ファンタジーは突然に
皆木 亮
第1話
#1#
「アナタみたいな
それがオレ、
今年で大学二回生。
足りない物は、ランデブーしてくれる可愛い相棒だけで、それを
「あは…あはは…そう…残念だなぁ…。仕方ない、これ以上、
右目と両手を合わせて閉じ、舌をペロっと出して見せて、せめて軽く流せる様に仕向けて見る。
しつこく食い下がって
「わかったわ、
そうして、一方的なドッグファイトでオレを
海辺と言っても、浜があるワケではない。
しかし、そんな危険なデメリットも、この街の多くの利点の中では、
ここ、
海を埋め立てるのではなく、
市は、本土と繋がっている市の中心である
直接本土とは繋がってないが中央区との
そして、本土や他の地区との
大きく分けて、この三つの地区に、この市は分かれている。
この市の最大の売りは、海との
市の建物は、
市の都市部の中央区だけでなく、各地区に、ショッピングモールなどもあり、海との共生という売り以外の、生活の
かく言うオレも、中央区にある大学への通学が住宅街の西区から片道五分で済むという
それからは、学校とバイトの空き時間を
まあ、いつも、この通りなんだよねっていう……。
しかし、参ったなぁ…”
やれやれ…逆に経験が
「さぁて、
とりあえず気持ちを切り替える努力をしてみる。
ヤケで
”
”
目当ての『小さな
今日の戦闘に勝利できた
敗戦の痛みを
普段なら、ここの一番安いメニューを一ダース頼んで明日のエサも確保ってな感じだが。
いや、本当に、ここで一番安いメニューを一ダースも頼んだら不気味この上ないか。
”
想像しただけで背筋が寒くなりますよと。
そんな
「そっちはダメだよ。ホラ、こっち。」
何だか分からない内に謎の人物に手を引っ張られて
中々の勢いで引っ張られ、あれよあれよと言う間にピエロさんの店からズンズン離れていく。
「ふぅ~~。ここまで来れば安心だね。」
やっと
いや、相手がオレの
勢いで引っ張ったら人違いでした、なんて結構ある事だし。
それよりもですね、この
なんていうの?
オレは
これは…その…ヤラれちゃいました…。
オーケー‼
兵士は時に
「ねぇ、君は…、」
「良かった、お兄ちゃん、無事みたいだね。危ない所だったよね。あのままだと奴らの
兵士は時に、勇気ある
見た目の戦闘力よりも
「あ、いや、済まないけど
さっと
そのままスタスタと早歩きで、その場から
ガシッ‼
ガシッ⁉
あまり見たくないが、オレの
はい、まごう事なくさっきの
このロリポップな
さて、どうやって
「ダメだよ、お兄ちゃん! ミクルを置いて
どうも、ミクルというのが、この
さっきは、ぶっ飛んだセリフを
「いや、あのね…」
「ハッ⁉ お兄ちゃん! もう
こちらが
ヤバイです! ヤバイですよ! 超級デンジャラスですよ、この方‼
何とか
そんな感じで脳がエマージェンシーコールをけたたましく
「
その
この左腕に感じる
彼女のプチ
しかも、ミクルちゃんの
「どうかな? 少しは楽になってきたかな、お兄ちゃん?」
心配そうにオレを見上げて来るミクルちゃん。
つぶらな
しかも、さっきよりもギュッと、その胸をオレの左腕に押し当てております!
これは……これは……これは………これはッ‼
「うん、ミクルちゃんのお陰で、少し楽になったよ。」
「良かった…ガンダルヴァシヴティムだったらミクルでも大変だったけど、やっぱりアルマティファンだったみたいだから、
エナジーウェーブだか何だかは良く分からないが、プチ
できれば
「でも、お兄ちゃん、ミクルを『ちゃん』
クッ…やはり来たか。
どうやら彼女ワールドではオレはミクルちゃんを呼び捨てにするのが
ミクルちゃんが、
彼女を
これからボロを出す
だが、この手の危ういタイトロープを
しかし…オレは
「ああ…すまないミクル…。どうもオレは
だが、この相手は『
言ってしまえば、全くの新理論で作られた
しかも、自分でも耳を
結果は予測できないが、ミサイルの
「え…ッ⁉ 何…ッ⁉ お兄ちゃんッ⁉ ミクルの知らない言葉ばっかりだよッ⁉ お兄ちゃんが何を言っているのか分からないよッ⁉」
なるほど、
ミクルちゃんは、オレの羅列した
だが、オレは、この
フッ…ミクルちゃん…。君の
”
さぁ! ずっとオレのターンの始まりだ‼
「
「えっ…⁉ そ…そんな…分からないのが当たり前って、いま、お兄ちゃんが言ったばかりなのに…そんなの分かるはずがないよ!」
そこに、
「バカ者‼ 全ての
「えぅ…あぅ…うぅぅ…。」
ワケも分からないまま、一方的な
そこで…
「だが…オレはミクルの
「お…お兄ちゃん……。」
少し
「何飲む? 心にも
まずは
”
だから、永遠の”
相手が例え未知の異国の兵士でも、きっとコレは変わらない。
「う…うん! じゃぁ、ミルクティー‼」
さっきまでのクシャクシャになりかけた顔を
原爆の投下を強行したせいで、灰も残さず殲滅しちまう危険も有ったが、どうやらこの娘との戦闘は、まだ続行できそうだ。
#2#
二人で缶を片手にホッと一息つきながら流れ行く人波を
ミクルちゃんは、まろやかで優しいミルクティーに
バトル第一フェイズでは
まずは相手の性能を
さぁ、
「もう一息つけたか、ミクル?」
「うん、
その言葉通り、ミクルちゃんの表情も、
「良し、じゃあさっきの続きをするぞ?」
「う…うん…。」
コクリと
その表情は、さっきと打って変わって、とても明るい。
よし、では、片瀬少尉! ”
「まず、分からないのが当たり前とオレは言ったが、それはさっきの問いに対しての言葉じゃない。さっきの問い自体の答えはそれまでのオレの言葉の中に答えがちゃんと
「う…うん…
この
だが、それを、オレは、全面的に『
「オーケーだな? じゃあ、次に行くぞ?」
「う…うん…。」
ミクルちゃんが
「オレ
自分でも『え、そうだったのか⁉』と思う都合の
さぁ、現在のオレの戦力で
ミクルちゃんの反応や
「えと…データってどんな事を話したら
母さん! この
見事に意味が
だが…ミサイルの
多少の
「いや、そんな重要な事じゃなくて
「ふむふむ…なるほど…じゃあ言うね。ミクルのフルネームはミクリアール=ランドボルグ=アルメツァリーネ=イクシオ=サトゥルマディガンで、スリーサイズは上からクラネルトベス・バドゥルハトゥム・クラネルトメヌムスで…」
「待った! 待った‼ 待った‼」
それは
全く予想していなかった攻撃では無かったが、この破壊力は
しかも一発が
二つが
もう、これが
「ミクルの真の名前とかじゃなくて、学校とかで呼ばれている仮の名前とかで
「は~い。じゃあ言うね。
「そうそう、そういうので
「うん、どんどん行くから、早くリゾナンスアクトできるまで回復しちゃおう‼」
そこからは
新たな
ぶっ飛んだ”
家も、
「う~んと…こんなモノかな? どう、お兄ちゃん? だいぶ回復できた?」
戦場に金ぴかに
ステルスとは言わないが、
だから新たな
「ああ、かなりデュラキュティルは上昇してきた。だけど、
「イニシエーション? それってどんな
相変わらず彼女ワールドの用語はレーダーでは
「いや、そうじゃない。イニシエーションは、
「すご~い! じゃあ、直ぐにイニシエーションして、リゾナンスアクトできる様にしようよ!」
わ~い、という感じで、にぱ~と笑うミクルちゃん。
未だにリゾナンスアクトが何かは分からないし聞く気も無いが、彼女ワールドでは重要な何からしい。
だが、そんな
「それだ!」
「えっ?」
何がそれなのか、と
「
「え…? ミクルたち、
どうやらオレたちは、どこぞの
だが、そんな
「
「……うん…分かったよ…ミクルやってみる!」
分かってくれましたよ、この
「分かってくれたか、ミクル!」
今、オレの中の
オレの”
ありがとう、”
未だに意味は分からないが、君は大いに
ありがとう、『奴ら』さんたち!
どこの次元の生命体か知らないが、君たちがミクルちゃんにとって強敵であったからオレは
ありがとう! ありがとう‼ サンキュー!
「よし、ではイニシエーションを開始する! まずは二人で
「う~んと…じゃあ、ハンバーグ~。」
それに、何とも可愛いチョイスじゃないか!
よし、ならば!
「ハンバーグだな? よし、良い店を知っているから、連れてってやるよ。」
「どんな店だろ? ちょっとドキドキするよ。」
しばし歩き、目的地に着く。
「うわ…ここ
店の前のボードに書かれている値段を見て不安そうな声が発せられる。
しかし、都合の良い事に、今日は
「心配するな、今日は余裕が
この狩り場クラスなら少しばかり
ミクルちゃんは『良いのかなぁ?』という顔で店の中に付いて来る。
店員さんに案内されてカウンター席に横並びに座る。
ミクルちゃんは
運ばれて来た水を飲んで一息付いてから、店員さんに黒毛和牛一〇〇%のハンバーグステーキをコースで二つ頼む。
しばらくしてオードブルサラダとスープが運ばれて来た。
「うわぁ、すっごい! これ、本当に食べて良いの、お兄ちゃん?」
「ああ、背が伸びる様にイッパイ食って栄養分を補給しろよ?」
「わぁ~い! じゃあ、
ミクルちゃんが意気込んでサラダに手を付けようとする。
しかし、
「ありゃ? う~ん…。 とりゃ! あぅぅ…。」
仕方ない、
「ミクル、オレが口に料理を運んでやるから、アーンしてろ。心配しなくても熱いのはフーフーしてやるから、火傷させたりはしないからさ。」
「え…でも…それってちょっと恥ずかしいよ…。」
「ミクルの片手が
「う~ん…じゃあ、お願いね、お兄ちゃん。」
「よし、キッチリ
手始めにサラダを口に運んでやる。
もきゅもきゅと、ハムスターの様に、ほっぺを
続けてスープ。
これは流石に熱いので、言った通りにフーフーしてミクルちゃんの口に運んでやる。
ツルンと飲み込んでニコニコ笑顔で
やべぇ! 本気で可愛いぞ、この
この
何度目かの皿とミクルちゃんの口との
少し周りを見回すと、店内の
よくよく考えればオレがこの
客観的に考えて釣り合いの取れているカップルだとは自分でも思えないが、ギュッとオレの腕を抱きながら嬉しそうに口を開けて
周囲の
オードブルが
『早く、早く!』と言わんばかりに、口を開けてハンバーグの投下を待っている。
一口サイズに切ったハンバーグをフォークに
「う~む、
「うわぁッ⁉ ミクルのハンバーグがぁッ⁉」
「ハハハ、ミクルがあんまりにも無防備に
「うわ~ん! ダメだよ! ミクルもハンバーグ食べたいよぉッ‼」
お
「ウソだよ、ウソ。ちゃんとミクルにも食わせてやるから、もう一度アーンしてな。」
「うん。アーンするから絶対だよ?」
『ちゃんと運んでくれるかなぁ?』と、不安そうにしながら、再度アーンと口を開ける。
今度こそ運んでやってフォークを引き抜く。
「いやぁ、これで間接キッスが成立したワケだ。ミクルの口に運んだフォークでオレが食って、またミクルの口に運んだからなぁ。間接キッスだけど、これはかなりディープだよね?」
「ゴホッ、ゴホッ!」
ハハハ、
いやぁ、
周りの
「ちょ…フォーク! フォーク
「まぁまぁ、そんな慌てんなよ。それとも何か? そんなにオレと間接キッスになったのが嫌だったのか?」
「え…その…そんな嫌っていうワケじゃないけど…ただ…恥ずかしくて…。」
周りからの
この
「仕方ない。新しいフォークを
店員さんに新しいフォークを用意して
ここに来て思う。やっぱしこの
#3#
つつがなく補給活動は済み、オレ達は次の目的地に向かって進む。
狙いはショッピングモール。
映画は当たり外れがあるし、カラオケは二人で
ゲームセンターは色々な遊びを提供してくれるので
ショッピングモールでのウィンドウショッピングなら、モノの好き嫌いがあっても、色々な店を
人の流れの多い箇所ではあるが、ゲームセンターを
それに何より絶対に何かを買わないといけないワケでも
本来なら、そっちを
しかし、お互いに胃がもたれた
「ミクルは何を見たい? オレは新しいコートとか見て
「うーん…小物とか見て行きたいかな。携帯のストラップとか、カワイイのが
「そんなので
「ううん、さっきの店であんなに出して
そこでミクルちゃんの額にデコピンを
「
「オマエさぁ…。オレはオマエの何だ? 言ってみろ。」
「お兄ちゃんは…ミクルのお兄ちゃんだよ?」
「なら、
デコピンを直撃させた箇所を
ミクルちゃんは目を大きく見開いてからコクコクと
「じゃ、じゃあ、そこの小物屋さんにあるイルカさんのストラップが欲しいよ。」
オレの申請にオーケーサインを出した。
「ホイ来た、じゃあ手始めにまず一つだな。」
言われた店に入り、イルカのストラップを二つ頼む。
会計を済ませてから、ミクルちゃんの携帯に付けてやってから、自分のにも
「えへへ、コレでミクル達、お
「ああ、コレで
「うわ⁉ うわわわッ⁉」
顔を
何とも
「ホラ、次に行くぞ。今度は何が
作らずとも
「えと、えと、じゃあ、あっちの店を見てみたいよ。」
安上がりだと思ってウィンドウショッピングにしたワケだったが、この
「ほいさ、了解ですよ、お嬢様。」
それから
店の
くすぐったい様な、何とも言えない
一〇七回もの
だが、このファンタジーを
具体的にはオレの見て回ろうとしたコート等は望むのが困難になって来た頃だ。
しかし、ここでオレがコートを買うのを諦めればミクルちゃんに
「う~んと…これはあの店のコースだな。」
うんうんと納得して見せて、新たな進路を取ろうとしてみる。
「あの店? お兄ちゃんの探したいって言っていたコートがあるとこ?」
「ああ、そうだ。ここから
オレのその説明に、
「古着って、前に誰かが着ていたけど、
ミクルちゃんは、向かう先の橋の無駄な長さより、古着である事に疑問が
「ミクル、古着を舐めちゃダメだぞ。結構ブランド物とかも入っている事があるし、場合によっては新品よりも良いのが置いている時もあるんだ。それでいてリーズナブル。まさに
「そうなんだ。じゃあ
期待に胸を
さて、良いブツが入荷していますように…。
と、進路の途中の橋の
「どうした、ミクル?」
「お兄ちゃん! あそこ! ワンちゃんが
「
「ダメだよ、お兄ちゃん! あの子、きっと足か
「いや、アイツ首輪しているから、飼い主が何とかするだろうし、オレ
「ここ、今は私達しか通ってないし、そんな連絡とかしている
「だからってオレ
「いいよ! 私、行って来る!」
「ちょッ⁉ ミクルッ⁉」
「あの子を
ミクルちゃんが決意を秘めた
オレの左手から手を離し、荷物を降ろして上着を脱ぎ始める。
「待て、ミクル!」
「止めてもダメだよ!」
「違う、そうじゃない! オレが行って来る! オレが必ずアイツを助けて来てやる!」
「お兄ちゃん……。」
ミクルちゃんのさっきの言葉……。
彼女は昔に、目の前で誰かを亡くしたんだ……。
会った当初の”
親しい人を目の前で亡くしてしまった……。
だから、もう世界中の人が悲しまない様に世界を変えたい……。
でも、そんなスケールのデカい願いは、この小さな
だから自分のルール、自分の世界を作って、世界を救える
そして今、生身の彼女は、あの犬を自分の力だけで救おうと挑みかかろうとした……。
この小さな
それをオレが指を
正直、こんな高い所から飛び込むなんてした事もないし、
だけど! この
それ以上に、この
「まあ、見ていろ。この高さから飛び込む事や、
「うん……うんッ‼」
大きな瞳を見開いて、コクリと頷く。
よし、バトンタッチは完了した。
ここからはオレのターンだッ‼
まずは荷物を下ろして上着を脱ぐ。
ミクルちゃんの見ている前だが、ズボンも下ろす。
どこかで聞いた話で、『服を着て泳ぐと水が服に
実際に試した事が無いから分からないが、用心に越した事は無い。
そして
これもどこかで聞いた話だ。
『
時間が無いので手早く、それでいて
これで
心の準備は、とっくに
「じゃあ、行って来る! 必ず連れて戻って来る‼」
「うん! お願い、お兄ちゃん!」
橋の
大きな
まず、最初に感じたのは、高所からの飛び込みの衝撃や寒さより、
口の中に入った水が冷た過ぎて
これは予想外の展開だ。
続いて、
これは心が
だけど‼
「なろうッ‼ この
大きく叫んでから深く息を吸い込み、水の中を
一番早い泳ぎ方と言われるスタンダード!
自分でも驚く程のスピードで目標に進んで行く!
「ガンバレ! お兄ちゃん‼」
ミクルちゃんの
ハッ! コレで元気が出なくて、男の子かってんだ‼
目標まで、あと二十メートル弱!
コレなら行ける‼
大きなストロークと全力のキックで、目標まで、あと、五、四、三、二、……。
「
左手に
よし、後は戻るだけ……。
そこで気付く……。
出発点は橋の上だったが、ゴールは岸だという事に……。
現在地は海中のド真ん中。
橋の下の海とはいえ、海の上にある『海と共に暮らすモデル都市』という売り込みの水上都市である
その上、この
仮にもし橋を通る誰かが他に
だから、この橋の左右の橋の入り口に面していて
その上、出発地点が橋の中央だったせいで、左右どっちの岸もかなり遠い。
岸に上がる
「クッ! だけど
覚悟を決めて進路を左に取る。
左右どっちも余り変わらないが、こっちの進路の方が
左手に犬を抱えたままだから右手でしか水を
その
しかも左手が重い!
犬は小型犬で数キロくらいの重さだろうけど、水の中で抱えるというのは、その数倍の重さの
この犬も、
岸までは、
「お兄ちゃん! もう少し! もう少しだよ‼」
ミクルちゃんが橋を移動しながら声援を掛けてくれる。
クッ…この
ミクルちゃんのお兄ちゃんなんだからよッ! このオレはッッ‼
気合を入れ直して速度を速める。
だが、体力も限界で、
もう少し……。
あと一〇〇メートル……。
五〇……二五……。
「うおらァーーッ‼」
最後の気合で速度を
渾身(こんしん)のキックで岸までの距離を一気に
「だっしゃァーーーッ‼」
今、ゴールインッッ‼
「ハァ…ハァ…ハァ……。」
犬の方も、やっと地面を
コイツ、やっぱり右足を
泳いでいる時は確認する余裕が無かったが、コイツも良くガンバったもんだ。
「お兄ちゃん! スゴイ! スゴイよ‼」
そこでミクルちゃんが
ちょっと目が赤くなっている。
どうやら応援の途中で少し泣いちゃったみたいだな。
ハハ、そこまで応援してもらえたんだからさっきの
#4#
ミクルちゃんが抱えて持って来てくれた自分の服を着てから、ハンカチで犬の右足をテーピングし、このワンコを警察に届けようと移動を開始する事にした。
その間、
正直、
派出所までもう少しというところで……。
「ラッキー‼ ああ……アナタ方がラッキーを保護して下さったんですね! ラッキー……‼ 無事で……無事で
どうやら、このワンコの飼い主さんの様だ。
この寒い時期なのに汗を大量に
「この子の飼い主さんですね。たまたまボクたちがこの子を見付けて警察に届けるところでした。」
言って、ワンコを飼い主さんに差し出す。
飼い主さんは、ワンコを
「本当に、ありがとうございます。」
深く頭を下げてお辞儀をし、ワンコに
「ラッキー‼ 右足を
飼い主さんは、ハッとした様に、コチラに目を向けて来た。
「その子、右足を
「そんな事になっていたんですか⁉ 私、この子を乗せた車を運転していたんですけど、この子を後部座席に乗せて窓を開けていたんです。この子、窓から顔を出すのが好きで、窓を開けないと怒るんです。でも、ふと気付いたらこの子が
なるほど、そういう事だったのか。
しかし、窓から飛び出したら足を
「でも、何はともあれ、大事に
「ええ、お二人のお陰です。」
飼い主さんが
そこで…、
「お兄ちゃんのラトルミレショニーがイクトデシブしたからその子を助けられたんですよ。私は、ただエナジーウェーブを
ミクルちゃんの
どうも
飼い主さんの笑顔が、どんどん曇って行き、
しかし、飼い主さんは、何とか笑顔をもう一度作って…、
「な…何かお礼をしないといけませんわ。」
何とか言葉を
しかし…、
「その子は、チャイファーのウルトアクティを私に送ってくれたから、もうお礼は頂いています。」
必死の抵抗を
飼い主さんの顔が見る見る青くなっていく。
多分、ここで、オレが
「そういう訳で、もう、お礼は
ミクルちゃんの世界を
彼女の世界が、悲しい過去を乗り越える
そりゃ、いつかは『
このままでは通用しない。
でも、今はまだ支えてやる奴が必要なんだ。
それはオレであるべきはずだッ‼
だってオレはッ! ミクルちゃんの、お兄ちゃんなんだからッッ‼
飼い主さんはパクパクと口を動かして止まってしまう。
それを横目に、ミクルちゃんの手を取る。
「さぁ、行こうか、ミクル!」
「うん! お兄ちゃん!」
ニッコリと笑い合って出発する。
もう飼い主さんから声が
今日のこの事で、オレも
「まずは古着屋の方に、もう一度、向かおうか。」
「うん、ステキなのが有ったら、ベミラサイが、カスティアクニになるかもだしね!」
その意味は、やっぱり分からないが、今は笑って
これから、この調子でダダ
でも、
死別という悲しい過去と戦っている彼女を支えると決めたんだから!
どうしたんだろう? また何か見つけたんだろうか?
「どうした、ミクル?」
オレの問いかけに、ミクルちゃんは、
「いま、お兄ちゃんの
まさかの
「ハァッ⁉」
「さぁ、早く次のお兄ちゃんの
トルネード
ちょっと待て!
目の前で亡くなったのが一億と二千万年前とかアンドロメダの彼方って……ッ⁉
それって……『その話そのものが
「じゃあ、さようなら、一つ前のお兄ちゃんの
そのままスタスタと離れて行く。
もうオレには何の興味も無いと言わんばかりに、
しばし、その場で
オレは、ずっと彼女を
というか、そもそもの
「ハハ…ファンタジーは
あ~しっかし、これで失恋回数一〇八回かよ……ッ⁉
それとも何か?
この一〇八回で、
ハッ‼
ファンタジーは突然に 皆木 亮 @minakiryou
★で称える
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