『ビーストウォリアー』ネガティブ
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第1回気になるどープロジェクト応募作品
1 作品タイトル『ビーストウォリアー』
作者名:ネガティブ
2 作品のリンクはこちら↓
https://kakuyomu.jp/works/1177354054885067799
3 尾崎が作品を読んだ日:
2020年 7月 22日
4 メモ(感じたこと、作品内容など):
最近の評価シートの書き方ですが、読みながら同時進行でメモをとり、最後に見直しつつ、トータルで総評を書く──というライブ的なスタイルに落ち着きそうです。
もし「極端に読みづらいぞ尾崎!」という意見がありましたら、また改善します。
さて連絡事項はそこそこに、本作の評価を始めましょう!
① タイトルについて。うーん、何とも言えない。どちらかというと、あんまり良くないと私は思った。どこにでもありそうだし、『ビーストウォリアーズ』というゲームもかつて存在したので、そちらに引っ張られそう。(まあどうやらゲームの方は、正式には『ビーストレスラー』のようですが)
キャッチコピーについて。
わかりやすいし、シンプル。
逆に言えば、感想がそれくらいしか浮かばない……。
あらすじも無いので、潔いと言えば潔いけど、それで読者を掴もうと思えば結構ハードルが高そう。
お笑いでたとえるなら、一発ギャグを本当に一発だけやり、
「わぁ、この人おもしろいから、劇場にも行ってもっとネタ見せてもらお!」
とお客さんに思ってもらうくらいハードルが高い気がする。
つまりここで言う一発ギャグが、本作におけるキャッチコピーだ。タイトルはあんまり掴みが強くないので、よほどこのキャッチコピーの内容が良くないかぎりは読者を掴みにくいと思うんですよね。
掴むというか、第1話まで引っ張るというか。
実際のところ私はいち読者として掴まれなかったし、なんなら、
「たった1人のために戦うヒーローってスケール小さくない? ヒーローと呼べるのか? 内容が簡単に想像できるけど、それで面白いのか?」
という多少ひねくれた見方をしてしまいした。内容は読んでいませんが、本作を『外敵から誰かを救うヒーローものの作品』だと仮定したら、そんなの世の中にいくらでもあるし、よほど何か新しいものがない限りは、興味が湧かないですよね。
あるいは仮面ライダーのように、すでにシリーズとしてブランドが確立されている作品のシナリオなら別ですけど。
それくらいならドラゴンボールとか、未読のヒロアカとか読んだ方が、良い時間の使い方だよなあ。
──なんて言われたら、ムカつきません?
作者さんがそれに異を唱えるチャンスというのが、このキャッチコピーとあらすじなので、いま一度見直してみてはいかがでしょう。
情報が少なすぎて、今のところ改善案は浮かびません。
② では①のことは抜きに、第1話に参りましょう。
冒頭は、人間を襲う敵の獣人たちの台詞から。
いきなり登場する敵キャラの台詞としてはカッコ悪いなあ。おそらくモブ的な敵の台詞だと思うんだけど、それにしたってなあ。
特に後半の『そうすることで、我ら~~』の箇所がダサめ。ただダサいくらいなら、いらない。ヒーロー役が、「てめえ、さてはザコだな? そんなクソみてえな台詞しか思いつかねえのか」みたいな突っ込みを入れるための前フリだったら、まだアリだけどなあ……。
台詞のかっこよさって、書いている本人は客観視しにくいから難しいよなあ。
敵役の台詞や、ザコ敵の滑稽さをどう表現するかという点ですが。説明が難しいので他作を参考にしましょう。
漫画の『ワンパンマン』を読んだことはありますか? 息の長い人気作ですよね。
あれって、コメディ的な要素と、シリアスなヒロイズムが絶妙に融合しているんです。私は1巻目を読んで「何これ、ダサいから読みたくない」という反応にはなりませんでした。
1巻の2話目には、カニ星人みたいな敵役が登場します。彼は昼寝中に胴体に乳首の落書きをされたことで怒り、復讐を果たそうと街を練り歩いています。そこへ、後にワンパンマンとなる主人公が遭遇し、戦闘になってしまう、という展開です。
敵役に落書きをしたという勇気あるいたずら少年の顔も特徴的で、つい笑ってしまいます。
この2話目は全体的にダサいし、ほぼカッコ悪い要素しかないですが、それでもあくまで2話目です。1話目は、ちゃんと強くて凶暴な、いかにも敵っぽいやつが登場します。彼が喋ることもまともです。
というわけで、出だしはかっこよく! 敵役があまりにも丁寧に喋っちゃうと、ダサいですよ!
さて、続きを読みましょう。
うーん……。読者に伝えたい情報、紹介したい情報を整理しよう。三人称の地の文を使って説明するのならば、その特性を有効活用しないともったいない。
引用
『人々は突如現われた異世界から来たという異形の獣人達の組織「ビーストウォリアーズ」に蹂躙されていた。』
という部分なんだけど、せっかく神視点で語っているのだから、断言すべきところは断言してしまえ、と思う。
この後でさらに詳細な説明がされるのだし、余計な言い回しは違和感しか生まない。
『人々は、突如異世界からやって来た『ビーストウォリアーズ』という異形の獣人組織に蹂躙されていた』
なんとか一文に収めるのなら、こんな感じじゃないだろうか。
さらに次の文章。
引用
『異世界の支配者たる彼らの首領が、支配下にある獣人達に人間の住むこの世界の存在を伝え侵攻してきたのだ。』
ぱっと見、意味がわからないので整理しよう。
(1)獣人たちの首領(なんか違和感あるけど、トップだということはわかる)が、
(2)異世界の支配者でもあり、
(3)彼が人間の住むこの世界の存在を知ったので、
(4)それを配下の獣人どもに伝えたことがきっかけで、
(5)彼らは一斉に侵攻してきた。
ということじゃないかな~~と勝手に想像する。
そのうえで言いたいのだが、このタイミングで読者が求めているのは、
・時は現代。
・場所は日本。
・敵は異世界から来た、異形の獣人たちで構成された凶悪組織。
・彼らは、彼らの頭首の命令に従い、人間を滅ぼそうとしている。
・ある者は超能力を使って人を襲い、ある者は人を食料としていた。
・人々はもはや絶望していた。
・そんな中、恐ろしき獣人達に、無謀にも抵抗をする者が存在した。
という情報であり、上記の(2)~(4)は、いずれ欲しくなる可能性もあるけれど、いまは要らないと感じる。
今の状況だとごちゃごちゃしていて、何を書いてあるのか意味がわからないわけではないけれど、気持ち悪い。
必要な筋をなぞっただけの上記の箇条書きのほうがかっこいいとさえ思う。
③ 読みながら前半数行の改善案を提示していたら、それだけで設定していたタイマーが鳴ってしまいました。
少し延長して、なんとか第1話だけでも全部読もうと思ったのですけど、上記のような違和感のある描写がまだまだ多く見られるのと、なんだか読者のことを意識していないような、「台詞だけですべてを説明してしまおう」みたいな箇所が見受けられ、掴みどころがありませんでした。
テーマはわかったんだけどなあ。
自分には人々を守る力がある──でも、その力を使うと、守りたい人々から誤解される。
そんなジレンマの中で、誰かとの誓いを胸に戦う男。それが主人公だというのは理解できたんですけど。それ以外は、なんか安い演劇を観ている印象。
そういう作風でやらしてもらってます! というのであれば別かもしれないけど、私は受け付けないかな。ワクワクしないし、企画でなければ何のために読むのかわからない。
デパートにやってくる『○○レンジャーショー!』を観ている方が楽しめる感じさえする。これは由々しき事態だと思う。
作者さんは本作だけでもすでに15話も書いていて、その間にきっと何冊も読書をしているはず。ならば改めてこの第1話を読み直してみて、「今の自分だったらどう書くかなあ」と真剣に考えてほしい。
全体的に、一文に情報をまとめた方が良いと考えて書いている傾向がある。一文に情報をまとめられると達者なイメージがあるけれど、詰め込むべきでない情報と情報を組み合わせて無理やり一文にすると、読者には理解しにくいし、意図せぬミスリードに繋がるおそれもある。
いや、それより恐ろしいのは、読者が作者さんの文章にストレスを抱き、何も言わず離れてしまうこと。
見直しをお勧めします。
昔書いた作品を見直し、改善点を把握し、今後に活かす。その工程もわりと面白いかもしれませんよ。
今日は最後まで読めませんでした。残念ですが、このまま採点に移ります。
5 この作品の続きが気になる度は……
…
……
…………
【20%】です!
半獣人の主人公の設定に、ちょっとだけ光を感じました。その分だけ、少し評価を上げたつもりです。
作者さんは、もう一つ作品をこの企画に応募してますね。タイトルを見る限り、本作の改訂版とか、そういう感じでしょうか。
今回の企画によって2つを比較し、ご自分の執筆スタイルや立ち位置を確認したいということなのだと想像します。気持ちはすごくわかります。私の意見がその一助になるのなら、どんどん活用してください。
とはいえ2作目の評価はもう一巡してからになってしまうので、それまでは、普段どおりに時間を使うもよし、本作の見直しをするもよし、2作目の改善アイディアが浮かんだならその作業をするもよし。
しばしお待ちください。
6 読者のみなさまへ:
→評価シートを読んでもらえるとわかると思いますが、正直なところ、あんまりお勧めじゃないですね。
もしかすると劇的に面白くなっているかもしれないので、同作者さんの『真・ビーストウォリアーズ』を読んでみるといいかも!
以上、最後まで目を通していただきありがとうございます!
気になった方は、ぜひこの作品のリンクをコピーして読んでみてくださいね!
https://kakuyomu.jp/works/1177354054885067799
では、次の作品紹介をお楽しみに!
ワンパンマンも8巻あたりで読むのをやめた尾崎ゆうじでした!
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