(再)『化け物バックパッカー』オロボ46

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第1回気になるどープロジェクト応募作品


1 作品タイトル『(再評価)化け物バックパッカー』

  作者名:オロボ46


2 作品のリンクはこちら↓

 

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054895479999


 1回目の評価のリンクはこちら(良い作品なのになあ……と、けっこうぼやいてます)

  https://kakuyomu.jp/works/1177354054914254604/episodes/1177354054916864878


3 尾崎が作品を読んだ日: 


 2020年 7月 28日


4 メモ(感じたこと、作品内容など):


 上記にあるとおり、今回は再評価! 2人目ですね!


 本作は個人的に好きで、面白いんだけどいろいろなんか違うんだよなあ……という残念っぷりで、どうしたものかと勝手に悩み、作者さんのことも振り回した可能性が高いです。すみません。


 ではそんな事情は一度リセットして、できるかぎり初見読者として見ていきましょう!


① タイトルいろいろありましたけど、化け物バックパッカーで落ち着いたようです。タイトルだけポンと見れば、なんか『化け物』と『バックパッカー』の独特の組み合わせで、気になるのかもなとは思いました。


 めっちゃ気になるぅー! とはならないでしょうけどね。なんとなく、じんわり、というか。


 キャッチコピーについては、もし案がまだ浮かぶようであれば、改善の余地があるかも。悪くはないし、茶々入れのようにも思えるんだけど、読者として言うと、キャッチして次へリリース、という動線ができてはいないかな。


 綺麗だけどモテないんです、みたいな。


 理由としては、『まだ世界を見足りていない』という切り取り方かな。


「私、世界を見足りてないんです」

「あと十円、足りてないんです」

「ガソリンが足りてないんです」


「そうですかぁ……」


 たとえるならそんな感じになります。すでに私も物語の内容を知っていて、魅力がそういうわかりやすいものじゃないのも理解しているので、難しいなあとは思いますが。


「そうですか……僕にできることはありますか?」

「そうですか……それは気になりますね」

「そうですか……僕も一緒に行きたいです」


 という状態に読者を導かないと、なかなか本文に到達しません。今すぐ改善せよ、という話ではないですが、もしも作者さんなら、どう誘われたら「彼女と一緒に世界を歩きたいか」「彼女の旅に同行したいか」を考え、


 読者を煽ってみたり、誘ってみたり、空白を作ったり、質問してみたりと、さらにいろいろ掘り下げて考えてほしいですね。


 あらすじはけっこう良いと思います。


 『突然変異症』も、前回よりは圧倒的にいいですね。突然変異、にかけてる感じでしょうか。


 個人的には『急性』とか『突発性』とか、『突然』よりも実際の病名の中にあるような用語を取り入れた方がそれらしいかな、とは思っていたのですが。また変更かけるのも大変だと思うので、お任せですね。


 おじいちゃん、あんまり哀れな老人って感じでもないけど……厭世的でシニカルな視点により、この世界は腐敗しているようにしか見えないけど、変異体の少女は、そんなおじいちゃんにその価値を見せてくれるのか? というところがポイントであると私は思っていまして……。


 ちょっとちがう印象を与えるんじゃないかなと思います。(のちに、本文の方でその理由を語ってます)


 ちなみに『腐った世界だけど価値を見出せるか?』というテーマについては、現実世界のそれと近く、共感できる人が多いんじゃないでしょうかね。そういう感情移入的な意味でもグッドです。


 ちょっと長めな印象もありますが、作品の雰囲気が出ていてよろしいと思いますよ。内容は伝わってきます。


 何か参考資料があればいいんですけどね。漫画の『蟲師』とかも参考になるかと思ったのですが、雑誌に掲載される作品は、キャッチコピーとかあらすじについてそこまで考えなくとも読まれますから、あまり参考にならないかもなあ。それこそ『キノの旅』とかかな。


 キャッチコピー含め、改善の余地があることを念頭に入れておいてください。まだまだ引っ張り感が弱めだなと感じますね。第1話を読んでもらうところまでがネックだと考え、試行錯誤してもらえたらと思います。


 ちょっとひねた女性に向けたの作品だと考えるといいのかもなあ。


② では第1話へ。


『バックパッカーの老人、化け物と出会う。』からですね。


 章見出しの感じ、いいですね。ばりばり世界観出てます。


 本文冒頭ですが、私は路地裏の描写はぴんと来ないかなあ。でも世界観を考慮すると、哀愁ただよう旅のイメージから入るのも悪くないです。


 ただ、ちょっと長く感じました。行間を多めに取っているのもそうかもしれませんが、なかなか始まらないなあ、という印象。


『誰かがさっきまでそこにいた痕跡のある路地裏』『旅人』など、そんなところが描かれていれば、あとはストーリーに入ってしまってほしいです。


 あとで読んだところによると、どうやら変異体少女の住処みたいですね。その辺がわかればいいので、あまりストーリーの始まりを妨げない程度にしてほしいです。あまり刺激の無い舞台描写に時間を割くと、読者は退屈して離れますよ。


 * * *


 ↑こういうアスタリスクとか挟んだりして。ささっとストーリーを始めましょう。


 

 それで、高校生が後で発見するから、出だしで『落書き』が登場するんですね。


 どちらかというと、二人の会話の最中に、その冒頭の『古巣』の描写が入れば、違和感が無いと思うんですが、どうでしょう。どうしても二人の会話の応酬で進行させたいというところなのでしょうか。


 

『髪が上半身まで伸びている』というと、どこまでなのかイメージできないかなあ。ボブなら『肩』までとか、ロングなら『腰』まで、とか。ミディアムなら『背中』までとかが一般的な書き方じゃないでしょうか。こればかりは、想像にお任せするのは駄目です。



 ※※あー、やっぱり『哀れな老人』という言葉はおじいさんの自虐です。これをあらすじに採用するのはあんまり適切じゃないかも。


 事実として『哀れだなあ』だとわかっているキャラクターが主軸となる物語は、あんまり読みたくないのが読者心理です。だから読者が物語の内容を知らない状態で『哀れ』というワードをあらすじで読んだ時、その言葉をそのまま受け取る可能性がたかい。


 その場合どうなるか、考えてみましょう。


 たとえばスリルのために万引きを繰り返す老婆がいたとしましょう。いわば本当の意味での一般的に『哀れな老人』と呼ばれる方ですね。


 彼女が主人公を務めるの旅の小説なんて読みたくないじゃないですか。


 そんな誤解が生まれてもおかしくないので、あらすじちょっと変えた方がいいと思いますね。


 読者が感じるおじいさんの魅力は何なのか。豪快な感じ? 変異体を怖がらない珍しい人種だというところ? 服装が奇抜? 世界中を旅しているところ? 


 私は豪傑な放浪者的なところ(マニアックかもしれませんが、北斗の拳でいうと雲のジュウザのようなイメージ)が好きですね。作者さんはどう思いますか? 


 あらすじのさらなる改善、一考ください。


 

 『人々の波に〝巻き込まれる〟』っていう表現がちょっと違和感ありますね。意味合いはわかるけど……。『紛れ込んでみる』とか『混ざってみる』とかの方が適切かなって感じがします。なんか、人々の波が揉み合いの暴動みたいな感じだったらわかるけど、さらっと波に入り込むようなイメージなら、そっちの方がいいような。


 『マネをしただげ』になってますね。訂正しましょう。


 

 不覚、ですね。触覚を引っ込めて笑う彼女はたいそう可愛いのだろうなという想像が湧きました。これ、けっこう引き強めですね。なんか、普段目立たない地味な眼鏡女子が、眼鏡を取って笑ったら可愛いかも……みたいな。


 相変わらずチョイスが独特です。そういう設定も狙ってるのかなあ。


③ というわけで第1話を読み終わりました。気になった箇所はとりあえずそんなところです。ところどころ違和感のある表現が見られるのですが、私が個人的に気になるだけかもしれないし、事細かに指摘するのもどうかと思うので、以上にします。

 

 いちおう気になって第2話も見ました。


 前半の変異体少女の描写、少し気になるかな。決まり文句として固定しようという意図はわかるのだけど、そこまでがっちり固定しなくても、読者にとってはきちんと固定されている感が伝わるから、安心してください。

 

 そのうえで、ローブに隠れて見えないことを前提に描写した方がより良いと思います。他はまあ、便宜上それしか説明しようがないので許せるけど、『触覚が生えているのが〝見える〟』という表現だけは、なんか見過ごせなかった。


 あと、『降りるべき乗客が降りるために』っていう一文はおかしいかな。


 そりゃあそうなんだろうけど。べつにドラマチックなところでもないし。『次の停留場が見えてきた』とかの方が良いでしょう。


 『使うべき人が使う公衆トイレ』みたいな印象。そりゃあそうだけどさ……って、なるじゃないですか。



 各ネーミングとかは改善されて非常に良いですが、やはり独特の文章表現に混じって違和感を覚える箇所がところどころ見られますね。言葉の使い方が微妙、というところもあれば、いわゆる『てにをは』の変なところ、視点のずれによる書き方のずれなど、読者の目から見た時に「この書き方で混乱しないかな?」ということをしっかり意識しながら読み直したり、あるいはプロの作品の表現や書き方を集中してなぞるような練習をするとよいでしょう。


 あと、私も近いうちに細かい文章添削の企画もやろうかと思っています(専門家とかじゃないけどさ……役に立つかなと思うんです)。


 もしご自分ではわからないところがある、ということであれば、そういう企画や、あるいは文章添削が好きな変わり者は他にもユーザーさんでいらっしゃると思うので、そういう方に依頼してもいいかもですね。


 どちらかというと文法うんぬんよりは、『読者が読んだ時に混乱を生む』とか、『表現の範疇を超えて言葉を誤用している』とか、そういう『伝えたい事が適切に伝えきれていない』という印象にあります。


 こればかりは、地道にやるしかないでしょう。漫画家でいえば、可愛い女の子が描けないとか、頭身バランスが崩れやすいとか、それらに類するような課題だと思います。書いて検証、直して検証。それしか根本的改善の道はないですね。


 では採点です!


5 この作品の続きが気になる度は……

 

 …


 ……


 …………


 【75%】です!


 変わらずです。採点としては変わらずですが、中身は違います。やはりまだリライトしてほしいなと思う箇所が本文に多かったので。すみません。


 そう考えると、前回いかに物語の内容に引っ張られていたかが、うかがえますね。いや『続きが気になる度』なので、それでいいんですけど。


 今回はとりあえず各固有名詞だとか、そういった設定変更と構成変更の部分が成功だったかどうかを検証するための評価だったと思います。


 そちらは改善されていますが、その他の文言の違和感などはまだ目立ってるなあと感じてしまいますね。


 物語に独特の魅力があるのはもちろん変わらないので、今後も改善を続けることを推奨します。読者がどう見るかという点については、一定のレベルになるまでは本当に何度も繰り返さないといけないですし、大変だと思いますが、情熱はあるでしょうから、粘り強くやるしかないですね。


 改善一つひとつ、成長一つひとつを楽しみながら、ゲーム感覚でステップアップしていくとよいと思います。


 おそらくストーリーを進めていく作業の方が楽しいでしょうけどね。


 誰かに面白く読んでもらうとは、そういうことです。「めんどくさい」と言ったら終わりですから、気をつけて。めんどくさくないように工夫するか、ほぼリライトしなくて済むくらいのレベルになるか、やめちゃうか。そういう選択肢が、作者さんの目の前にはいつもぶら下がっているんです。


 さあ、がんばろー。

 


6 読者のみなさまへ:


 → あたたかく見守ってください。現時点でも魅力あるシリーズではありますが、かならずもっと良い作品になります。よければ、みなさんからも、ここの文章が気になるなあとか、ここが好きだなあとか、そういう感想を投げてあげると、作者としては嬉しいと思うし、気づきになると思います。


 応援よろしくお願いします!


 以上、最後まで目を通していただきありがとうございます!

 気になった方は、ぜひこの作品のリンクをコピーして読んでみてくださいね!


https://kakuyomu.jp/works/1177354054895479999


 では、次の作品紹介をお楽しみに!


 尾崎ゆうじでした!

 

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