★『化け物バックパッカー ~バックパッカーの老人と、見ると恐怖に襲われる化け物の少女~』オロボ46

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第1回気になるどープロジェクト応募作品


1 作品タイトル『化け物バックパッカー ~バックパッカーの老人と、見ると恐怖に襲われる化け物の少女~』

  作者名:オロボ46


2 作品のリンクはこちら↓

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054895479999


3 尾崎が作品を読んだ日: 


 20202年7月 14日


4 メモ(感じたこと、作品内容など):


 ※順を追っていくけど、まず最初に言っとくと、面白いです。異彩を放ってる。


① (タイトル、キャッチコピー、あらすじで読者を掴めるか?)


 タイトルが、あんまり良くないかも、というか『化け物』というワードが良くないかも(後述する)。見ると恐怖に襲われる化け物の少女っていうのが、少女が恐怖に襲われるのか、それとも?みたいな迷いを読者に与えるので、ちょっと何か考えて。


 現在のタイトルでは、引き付けられない。このタイトルを読むと「このタイトルが表す物語って、どんなだろう?」という興味が湧かずに「なんでこういう言葉選びをしたんだろう?」と眉をひそめる感じがする。


 キャッチコピーもなんかそのまんまで、魅力がない。キャッチだけ見るとパワーのあるワードが無くて、その辺のライバルに間違いなく埋もれる。 


 うまい提案はできないが……作者さんの致命的な弱点がもろに出そう。『みんなにとって、ワタシは化け物だ……』とか『バックパック、顔面凶器のじじい、そして化け物』とか……ううむ。


 とにかく化け物=奇妙な姿というのは意外性がなく、その化け物との『関わりを描いた短編集』というのは汎用性があって便利なんだろうけど、ぼやっとして、読みたい気を起こさせない。


 あらすじは、正直なところあんまり良くない。

 何が良くないかと言えば、ワードセンスが良くない。


 作者さんの弱点は、語彙力と言葉選びと、あとちょっと許せない程度に違和感のある文法を使ってしまうところ。若い作者さんかな。高校生とか。十代っぽい。


 作品に充分現時点で魅力があるので、今回はその言葉についての指摘がメインになります。

 本文引用しますが、文法的な細かい訂正が必要と思われる箇所は【】でダイレクトに指摘入れます。

 たぶん1話以降もそういったミスとかあると思うので、これを参考に自分でも探してください。オロボさんの義務だと言っていいです。


※引用

 『さあ、旅に出よう。見ると恐怖に襲われる、化け物に会いに』

 

 タイトルと同様です。初見読者は、この『見ると恐怖に襲われる』の言葉に2つの意味を感じる。設定では確かに人間は反射的に恐怖するという設定になっているのだけど、書き方を工夫するか、あるいは恐怖に襲われることをここで敢えて紹介しないのいいと思う。

 

 あと、数話読んだけど、旅の目的は化け物に会うことじゃないですよね。これは間違ってる。ネタバレにならないよう、もったいぶったのかな? 確かに困るところだけど、この言葉のチョイスは絶対に違う。


 『老人と化け物の旅先のエピソードを描く、SFファンタジー短編集』


 キャッチコピーと同様。その通りの物語だけども、伝わらないし、魅力の無い一文なんだよなあ。


 『舞台は、化け物病と呼ばれる奇病が流行る、地球とそっくりに作られた星【創造された星、などにしてほしい。誰がつくったのか、作者か? と突っ込まれる。SFもファンタジーも、前提となる情報を読者は持たないので、丁寧に教えてほしい】。

 その中で歩く【その中、という表現が適切じゃない。その星の上を旅する、とか】二人のバックパッカーがいた。

 

 『一人は顔の怖い老人、もう一人は眼球の代わりに青い触覚をもつ化け物。』


 初見読者がこの一文だけ見ると、あんまり読みたい感じがしない。おじいちゃんとゲテモノのコンビかぁ…みたいな。顔の怖い老人っていう表現も何かなあ。この物語のキャラは中身に魅力があるから、あらすじに書くなら外見よりそっちなんじゃないかなあ。


 でも本文を読むと、その組み合わせも妙にイケてるから困った。このあらすじが現状で読者に読ませる力が弱いのはわかっているんだけど、改善のしかたが私にわからない。


 作者さんなら、きっと神が降りてくるはず。とにかく課題がある、と認識してほしい。

 

② (①は抜きに、第1話で読者を掴める? 続きは気になる? 止まったとしたら、どこで止まった? どうして? どうすれば作者さんの成長、改善につながりそう?)


 第1話、先に述べたとおり、面白い。


 本当に面白い。不思議な魅力を持ってる。ニュアンスとしては『キノの旅』シリーズみたい。個人的には、雰囲気は本作の方が好き。


 世界観が斬新。その手があったかあ、と思った。


 具体的には、登場人物たちの言動に予想がつきそうでつかないというか、キャラの配置とか、うまいんだよなあ。無意識なのかな。


 たぶん他の小説を読みまくって勉強しました、というタイプじゃないんだろうなぁ。厄介だ。


 引っ張る力は持っているし、登場するキャラクターに魅力があって、彼らが勝手に引っ張ってくれる感じ。だからこそ、ストーリー以外のところで読者に余計なストレスを与えないよう、気遣ってほしい。


 また引用しながら例を上げる。こういうのはあんまりやりたくないけど、この作品の場合は必要だと思った。



 以下引用と訂正案

『とある街にあるコンビニ。その外からも店内の謎の音が聞こえて来た』


 表現による視点ブレ。外からも、聞こえてきた、というワードが違和感を与える。要するに、【外に漏れそうなほどの大きな音が店内に響いた】ということだろう。



『 店内では、【削る】客たちの目線は一人の老人に注目していた【目線と注目が被ってるから、注目じゃなく、集中とすればよい】。


「......ふう、ここまで注目されるとは、俺の腹【胃袋の方が良くない?】も捨てたものではないな」


「......」


店員は先ほどから口を開けたままだ。


「どうした、早く会計せんか」


「......あ、は、はい。520円......です」


「フム、それでいい。この街に来てからまだ何も食べてない。早く腹を納めなくては【腹を納めるは違う。腹の虫を治める、という表現と勘違い? でもそれって怒ってることの表現なんだよなあ】」


老人はつぶやきながら財布から小銭を取り出した。


「あ、あ、あの......」


「どうした、何か後ろに【俺の後ろに、の方がいい。読者を意識して】幽霊でもいるのか?」


「い......いえ......て......店内で......お召し上がりです......か?」


「いや、持ち帰るが......まいったな、歳を取れば穏やかなおじいちゃんになって子供たちの人気者になると思っていたが、若き日の男らしさは消えなかったようだ」


店員がやや恐れているのには理由がある。


 【ここで恐れている、という表現がでて初めて、怖がっていることが判明し、「え、怖がってたん?」と思った。だから店員の手が震えている、みたいな描写をしたり、恐れているように見える、と前もって書いたり、あるいは、店員は恐れているようだった。とか、そういう感じにしてほしい。読者の認識に上がってない情報がぼこっと神視点で現れた感じで、違和感】


 この老人、顔が怖い。【この表現がものたりないんだよなあ】。若者が好みそうな【どんな服だよ…】服装を来ており【服を着ており】、その背中には黒く大きなバックパックが背負われている【背負っている】。俗に言うバックパッカーである。




 コンビニの外、人々が行き交う道路。見上げた位置にある街道テレビはニュースを流していた。


「先日、○○町にて△△さんが人を襲う事件がありました【ちゃんとニュースを観るか、ネットニュースの記事を読んで勉強しよう。文のリズムも考えながら提案するけど、せめて【昨日、○○町の一角で△△さんが何者かに襲われました】くらいには寄せよう。今の状態だと犯人は△△さんだって判明してるじゃん。化け物の犯行にするなよ】。警察は化け物の犯行として捜査を進めており......」


 ニュースを聞く者もいれば、無視して歩く者もいる。コンビニから出てきた老人は前者だった【読者はたぶん老人がニュースを無視しそうな無頼漢的イメージを持ってると思うんだけど、前者なんだね。だとしたら、無視して歩く者の描写は別にいらないかな。【老人は歩きながら、なにげなくニュースに耳を傾けていた】みたいな感じでストレートに書くべきだと思う。なんか慣れてないのがわかっちゃうから、前者と後者の意味わかってるかなあ、と読者は勘ぐる】 


 こんな感じで、手直しが必要だと感じたところは多い。たぶんこれを書いた頃の作者さんより、今のほうが成長しているはずなので、改めてしっかり読むと、違和感がわかるのでは?


 もしもわからないとすれば、好きな作者の小説を1冊だけでいいので、一度読み直してほしい。そしたら今度は、頭で思い出しながら、その小説を冒頭から数ページ、答えを見ずに書いてほしい。自分がその小説の作者で、これからその作品を執筆するようなイメージで。


 やってみるとわかるが、当たり前のように読めていた文章なのに、どう書いてあったか細かいところが全く思い出せないし、想像もできないと思う。


 どうしてもわからない箇所は飛ばしつつ、とにかく決めていた数ページを書き終えよう。そしてそのあとで答え合わせをしよう。


 表現したいものを表現したいリズムで読者にわかるように、余計なストレスを与えないように書くためのヒントがそこにあるはず。


 あとは、わからない言葉や、自分が常識だと思って使っている言葉を、少なくとも小説を書く時だけは疑おう。最近はネット検索でもしっかりしているので、辞書が無ければググって、言葉の使い方、意味をちゃんと調べよう。プロの作家さんでもやっていること、だそうです。


 それと言葉選びがしっかりしていないので、視点がぶれたような印象になる。映画や映像作品のようなカメラワークでも、それが味になっているように感じる本作だけど、うまくやらないと読者を混乱させる。シーンが切り替わる時、新しい人物が登場する時、初見の読者がその場の映像のどこからどこまでを見ている状態なのか、考えながら見直してほしい。



③ テンポとキャラクターを大事にしている作家さんだということがよくわかる。教科書やテキストを読んでから実践するようなタイプではなさそう。


 だけど何がどう面白いのかはわかっているし、こだわりもある。だけど、それをうまく、読者に理解してもらいつつ表現する方法がいまいちわからない。でもセンスがあるし、描きたいものがあるので、苦手分野を鍛えるのは後回しでいいだろう、という考え方かな。人間性がとても出ている。


 作者さんは、この作品で掴みができているかどうかを気にしていたけど、本文に関しては、掴めていると言っていい。不覚にも私は掴まえられた。


 金髪と銀髪の高校生のくだりとか。なんだろう、会話のやりとりだけで引っ張れてる。


 あと、じじいと少女の最後の会話。世界を見せてよ、という少女と、退屈で腐ってるその劣化版の世界の『価値を見せてくれよ』というじじい。


 この対比による推進力は半端じゃないんだけど、頭で考えて生まれる組み合わせじゃないんでないかな。すごい。今回は3話まで読んでやめたけど、時間があったら追いかけたい世界観。


 だけどごめん。だからこそ大きな2点の課題を乗り越えてほしい。自分で乗り越えてもいいし、誰かの力を借りてもいい。とにかく越えて。


 こんな魅力ある作品を書ける作者さんの義務だ。クオリティを上げてほしい。


 読者に面白さ>ツッコミどころになるくらいまで、なんとかこの作品をトータルで磨いてほしい。


 ひとつめ。


 少なくとも、1話目~3話目をリライトしてほしい。


 最新話を見ると成長がうかがえるし、そこまで気にならないんだけど(人が変わったみたいだ)、とにかく前半は文章がまずい。


 率直に述べると、ストーリーやキャラ、世界観構築のセンスはずば抜けてるけど、この3話は文章がそのセンスについて来れてない。なんというか、日本語が下手な人になってる。


 今ならいくらか直すべき箇所がわかるのでは? 


 面白いのに伸びない理由の一つは、それでした。読み合い会に参加しても、それが原因で作家さんたちになめられただろうに。人によっては、面白いからこそ文章のまずさを指摘せずにいる人もいたと想像できる。たぶん嫉妬した人もいるんじゃないかな。


 ふたつめ。


 『化け物】っていうネーミング、やめない?


 化け物病とかさ。コメディでもちょっとさむいというか。ごめんだけど。


 タイトルから何から、この化け物っていうのが、読者へのサービス精神というか、気遣いに欠けてる。ユーモアのきいている作品だけど、全体的にはシリアスな場面も多いから、そういう時でもこの名称を使わなきゃいけないとなると、きつい。


 読者をちゃんと物語に夢中にさせてあげるために、考えてほしい。


 せめて『怪異』とか『亜人』とか『メタモル』とか、『クリーチャー』とか、『デミ・ヒューマンを略してDH』とか、なんか真面目に考えて。


 そういう人の形をしていない奇病にかかった者を、キャラが差別的に『ば、化け物!』と言うのは勝手だけど、正式名称あるいは俗称が化け物は、あまりにもかっこがつかない。


 バックパッカー、っていうのも魅力がある。本文を読めば、もっとその魅力を感じる。だけど、化け物バックパッカーは違うと思う。


 そこがそもそもセンスを感じないので、タイトルやキャッチコピーに興味を抱かず、せっかくの作品の面白さが披露できない。CtrlキーとHの同時押しで、すぐに『化け物』を別のなにかに置換してほしい。タイトルやキャッチコピーに入れないのなら、『アセロラオリオンハートアンダーブレード』ぐらいにダサいパワーワードを並べるのもアリかもしれない。


 ごちゃごちゃとノートに案を書き出して、あらゆるものからアイディアを抽出できるようアンテナを張ってほしい。かならず妙案が浮かぶはず。


 協力できたらいいが、私もその手のネーミングは得意ではない。ただ、悪いものはわかるので、作家さんの判断次第ではあるけれど、そこだけは真剣に変更を検討してほしい。


 というわけで、そろそろ採点に入ります。



5 この作品の続きが気になる度は……

 

 …


 ……


 …………


 【75%】です!


 今回は、上記の問題がいろいろなければ、たぶん100%を超えたと思います。でも手直ししてほしかったから、50%との間をとりました。


 リライトしてほしいし、化け物、という固有名詞を変えてほしい。これを読んだ読者さんたちは、いかがですかね。「なんだよ、化け物でも充分イケてるって! むしろ新鮮!」という好意的な意見がたくさんあるようでしたら、私が間違っているということで、聞かなかったことにしてください。


 そういうところなんですよね。現状では読者に過度なストレスを与える文章になっているので、みんなにお勧めしづらい。


 いつか友人に勧めて、「な、面白いだろ?」と自信を持ってドヤ顔できる日が来ることを願っています。


 あと、創作者の端くれとして、良い刺激をもらいました。ありがとうございます。どんな方かわかりませんが、いつか一緒に何かできないものかなあ(勝手な願望)


6 読者のみなさまへ:


 → とりあえず騙されたと思って作品のフォローをしてください。そして『わたしならこの作品の良さを残したままで上手く添削できるわ!』という方がいたら、名乗り出てほしいです。尾崎は現在、この仕事に傾倒しており、オロボ46さんだけに構うことができません。


 本作の応援と、より読者さんの求めるものが何か知りたいので、要望をバシバシ送ってください。サンプルがいっぱいあれば、彼もそこから何か見い出すことでしょう。


 私も化け物病になって、勝手に打ち込みしてくれる腕が生えてこないかなぁ(切実)。


 以上、最後まで目を通していただきありがとうございます!

 気になった方は、ぜひこの作品のリンクをコピーして読んでみてくださいね!

https://kakuyomu.jp/works/1177354054895479999


 では、次の作品紹介をお楽しみに!


 尾崎ゆうじでした!

 

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