第37話 八倍の敵②
黒い巨人が右腕の巨大な
「
井出は赤い夢で見たエルフ少女メルキァの言葉を思い出す。
(ちょっと訓練したような
井出を
彼は左の小隊、四機を誘う様にわざとゆっくり移動する。黒い巨人たちは左手の盾を前面に構えながら井出に迫る。
「さて、始めますか。」
彼は軽い口調で
井出の
「ビキビキビキッ! バキバキィーン!」
井出を追尾しようとした左翼小隊の残存三機の巨人たちの行く手に巨大な氷塊が出現する。七海の撃ち込んだ
次の瞬間、エマのライフルから放たれた氷結弾が三機の巨人たちの脚に次々と着弾する。44マグナム弾に何度も重ねて付与された氷結弾が脚全体を巨大な氷塊で固めてゆく。転倒した所に真由美の放つ氷結弾の連打が襲った。肩や肘を氷塊で拘束され、井出を追う巨人たちは
「皆、流石だね。これで動き易くなったってもんだ!」
エマと三人の女子高生たちの的確な支援に井出は
井出の急接近に対応出来なかった巨人たちは次々と脚に被弾してゆく。エマが丁寧に重ね掛けして付与してくれた氷結弾が両脚を凍り付かせ動きを拘束してゆき、たちまち六機の巨人が転倒する。
そこに魔導ライフル隊やエマ、七海、真由美の氷結弾が
「一機ずつの能力は大して高く無い。このまま確固撃破出来れば・・・。」
井出は呟きながらユクスサルヴィーネに向かう二機の黒い巨人のうち、自分に近い方の背後に迫った。
「筋力強化」の付与魔法と
「げ! なんだ、コイツは?
彼の視界にあったのは肌色をしたマネキン人形のような物体だった。しかし、その体表はヌメヌメと光っており生物のような
不意にそれが井出を振り返る。頭髪も生えていない、その顔面には目も口も無かった。辛うじて
「うわあぁぁっ!」
井出の繰り出した刀身に貫かれた「それ」は激しく
井出がそんなことを考えている目の前で、「それ」は泡と共に消えていく。そうだ、かつて彼が倒した「
「そうら、これでお
マークの声が外部スピーカーから響く。彼の駆るユクスサルヴィーネが左腕の
「思っていたより他愛無かったね。さあて、後片付けを始めようかな。」
マークの声が外部スピーカーから流れる。井出は手を挙げてマークに声を掛ける。
「マーク君、ラヴィー・マムに報告することがあるので一旦ここを離れます!」
「了解、井出巡査部長。じゃあ僕は残りの巨人たちの無力化を始めておくね。」
マークの返事を聞くと、井出は防御結界の中に待機する
「ラヴィー・マム、今回の巨人兵器に乗り込んでいた
「うん、やっぱりね・・・。大体、察しが付いていたわ。」
井出の報告にラヴィニアは嘆息しながら答える。どうやら彼女には思い当たることがあるようだ。説明を続けようとラヴィニアが口を開こうとしたとき、アヤの
「なんですって、『保安官の町』にも黒い巨人が現れたの?」
通話を始めたラヴィニアが叫ぶ。井出もその内容に驚いて彼女を見つめた。その瞬間だった。上空に白く明るく輝く光球が発生し、何かの信号を伝えるように
「ドズンッ!」
不意に大きな爆発音が起こる。花火を間近で見る時のような腹に響く大音響と共に黒い巨人たちが次々と爆発した。そして、その爆発にマークの乗るユクスサルヴィーネが巻き込まれていった。
駐在さん走る!《異世界の治安は俺が守る》 ぶっちゃけマシン @nabe4645
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