『いつかあなたに刃を向ける時』泥んことかげ
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第1回気になるどープロジェクト応募作品
1 作品タイトル『いつかあなたに刃を向ける時』
作者名:泥んことかげ
2 作品のリンクはこちら↓
https://kakuyomu.jp/works/1177354054891958530
3 尾崎が作品を読んだ日:
2020年 7月 23日
4 メモ(感じたこと、作品内容など):
ペンネームが気になる感じですね。ダブルミーニング的な? なんか反応してしまうペンネームです。
最初に★の数と他者レビューが視界に入ってしまいました。充分人気作の雰囲気だけど、どうでしょう?
※今回は細かい文章の指摘が多くなりました。可能であれば、本作を参照しつつ、以下の評価をお読みください。
① タイトルは、うーん。可もなく不可もなく。
ではキャッチコピーはというと、うーん、やっぱり何とも言えないかなぁ。
そうなると、タイトルとキャッチコピーだけ並んでいた場合には、読者を掴みにくいと思う。
作品のイメージはなんとなく浮かびます。剣とか刀とかによる刃傷沙汰のシリアスな物語なのだろうなとは想像がつくので、悪いとは言わないけど、不利ではあるかも。
あらすじはどうかな。全体的にすっきりしてかっこいいイメージですし、物語の内容は伝わります。それこそ白刃の切っ先を思わせる鋭いあらすじですね。
ただ、だからこそちょっと違和感のある箇所がありまして。せっかくかっこいいのに……と思ったので、無視できず、ちょっと指摘してみます。
あらすじ引用。【】に私が感じたことを書きます。
引用
『時は〝植魔虫〟と言う未知の化け物が人間に寄生し、混沌と絶望が混ざりあった時代。
【なんか違和感。なんだろうなと思ったら、その正体は『時は』という時代背景を指す主語。『時は平成』『時は戦国』みたいな、歴史的に実際あった時代を指すならスムーズだけど、ファンタジーの世界なら使わない方が楽だと思う。ファンタジーの場合、舞台の説明もしなきゃいけないから『時は』と時間を指す前置きした後で『場所』の説明をしているような印象になる。『時は』は抜いたほうがかっこいい】
対処出来るのは唯一の武器であり業物〝花輪刀〟を所持する者のみ。【そうなんだ。おいしそう】
平凡な日常から突然ひっくり返り、全ての植魔虫を駆逐するために、旅立ちを決意した1人の少女が仲間達と立ち向かうお話。』
【「ひっくり返り」って表現は良くない。どってん、みたいな印象。あくまで例だけど『その時は突然やってきた。少女の日常は一変した。彼女はすべての植魔虫を~~~』のように、一文にまとめるべきものとまとめないものを見直す必要があると思う。『平凡』を消したのは、「混沌と絶望の時代の平凡とはなんぞ?」という疑問が浮かび、どうも釣り合わないんじゃないかと感じたから】
訂正するかどうかはお任せしますが、少なくとも『ひっくり返り』だけは直した方がよいと思いますよ。
ここまで3要素を見ましたが、個人的にはあまり惹かれないかなあ。本文次第ですね。
② では第1話へゴー。
と思ったら、やや複雑な状態になってるなあ。大見出しの下に第0章があって、第1輪が第1話ということかな。
第1輪のタイトル、確かに。誰しも見てる世界は切り取られた一部のみ。かっこいい。
しかし、せっかくかっこいい世界観だけど、文章に違和感。雰囲気を壊す可能性があるので注意。一文に何とか詰め込もうとしなくても、かっこいいものはかっこいいし、リズムも維持できるから、落ち着いて見直しを。
冒頭の一文なんだけど、あらすじで伝えたのと同様の違和感があるので、どこがそれにあたるか考え、自分でもおかしいと思ったら直してほしい。
あと、生まれ持った狂暴性の強い本能と、人間への寄生って関係あるのかな。『本能的に、彼らは人間を最終宿主として標的にしており(コバンザメみたいだね)、寄生したが最後、その狂暴性を存分に発揮する』のような形にした方が、言葉の意味が直接かかる気がする。
『非力で~~』の一文は、なんか気持ち悪い。何が主語なのかわかんないというか、あやふや。
一文に詰めるなら、『人間は非力で無力にて為す術なしと、半ば諦めている者も多かった』のように、人→人間にした方がいいと思う。『人』という言葉と『者』という人を表す言葉が重複しているから、意味がわからない文章に見える。
次の『狩る者達』の一文は『存在している』より『存在する』の方が自然かな。
細かい指摘が続いているけれど、「冒頭で一気に神視点の舞台説明をしてしまおう、しかもかっこよく!」という作者さんの意図が見える以上、その文章で何を伝えているかわかりづらく、しかも随所に違和感が見られる状態ではどちらも実現しないから、読者として読んでカッコ悪いと思うものは無視しないほうが良いと感じた。
もっと情報がきちんと伝わるよう練ることをお勧めする。
個人的には舞台設定の説明から入る物語は掴みが弱いと思っているのだけど、この物語の場合はそこまで弱いと感じなかった。
おそらく寄生虫が人間に寄生してむごたらしく侵食するような、読者も含めて被害者になるような描写なので、そこまで外側で起きているような感じがしないのかも。
〝百日草〟の紹介から入ったら、たぶん興味ないなあと思った。紹介順序としては正解かも。
他にも指摘したい箇所はあったけど、次へ進みます。
少女と老人の住む手作り一軒家から物語は始まるのか。
『山盛りの食材を避けながら』って、いいですね。なんか気が利いてる。
台詞のカギカッコを二重カギカッコにしてるのは意図してなのかな
こういう世界観(まだあんまりわかってないけど)で、『
主人公の気持ちも、おじいちゃんの気持ちも共感できる。だから二人の言い争いが始まってからは順調に読めた。
ただ主人公が外に出た後の『私は私の意思と、この瞳でお母さん達が見た〝外の世界を知りたい〟。』という箇所が、無視できなかった。
意味は想像できるけど、すごくごちゃごちゃっとしている。
要するに『お母さん達が見た外の世界を、この瞳で私も見たい』ということだろう。それが彼女の意思によるものだというのは読者もわかっているので、ここであえて自分の意思であることを告げる必要は無いんじゃないかな。
『危険度の低い朝型の個体の死肉を求めて、夜型が人里離れたこの場所へ移動していた事』という箇所だけど、
おそらく植魔虫のことを言ってるんだろう。わかるっちゃわかるけど、いきなり朝型の個体とか夜型の個体とか言われても……という印象を受ける。
リズムは狂うかもだけど、せめて『朝型の植魔虫の個体の死肉を求めて』『朝型より狂暴な夜型の植魔虫が』のように書いてほしい。それにより読者の「なんのこっちゃ(イラッ)」という感情が起きないようにしてほしいと願うのだけど、いかがでしょう。
というか、誤算だらけだなおじいちゃん……。誤算って、一つか二つじゃないかな。そもそもの計算能力を疑われちゃうよ。
③ とりあえず第1話の最後まで読んで、ストーリーはなんとなく追えたのですが、どうしても文章の粗が目立つ。逃げろと言われて逃げたはずの桜花が、読者になんの断わりもなしに、捕食されている祖父を目撃しているとか。
せめて、『やっぱり無理だ、じいちゃん!』みたいに、来た道を猛ダッシュで戻る描写だったり、あるいは『桜花は知らぬ間に、もとの場所に戻っていた』といった描写が無いと、何がなんだかわからない。
なんでもありじゃん、となってしまう。
雰囲気はかっこいいんだけど、そこかしこでつまずいてしまう感じ。
たとえるなら、すっごくイケメンでおシャレで性格もいいのに、喋ることは馬鹿だし、財布はいつも忘れるし毎度何時間も遅刻もするし、毎日チャック開いてるし、臭いし……という残念な男子みたい。
このままだと気持ち悪くてしょうがないなと思い、第5輪を読んだ。(1輪から飛んで5輪らしい)
そこで桜花の逆襲が始まるのだけど……。どうも1匹目の夜盗虫が弱いと思った。
夜盗虫がいかに危険か、という描写があんまりないので、桜花の一撃がスイカ割をしたようなイメージにしかならなくて、せっかくの見せ場なのに……と残念に思った。今後どうなるのかわからないけど、夜盗虫の設定少し変えた方が良い気がする。
どんなに飾っても、スイカ割りはスイカ割り。あとでもっとピンチな状況になるにしても、それはそれ。
最初の一撃は絶対に大事。せめて夜盗虫が変態し、さっと動いて桜花に立ち向かってくるようであれば、スイカ割りの印象にはならないと思う。
というわけで、少女の一人旅が始まろうとしているところで、今回は読むのをやめました。
花や植物、ついでに虫をベースにした刀と少女の物語という世界観は、思いのほか読んでいると魅力があったし、どこで思いついたんじゃそれは、と突っ込みたくなるほど諸々のネーミングセンスが良い。
技の名前なんて、一見ダサそうなのに「うーん、よく見るとかっこいいかも」と思ってしまうところが妙。
逆に、その辺が最も作者さんの好きなところなのだろうなと感じる。そしてその他は、さらさらっと流してるような印象がある。
土台がしっかりしてないと、見せ場の盛り上がりも半減しますよ。
ああ……結局祖父が捕食されたから、
それはさて置き、だいぶ長くなりましたので、このへんで採点に入ります。
5 この作品の続きが気になる度は……
…
……
…………
【50%】です!
好きな人は好きな物語だと思うのだけど、ちょっとチャック開きすぎなので、要リライトだと思います。私はストレスが強くて先に進めませんでした。
作者さんの中でも、けっこう前に書いた作品なのではないかなあと想像します。小説リストを見る限りでは、このあとにもいくつか作品あるようなので、この作品の1話目を書いた後で、もっと成長しているだろうと想像します。
今回紹介できなかったけど、できれば直してほしいなあ、という違和感の箇所はところどころに見られるので、ぜひこの機会に、『尾崎の目』という技を身に着けて、注意しながら読み直してみることを強くお勧めいたします。
6 読者のみなさまへ:
→他の読者さんの評価がすごく良いんですよね。刀や技の名前がカッコよく、諸々の描写のまずさを無視して読み進められるという方は、読んでほしいかも。
警戒心が薄く外界のことを何も知らない少女が、次々と危険な目に遭ってはそれをくぐり抜けていく物語を楽しむことができるとおもいます。
以上、最後まで目を通していただきありがとうございます!
気になった方は、ぜひこの作品のリンクをコピーして読んでみてくださいね!
https://kakuyomu.jp/works/1177354054891958530
では、次の作品紹介をお楽しみに!
尾崎ゆうじでした!
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