第30話 あとがき②

 このように、桶狭間の戦いは、信長と義元共に高度な情報収集、情報操作を行い綿密な戦略をぶつけあった戦いであったと筆者は考える。

 今川兵を分散させ手薄の本陣をつこうとした信長。それを看破し、信長を誘き寄せ包囲しようとした義元。警戒の中、本陣への奇襲を成功させた信長。結果的に信長が、裏の裏を読む形で上回ったが、それは紙一重の勝利だったのではないだろうか。

 決して、偶然や奇跡でも、運命や天命でもなく、あくまで人為的な必然の結果だったと思える。



 桶狭間の戦いの後、信長は一気に全国へ名を轟かせることになる。

 本当にすごいのは、この後10年足らずで大軍をもって上洛し、京都を制圧するのである。それこそ、桶狭間がまぐれでないことの証明であると言える。



 しかし、信長は本能寺でその波乱に満ちた生涯を終える。桶狭間の戦いという謎の多い合戦で、歴史の表舞台に颯爽と登場した信長だが、奇しくもその最後もまた、未だ多くの謎に包まれているのである。

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深説 桶狭間の戦い 日野照歩 @hinoteruho

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