紛れ込んだり、だらけたりしてますから。フレンド登録も、してあるのでメールやチャットそれと電話?うん、とかもあるのでそっちでも大丈夫ですよ。僕は、ずっと応援してますね。」


こうして、僕は新しい仲間と冒険する事になった。

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フリー・ライフ・リベレイション〜アルケミーライフ〜 @Kurohyougau

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