006 俺の中に眠っていた力が……
なんか俺のステータスが文字化けしてる件について。
……どっかの小説家サイトにありそうだな。知らんけど。
これ大丈夫なんだろうか。現状ではなんともないけど後になって急に死ぬとかないよな?不安すぎる…
不安ついでに悠司たちに俺のスキルが消えて無い事を秘密にしてたのも不安、というかなんか言われたりしないだろうか。
いやだって前に召喚された連中は全員がスキル消えてるって言ってたのに俺だけ消えてないっていうのも嫌だったし。多分他のみんなよりほんのすこーし遅いだけで、俺もすぐに消えると思ってたから特に周りには言ってなかっただけだし。
何はともあれ、前に貰ったスキルがこの文字化けに関わってそうなんだが……あれかな、別の世界の力だから反発してるとか?反発した挙句俺の体もろとも爆発とかしねえだろうな?こえー。
適当に解読してみるか?
多分この文字化けしてるのって今さっき召喚されたとこのスキルのはずだよな。
とりあえず一番上のとこは二人のと照らし合わせるとスキルってとこかな?
そんで二人とも持ってる【翻訳】は取得してるはず、多分ね。
それに称号に【他世界訪問者】も入ってると思う。1行しかないし他の称号は無いか……二人みたいなイベントとかありそうなのじゃなくても良いから欲しかったかも。
あと、一番下のところは二人のステータスを見れば所持装備になるのかな?残念ながら俺の貰って来た本の名前は分かってないんだよなあ。まあ分かったところで何かあるわけでもないけどさ。
「おい開斗」「ねえ霧崎君」
おおう。息ぴったりですね。
そら何か言われるよなあ……なーんで俺だけ前のとこのスキル消えてねえのよ、全く。
「なんかやべぇ文字あっけどこれめちゃくちゃつえースキルとかなのかよ?!」
「なんで霧崎君は前の時のスキルが消えてないの?!」
「ごめんなんて?」
いや、同時に言われても分かんないって。息ぴったりなのは良いんだけどそれでも互いに考慮をしよう。こっちは聖徳太子じゃねえんだから。せめて文字に起こせ。
多分悠司はろくでもないこと言ってると思うから片倉さんに聞こう。
「片倉さん、もう一回いいかな?」
「あ、ごめんね。えっと、霧崎君は前の時のスキルって消えたんじゃなかった?なんか下の方が凄いことになってるのってそれが原因なのかな?……これで良い?悠司?」
「あー、ん、まあそういうことだ。どうなんだ開斗?」
通訳ご苦労様です。
まあ聞かれるよなー。という訳でさっきの考えを二人にも話してみた。
・・・・・・
「えっと、つまり霧崎君のスキルは消えてなくて、それがなんらかの形で文字化けを引き起こしてるってこと?」
「うん。別の世界のものだしありえるかなって。時間が経つことで馴染むなら良いんだけど他に何か問題があったら怖いなあって感じだね……えと、あと、スキル消えてなくてごめんなさい」
「……なんで謝られたの私。霧崎君、私に何かした?」
「いや、あの前のスキルのこと、消えてないの言ってなかったから」
「ええと、霧崎君?そんなことより霧崎君のスキル、というか体の方が心配なんだけど。今はとりあえず大丈夫なのよね?」
聖女かよ。
いや、目覚めの聖女だったけどさ。
「あーうん。今のところはなんともないかな」
「なあなあ開斗。それってあれか?ピンチになったら『俺の中に眠っていた力が……』つって開放されるやつじゃねーの?イベント的な」
「いやイベント戦あんのはお前の方だろ。称号の【孵化を待つ力】をよく見てから言えよ」
「ちょっと。悠司はだまる。霧崎君も自分のことなんだから、ほら」
「へーい」「はい…」
片倉さんに言われて悠司は自分のステータスを出して眺め始めた。
いや、マジその称号は何かあるって。孵化待ってんだから。少なくとも文字化け野郎よりかは。
「んー、他の違いってなると……霧崎君、これ持ってステータス見てみて?」
そう言うと片倉さんがペンダントを渡してきた。
なるほど、文字化けの原因が魔導書にあるかもってことか。
「じゃあ、これ。一応持っててもらっていいかな?」
片倉さんに魔導書を渡してからステータスを開いてみる。
―――――――――――――
霧崎 開斗
HP:38 MP:22
技能:翻訳 灯火の力 適応力 魔力運用 現状維持
繧ケ繧ュ繝ォ
繝サ鄙サ險ウ
繝サ髑大ョ
繝サ闢?∴繧
称号:異世界渡り
繝サ莉紋ク也阜險ェ蝠剰?
謇?謖∬」?y
繝サ諠ウ閨悶?繝壹Φ繝?繝ウ繝
―――――――――――――
変わってねー。
いや実際には変わったのかどうか分からん。一番下の所が長くなった気がするけど、想聖のペンダントに変わったのかな。多分。
正直さっきまで見てたの覚えてらんないのはどうかと思うが文字化けしてるのを覚えろってのは話変わるじゃん?
スマホで撮れたら良いんだけど、前に実験したら映らなかったから無理。
メモは…したくないなあ。目がチカチカしそう。
「どう、霧崎君?えっと、うん。文字化けはそのままなのね。所持装備のところが変わってる、と。私のは……」
片倉さんの記憶力>俺の記憶力
感心してる俺を置いて片倉さんがステータスを開いた。
―――――――――――――
片倉 玲奈
HP:30 MP:36
スキル
・翻訳
・暁の光
称号
・他世界訪問者
・目覚めの聖女
所持装備
・魔導の原書
―――――――――――――
やっぱ装備の所変わってたんだな。
なるほど。俺が貰って来た魔導書って『魔導の原書』っていうのか。強そう…なのかな?なんというか分かり難い。
てか本って装備品扱いになるのな。今更だけど。
「ふむ、この魔導書が霧崎君の文字化けの原因じゃないのは確かみたいね。あとは……」
「なあ。
黙らせてた悠司が声を掛けてきた。俺じゃなくて片倉さんに。
ステータス見るのも飽きたのかスマホいじってるし。
「なによ」
「サイン会。そろそろじゃねーの?」
なに言ってんだこいつ。今は俺のステータスの事で手一杯なんだが……
あれ?今日ってたしか、なんか目的があってここに来たような?
……片倉さんと目があった。
「ああああああああああああ!!!」
「うお、うっさ」
片倉さんも大声あげるんだなあ……
異世界召喚事情は俺の思ってたのと違うらしい 黒有/人。 @Blackbox013
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。異世界召喚事情は俺の思ってたのと違うらしいの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます