翼が一つ、目も一つしかない為、雄と雌が互いに支え合わないと空を飛ぶことが出来ないという伝説の生き物・『比翼の鳥』。
この作品の主人公とヒロインの関係は、その比翼の鳥を連想させます。
作中では、主人公に支えられて少しずつ前向きになっていくヒロインの姿の方が目立っていますが……主人公も描写の端々に『弱さ』や『やるせなさ』を感じさせる人物で、それがヒロインによって癒されていくのが感じ取れました。
きっと、主人公はヒロインでなくては駄目で、ヒロインも主人公でなくては駄目。
そのような、相手を自分の心の中心に置き合えている主人公とヒロインの関係は、読んでいてとても心惹かれました。
非常に素敵な恋物語だと思います。
金髪巨乳etcでオマエ絶対ツンデレだろ!と思わせるヒロインですが、実際は魔法使いが現れる前のシンデレラそっくりの家庭環境で苦しんでいます。他人との間に強固な壁を作って身を守りクールな雰囲気で学校生活も問題なく過ごしていますが、その本質は気が弱く自虐的な性格です。
お互いに強制されたお見合いでヒロインの境遇に気が付いた主人公が、同情から偽装婚約を持ちかけるという王道の物語ですが、読み易い文章や所々で明かされる物語の背景・設定などから丁寧に作られた作品だと感じられます。
主人公も設定的には相当な王子様なのですが、容姿・性格共に嫌みが無く良い意味で一般人なので親しみやすいと思います。
王道のラブコメ小説が読みたい人には是非お勧めです。