『青春と異世界と山岳部』藍玉銀

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第1回気になるどープロジェクト応募作品


1 作品タイトル『青春と異世界と山岳部』

  作者名:藍玉銀


2 作品のリンクはこちら↓

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054896355774


3 尾崎が作品を読んだ日: 


 2020年 7月23日


4 メモ(感じたこと、作品内容など):


 4連休ですね! 今日もはりきっていきましょう! 


① タイトル、けっこう好き。だけど作者さんが「第1話のアクセスが少ないなあ」と感じているとしたら、変えてみても良いかも。


 なんとなく『青春』がネックかなと思う。


 『異世界』と『青春』の組み合わせは、最近だと普通な感じがするし、ましてよく考えたら『山岳』と『青春』って、近い位置というか、並んでいて驚かないから、そんなに目を引かないかも。


 最近とあるイラストレーターさんの動画を観て『青春と変態』という小説を買ったんだけど、おそらく何も知らないでタイトルを読んでも「いったいどんな話なの……?」と手に取ったと思う。


 そこまでじゃないにしても、今回のタイトルだと『学校と(異世界と)囲碁部』くらいに、並んでて違和感も驚きも無い気がする。あくまで例だけど、『恋と異世界と山岳部』くらいに『青春』の抽象度を下げた方が、読者の目には留まると思う。


 本文に何かヒントが無いかなあ。


 キャッチコピーは、結構いいかも。個人的には好き。ただ、『ここに来て初めて』というワードがなんか変な感じ。メンバーの誰かの視点から話しているのはわかるけど、読者としては『ここに来て』がどこに来てなのか曖昧な印象を受けるせいか気持ち悪い。


 あるいは『いまさらになって』とか、そういう意味に捉えることもできるからかなあ。とにかく変な感じ。


 だったら、『異世界に来て初めて、僕たちの価値観が~~~』(主語が入ったほうがいいかも)とはっきり提示した方が刺さりそう。


 けっこうタイトルやキャッチコピーに「作品の内容を漠然とまとめるとこの単語!」みたいなワードを入れることって一般的だけど、だからこそありふれてしまいがち。他の作品に紛れて目立たなくなると思った方がよいかな。


 あらすじはというと。


 作者さんがリアル山岳部なんだ。へえ。いいね。ポイント上がる。


 ただ、あらすじの内容は微妙。


 なんというか、誰かが一生懸命情熱を込めて喋ったことを、「なるほど。一言でまとめると、こうですよね」と言って、冷めちゃってる感じ。


 今回は、私がこのあらすじのどこでどう感じたかを、【】で書いていくパターンで説明しよう。


引用→【私見】

『(1)リアル山岳部が書く!!もしも山岳部が異世界転移したのなら…?【いいね】


 (2)夏合宿の一日目、大きな岩をくぐるとそこは雪山だった。【いいね。でもただの雪山だと、山岳部なら普通にありそうなイメージだけどな。もうちょっと過酷感、異世界感が見えないかな。登山に馴染みがない読者は、登山=頂上に雪が残っているようなイメージを持ってる。少なくとも私はそう思った。「ただの雪山かあ、異世界だってわかりにくなぁ」みたいな】


 (3)四陵高校山岳部は異世界転移してしまったのだ。【なるほどね】


 (4)男子五人、女子三人の個性豊かで、天才や凡人が入り乱れるメンバーたちの【わかるけど、ここで天才や凡人が、と言われてもなんかグッとこない。なんか属性で他人を語って表してるというか。『ギャル』で一括り、『不良』で一括り、みたいな。あんまり良くないと思った】


 (5)価値観が、友情が、恋がここに来て始めてぶつかり合い、絆を深めていく【また『ここに来て』か。それはともかく、彼らが絆を深めていく過程は、私はそんなに興味ないかな】


 ……という感想を抱きました。


 もしも改善するとしたらだけど、彼らの中に天才や凡人がいて入り乱れることをここに書くと「まとめました感」が強くでてしまうので、削って下部の『山岳部メンバー』の欄に、それぞれの簡単な特徴(主に内面)を書く方がいいと思う。


 あと価値観やらがぶつかって絆を深めていくのは確かにストーリー上そうなんだろうけど、やっぱり「まとめちゃったよ……」という感じで、あんまり惹かれない。


 絆を深めていくのがこの物語の目的でもないでしょう? みんな元の世界に戻ろうとか、そういう目的があって、その過程で喧嘩したり、わかり合ったり、恋に発展したりするわけだ。


 目的やら感情やらを価値観の一言でまとめているからだと思うけど、味がない。せめて目的は書いてほしいんだけど、目的は1個じゃないのかもしれないね。たとえば元の世界に戻りたくないメンバーもいるとか。


 だとすれば、あらすじはさっとなぞって、メンバー紹介にそれぞれの価値観を書いてあげるといいかも。この人は誰と衝突しがちとか。それぞれのキャラクターが見えてくれば、第1話を読んでみようかなあ、という気になるかもしれません。


 つまり今の状態だと、それほど第1話まで進みたいなあとは思わなかったです。


 ※改題したんだ。前よりは今の方がいいですね!


② では第1話を読んでいきましょう!


 章見出しが『一合目:』っていうの、けっこういいですね。


 それで冒頭だけど、『岩をくぐると雪山』っていう一文は、あんまり素人にはその驚きが伝わらないな。何か工夫が必要。


 それと、『突然大きな岩が現れた』。という表現だと、空間に物質がいきなり出現したようなイメージになる。作者さんがそもそもどういうイメージをしているかわからないが、たぶん『突然』が余計。


 あと、言葉足らずかな。『岩が現れた』→『それをくぐった』という記述を見ると、読者は「なんのこっちゃ?」と首をひねるだろう。


 それらの言葉を書くことによって、読者が頭に何を思い浮かべるか、想像しよう。


 では例として、冒頭の文章の行間を埋めてみよう。あくまで「こういうことを伝えたいのかな?」という私の想像だ。


『登っている途中で、目の前に大きな岩が現れた。どうしてこんなふうになったのか想像もつかないが、その岩はアーチ状になっていて、山道をまたぐように鎮座していた。まるで大岩でできた鳥居のようだった』


 なら、意味がわかる。


 前の状態だと「大岩がごろんと登場して、誰も驚くこともなく、とりあえずくぐりました」という印象を受けるので、読者としては


「え、どうやってくぐったの? 岩が浮いてたの? それとも崖に引っかかって隙間ができてたの?」


 という疑問を抱いてしまう。けっこうな負担だ。


 そのあとの描写は「へえ」と感心するところだった。山道に障害物がある時って、やっぱりちゃんと除去したり、情報を回す人がいるのだなあと、勉強になった。(よく考えたら当たり前だけど、素人の感覚って、そうでしょう)


 ただ、今度はその後ですぐに『遭難、したのか』という誰かの台詞が登場する。


 ここも読者の視点を知るチャンス。


 冒頭で雪山の描写が出てきて、その後で岩が出てきて、くぐって……読者は今ようやく雪山に入ろうかというイメージをしている状態です。


 リアル登山家の方々の判断がどれくらい早いかはわかりませんが、いきなり景色が雪山になってすぐに、これといった驚きのリアクションもなく、『自分たちが遭難した』という認識にはならないと思うんですよね。


 同級生の男子と女子が会話しているのを見てすぐに「お前ら付き合ってたの!?」というくらい早とちりかなと思います。


 せめて「雪……? そんな馬鹿な」みたいな台詞でないとおかしい。そう思うからこそ、振り返って大岩を抜けようとするわけですよね。


 (あれ……もしかして大きな穴の空いた大岩、という意味だったのか?)


 本文、けっこう違和感のある箇所が多く指摘ばかりになってしまいました。


 この辺の違和感の原因は、現在どの時系列で起きている出来事なのかを、作者さんがうやむやにしているところにあると思います。


 小説の場合は文字情報しか頼れるものがないので、時系列は慎重に取り扱わなければ、上記のような混乱を読者に与えます。


 それは今起きていることなのか、それとも過去に起きたことをいま振り返っているのか。それによって書き方は変わってくるので、他作を読んで、どういう書き分けをしているのか研究してみてください。


③ あまり指摘が多くなっても話が進まないので、あとは指摘箇所を無視して、第1話の最後まで読んでみました。


 全体的に、なんかストーリーの進行が乱暴に感じました。


 表現が難しい。特に、キャラクターのリアクションが不自然なので、その辺をよく勉強してほしいです。


 あと、専門用語について、文末にて説明してくれてるんだけど、できればその旨をあらすじの最後とか、あるいは冒頭で、


『※専門用語について、各話の文末に掲載しています。わからない言葉があったらそちらを参照ください』


 のような注意書きをしてくれると非常に親切。途中で小説から目を離し、ググらなくてすみます。


 そろそろ採点に入ります。



5 この作品の続きが気になる度は……

 

 …


 ……


 …………


 【25%】です!


 リアル山岳部のお話は知りたいし、それだけは気になるのですが、ちょっと文章がそれについて来ない印象です。


 小説を始めたばかりという紹介がありましたので、今回の評価を機に、登山の魅力を存分に伝えられるように鍛えていきましょう。


 まずは好きな小説を探して、それを何度か読むことでしょうか。自分の課題が何かを見つめ、プロがそれをどう表現しているか、どう読者に伝えて違和感ないよう、そしてワクワクするように読ませているかを研究しましょう。



6 読者のみなさまへ:


 → 山岳部の話、という内容については魅力なのですが、現時点では正直なところお勧めではないです。登山に興味ある方は、本作をとりあえずフォローしてみて、いずれきちんとした作品になるのを待っていただければと思います。


 以上、最後まで目を通していただきありがとうございます!

 気になった方は、ぜひこの作品のリンクをコピーして読んでみてくださいね!


 では、次の作品紹介をお楽しみに!


 尾崎ゆうじでした!

 

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