第4話 期待感とかそういう
「やっはーーー!」
「あーーーー?!」
「喋ると舌噛むぞ」
開いた口が物理的に塞がらないのでご心配なく。
現在、山奥からこの子の屋敷に行くまでカラに乗って行こうという話になって積もる不安を紛らわせながら乗ったら案の定これだよ?!顎外れるよ?吹っ飛ばされるよ?
「あっ」
「えっあ、アブゥゥァ!?」
急ブレーキによる土のえげつないえぐれかたとともに俺はカラの背中から放り飛ばされた。踏んだり蹴ったりだよ。転生して俺何かいいことあったか。
ウゥ(泣)手足が恋しいぃ
「大丈夫?!結構勢いあったけど」
「大丈夫」と笑い返したいけど、生憎
誰かさんの突飛な行動によってだいじょばないんだ。全身痛いし。
「未来の主人にみっともない態度とってどうする」
99%お前のせいだよね。確信犯だよね。
「カラ!まだヒナなんだからそんなこと言わないの!」
気持ちは嬉しんだけど少し複雑なんだよ。
「……まって、聞きたいことがあったんだ。2人ってなんで自然に話できて
るんですか?」
「へ!?」
とっさに出てきたその言葉は驚きのあまり裏返っていた。まだそんなに慣れないか、主人よ。
「えーと。私たちは使い魔の魔力が一方的にこっちに繋がって契約しているの。だからここには見えないけど、魔力の細い線があって、そして使い魔は私たちに考えを直接脳に伝えることができるの。『イメージ共有』って言うんだ」
すごいトンデモ設定だな。なるほど、俺の言葉に驚いたのは使い魔以外の魔物が話しかけたからなのか…………
なんで俺喋れてるの?
「雑談だったら歩きながらするぞ」
「あっ、待って待って」
タッタッと2人が歩き始めた。俺は歩幅が限りなく小さいから未だカラの上に乗っている。
「なぁご主人様、俺の言葉がご主人に伝わるのもそのイメージ共有のおかげなんですか」
「よくわからないんだよね……イメージ共有って耳に伝わるより、頭に直接届く感じだから」
「俺は人間の言葉を喋っているということですか?」
「そこなんだけど、君その調子じゃ、うちのカラとも話せるでしょ。ちょっと違う気がする」
同時に2カ国語喋ってるということか。翻○○こんにゃくじゃん。こんなの。まぁ、言語に不自由しないのは素直に嬉しいけど。
「話変わるんだけどさ、君ずっとその敬語のままなの?」
「はぇ?」
予想外のこと聞いてくるな。そういえば俺いつからこんな言葉使いだったっけ。友達に囲まれた生活ばっか送ってたから普段使わないけど……あーそうだ初エンカウントがこのおっかないライオンだったから。
「普通こういうのって。カラが『かしこまらなくていいから普通に話してくれ』とか親切心で言ってくれるのかなーと思いましたけど」
「自分より立場の上の者に敬語すら使えなくてどうする」
けろっと当たり前のように告げた、
主人にタメ口ついているお前だけには言われたくないよね。
「それに、不慣れな言葉遣いで媚を売る姿は流石に滑稽だったぞ……ww」
「クククッ」と笑うカラを見て、あっこいつ悪意百パーだなと思いました。前々から思ってだけどだいぶ性格悪いだろお前。
「まぁまぁ、ちょっと違和感だったし自分の好きなように話していいから」
そう応えてくれたとき、不意にからが止まった。
「ついたぞ」
いろいろ教えてもらった故、時間が過ぎるのが早く感じていた。話に夢中で周りを全く見てなかったな。せっかくだし異世界観光とかしてみたかったが。
「おつかれ、カラ。家でなんてこっちも疲れるんだからやめてよね」
「分かっている、もうやることは終わった」
……街か?畑やら民家やら色々あるけど。一昔前の人ってこんなふうに生活してたのかな。デジタル社会の慣れかやはり一目見てみると物足りなさがあるが。
少し楽しそうだった。
このカラス、百獣の王を志す。 ハッピーエンド厨 @46kuro
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。このカラス、百獣の王を志す。の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
近況ノート
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます