『魔王〝バカめそっちが本物だ!!〟その時から私は本物になってしまった』泥んことかげ
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第1回気になるどープロジェクト応募作品
1 作品タイトル『魔王〝バカめそっちが本物だ!!〟その時から私は本物になってしまった』
作者名:泥んことかげ
2 作品のリンクはこちら↓
https://kakuyomu.jp/works/1177354054893539907
3 尾崎が作品を読んだ日:
2020年 7月 29日
4 メモ(感じたこと、作品内容など):
こちらの作者さん2作目の応募です! 1作品目のリンクも下に貼りますね。
このタイトルけっこう気になってたんですよ~。「何言ってんのこの人(笑)」みたいな感じで、面白い。
短編みたいですね。短編かあ……よく考えたら企画対象外だけど、まあ大体最初の3000字くらいを基準に評価してみましょう! というかレビューの数が多い。すごいなあ。
① 上記のとおりで、タイトルは面白いので気になってました。あんまりタイトルとして見たことのない感じでした。良い。
キャッチコピーは同じく「何言ってんの(笑)」という感想ですね。おそらくそういう作品なのだろうなと思いつつ、今回は脱力しながら読んでいくことになりそうです。
キャッチをよく読めば「一体何が言いたいんだ? 当たり前のことを言ってるんじゃないか? どんな話なんだ?」と気になる仕掛けになってるみたいです。
「一体何が言いたいんだ?」というタイプのキャッチコピーはけっこうカクヨムでもよく見ます。趣向を凝らしたりして、面白いと言えば面白いのですが、それがちゃんと引きになるか、内容まで気になるかといえば、そうじゃないことが多いですね。
本作の感じは好きですね。たぶんタイトルとのトータルコーディネートで仕掛けているうえ、ちゃんと洒落ていてセンスを感じます(私の感性が優れているというわけでもないけどさ。ユーモア的センスがね)
あらすじについては、『因縁』が被ってますね。お知らせしておきます。
そして「ますます何をいってんだい」と感じですね。『魔界中』と『魔生』がどう読むべきか迷いました。
② 第1話ということで『勇者とて正義とは限らない』を読んでいきます。
『時は──時代』という始まりについては違和感あるなあと前回も指摘したような気がするけど、今回はなぜかそんなに気にならないですね。イメージしやすいからかな。
世界観が独特ですね。
ただ、面白いといえば面白いけど、読んでいて「そんなに自分には関係ないかなぁ」という感覚になった。理由としては、
「オリジナリティのある舞台・斬新な舞台ではある。けれどその舞台設定の紹介からはじまり、そこでぐっと引っ張るような事件があるわけでなく、誰かがピンチなわけでなく、だらだらと流れていく」という書き方だからだろう。
言葉を選ずに言えば、退屈な出だしということ。何か正義とか悪とかの概念的な話よりは、舞台紹介と同時進行ですぐ物語に入って、それこそ正義と悪の間に悩まされる少年Aや魔物の姿を見せてほしいかな。
この正義と悪の部分も少し穴がありますね。この世界では『強い=正義で弱い=悪』という定義をしてしまっているのに、その後で『何をもって正義や悪なのか』と問うても、「そりゃああなた、強さなんでしょう?」と突っ込まれますよ。
それらをいろいろ考え、このプロローグ的な『 ★ 』の箇所で読むのをやめようかなあと思いました。
一応、企画としてもうちょっと読みます。
③ 魔王の視点に移る場面である『悪の根源であり──はというと……。』の後が、ちょっと飛んでる感じですね。
こちらも『 ★ 』とかで区切ってあげればいいと思いますよ。
うーーーん。明確に『ここ!』という直接の要因となる箇所はないのですが、途中でウトウトしてきて、もう読むのやめようかなと思ってしまいました。たぶん『王たるもの決して動じず、相手を見据え次の一手を打つのも王たる仕事である――――』のあたりだったと思います。とりあえず中盤のあたりでそうなりました。
突っ込みが少ないコメディ小説の悪い部分が出た、というのが原因でしょうか。なんか読んでいて、自分の遠いところで起きているというか、友達の勧めるDVDを付き合いで観ているような感じですかね。
小説はどうしても共感が無いと読み進めにくいので、とても不利な形式の作品だと思います。仕方のないところでしょう。
文字数がまだまだ残っているのですが、とりあえず採点に移って、それから最近よくやる総評的なやつをやりたいと思います。
5 この作品の続きが気になる度は……
…
……
…………
【30%】です!
ほぼ気にならない、という評価ですね。すみません。
タイトルとキャッチとあらすじにより、軽快なタッチの短編が読めるかなあと期待していたのですが残念です。特に、スタートダッシュからしばらく、魔王ともう一人の影武者的な魔王との入れ替わり的なことが発生しないのも不利ですね。本文を改めてざっと読み、途中で『前フリ』が長かったという一文があるとおり、マジで長かったです。
ぶっちゃけると、みんな息絶えて『俺、どうしよう……』みたいになっている場面からスタートして、魔王と勇者のバトルシーンはほぼ全カットでいいと感じました。
短編でそんなことをやっていたら、箸にも棒にもかからないし、誰も得しませんよ。超有名な作家さんがお遊びで出版したような短編集なら許されるかもしれませんが……その作家さんだって、味をしめて同じことばかりやり出したら、読者は必ず離れます。
カクヨムにかぎらず、ネット小説には短編小説の投稿が非常に多いですよね。
私も過去にいくつか書きました。(PVや星、レビューは大してもらえませんでしたが)
なぜ書くのかといえば答えは簡単で、手軽に書けるから、です。
「俺、短編の方が得意だわー」
なんて勘違いしていた時期もありますが、その『得意』という根拠は、
『ぱっと思いついたアイディアをまとまった一定のストーリーラインに乗せて短時間で書くことができる』
程度のお話でした。
舐めてますね。
小説界の重鎮である北方謙三さんは、『ミステリー小説の書き方』というノウハウ本の中で、『短編は難しい』と述べていました。
舐めていた当時の私は「そうかなあ~? 簡単に書けるじゃん?」なんて思っていましたが、最近になってようやく意味がわかりました。
北方さんの言う『難しい』は、技術面など狭義での『難しい』を指しているのではないんです。読者の反応その他もひっくるめて広義での『難しい』という意味だったのです。
いや、たぶん本書にもそう記されていたと思うのですが、今よりもさらに未熟だった私は、それを誤って捉えていました。
『短編=難しい』という問題を階層化して考えてみると、こんな感じです。
(0)小説を書き上げるのは難しい。
(1)短編小説を書き上げるのは難しい。
(2)短編小説を上手に書き上げるのが難しい。
(3)短編小説を上手に書けても読者を喜ばせるのは難しい。
(4)仮に短編小説を上手に書けて読者を喜ばせても、作品のファンにさせることは難しい。
→ だから結論として、短編小説を書くのは難しい。
私がネット小説を一生懸命研究していた頃の話ですが、ある短編小説が、その日の日間ランキングの1位になっていました。他の長編でかなりのPVをとっていて、フォロワーも多い作者さんでしたが、その勢いたるやすごかったです。
そしてその短編小説は私の心をくすぐり、三十分ほどかけて読み切りました。がっしり掴まれて、自分の執筆もあったので何度も読むのを止めようとも思ったのですが、結局引っ張られて最後まで読みました。面白かったんです。
ところが読了すると、それで終わり。短編なので、物語は完結しました。
私がそれでとった行動はといえば、特にこれと言って無いんです。評価はつけたかもしれないけれど、作者さんのフォローをしたわけでもないし、そもそも作品をフォローしたところで短編なので更新も無いじゃないですか。(事実はどうかわかりませんが、私はそう思いました)
一応キャラクターはそれなりに起ってますが、ストーリー重視でそんなに印象に残りませんし、その場かぎりの物語です。
単発でバズったツイッターのようなものです。そもそも併せて面白い長編の代表作を持っていて、そのPRを兼ねて発表した作品だとか、そういうことであれば良いと思いますけどね。
結局面白い長編小説ありきですから、だったらまず面白い長編・中編を書いた方がお得だよね、という結論になります。
シリーズものにすることを前提に作ったものや、練習のために書くものは別ですが、
目的なくただ短編を書くのは……ほぼメリットがないと私は考えます。どうにかしてアイディアを中編から長編まで膨らませるか、あるいはちゃんとこだわってシリーズものにする方がいいです。
その方が読者にとっても価値が高いです。
なんでわざわざ短編に? という作品はわりと多いですし、やりがちだと思います。ネット小説の場では特に。
いまだに短編で応募できるコンクールもけっこうありますしね。カクヨムさんもまだ短編部門やってるのかな。
おかげですごく簡単にエントリーはできますけど……仮に受賞できたところで読者が喜ばないなら、次につながらないし、あんまり意味ない。結局出版社さんも賞金だけ払って、そこまで売れないなーとか、サイト登録者数伸びないなーとか、そうやってぼやくことになっちゃうので、長い目でみると損だなと思います。
いざ応募しようと思ったら、リライトや見直しもするし、ちゃんと短編として構成も考えなきゃいけないですよね。受賞を狙ったりするような作品ならなおさらですよね。
その時間って、もったいない気がします。
「どうしてもこの作品は短編にしかならない。どう頑張っても、膨らむことなんてない。すべてのパズルが揃っていて、完璧なんだ。だから短編にしたい!」
というある種のアート的な執筆か、
「私は短編にこだわってるんです。どうしても短編小説じゃなきゃ嫌なんです。それで絶対人気になってみせますから!」
という覚悟がないかぎりは、やめるべきだと思います。
意味なく寄り道をするくらいなら、自分の課題に向き合い、目標を見つめ、成長のために日々どんどん新しいことにチャレンジする方が得策です。
例えば1日の執筆ページ数を日ごとに増やせるように計測するとか、昔の作品を始めから読み直してもっと魅力ある形にできないかリライトしたり、プロの作品から毎日何かひとつ技術を盗むため研究をしたり。
今回の企画に挑戦することもすごく良いですよね。多少の勇気とハートの強さは必要ですが、素直な読者の意見が聞けて、しかも多少の気遣いもしてくれて(そのつもり)、さらに公開もしてるから、他の読者の意見が聞けたり、反応がもらえたりするチャンスがあるし、どこが自分の課題かすぐに見えて効率的です。
他の作者さんたちが短編に逃げている間、こっちではきちんとアイディアを練り、キャラを起たせ、舞台とストーリーを敷き、読者を引っ張る仕掛けをつくり、カタルシスが出るような演出を添え、etc...。
そうやってひとつひとつ自分の課題をクリアし、成長し、読者を喜ばせられる作品を書きあげられるようになりませんか。
いや、偉そうにすいません。強制もしません。
6 読者のみなさまへ:
→ いまのところは、あまりお勧めしません。「もう勇者とか魔王とかファンタジーとか読みすぎて、ありきたりになっちゃいました」という方は、ちょっとしたスパイスのつもりで読んでみるのが良いですね。舞台設定はオリジナリティがすごいので、刺激もりもりなのは間違いないです。
レビューも多いので、肩の力を抜きたい方はどうぞ。
以上、最後まで目を通していただきありがとうございます!
気になった方は、ぜひこの作品のリンクをコピーして読んでみてくださいね!
https://kakuyomu.jp/works/1177354054893539907
1作品目はこちら『いつかあなたに刃を向ける時』
https://kakuyomu.jp/works/1177354054891958530
→尾崎の評価はこちら。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054914254604/episodes/1177354054917489917
では、次の作品紹介をお楽しみに!
尾崎ゆうじでした!
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