部活

「そう言えば私そろそろ部活決めようと思ってるんですけど先輩は部活はどこに所属してるんですか?」


「聞いてどうするんだ?」


次に琴音が言う言葉が安易に想像が出来る。どうせ「先輩と同じ部活に入ります!」とか行ってくるんだろうな、


「もちろん先輩と同じ部活に入りますけど」


ほらやっぱりな


「いや、始めたきっかけはどうあれテニス得意なんだからテニス続ければいいのに」


琴音はテニス界ではちょっと有名だったりする、なんせ中学からテニスを始めたのに全国まで行った天才なのだから、まぁ琴音の場合運動神経が良すぎてどの競技をやってもそうなりそうな気もするけど……


「前にも言いましたけど先輩に好かれるためにテニスをやってただけですし…それに私気づいたんです!」


「そりゃすごい、で、何に気づいたんだ?」


「先輩が応援に来ない時より応援に来てくれた時の方が強いんです!」


「なんだそれ」


「でも思い返してください!私の試合を」


ん〜そう言われると俺が琴音に応援しに来てくれと言われて見に行った試合は俺の記憶が正しければ……うん。全勝してるな


「これはもう愛のパワーってことでいいですよね!?」


「たまたまだろ、まぁ凄いのは認めるけど」


「む〜そこは「そうだな、俺たちの愛のパワーだな!」とか言ってもいいんですよ?」


「言うか!」


琴音の中の俺はどんなキャラなんだよ、そんな恥ずかしいこと今まででたったの1度でも言ったことがないわ!そんなキザなこと言うやつなんてフィクションの世界にしかいないっての


「それに高校ではずっと先輩と一緒がいいんですよ!1年分の先輩エネルギーを補充しなければ!」


「補充もさせないし残念ながら同じ部活には入れないんだな〜」


「む〜どうしてですか?」


「男子しかいない部活に琴音は入ろうと思うのか?」


わざとこんな言い方をしてるがそもそも俺が所属してる部活は人数が足りなくて正式に部活認定されていないのだ!本来なら入ってくれるのは嬉しいことだ、定員が揃ってくれれば正式に部と認められ部費だって出るようになる。


でも琴音を入れるのはまずい、まず琴音と俺の関係がバレかねない。・・・まぁあいつにバレても大丈夫か、口は固い方だし、だが何らかの形で大智の耳に入ったりしたら俺みたいになってしまうかもしれない。


ちなみに男子しかいないというのは俺ともう1人柊秀斗ひいらぎしゅうという1年の頃から仲のいい男子生徒だ。男子しかいないと言うのは間違いではない


「先輩がいれば別にいいですよ!」


「本当にいいんだな?」


「はい!」


「琴音に変な事をしてくるかもしれないぞ?」


・・・まぁ秀斗はそんな事するやつじゃないけど入部する気にならなくさえしなければそれでいい。俺のせいで琴音の才能を潰すのは絶対にしたくない。何としてもテニス部や他の部活に入ってもらわなければ


「先輩嘘バレバレですよ?」


「……え?」


「いや、目が泳ぎまくってますし、急に歩くの 早くなってますしわかりやすすぎますよ?・・・まぁ嘘が付けない先輩、可愛くて好きですよ!」


琴音は俺の前に先回りしいとも簡単に嘘を見透かされたショックでがっくしと頭を落としてる顔を下から覗き込んでくる。


「そんなに私に部活入って欲しくないんですか?」


琴音の顔は少し悲しそうな顔をしている。いつも笑顔で笑ってるやつにこういう顔をされると凄い心が痛む。・・・自分でもわかってる。俺が悪いことくらい


「いや、俺は琴音の才能を潰したくないんだよ」


「別に先輩と一緒にいられるなら才能なんて無価値なものですよ」


「……はぁ、わかった。俺の負けだ、明日入部届を出してくれ」


琴音がここまで言うってことはもう覚悟を決めているんだろう。ここまで言われたら入部を断れるわけが無い。


「はい!あ、ちなみにもしさっきの話がほんとでもしそんな状況になっても前みたいに先輩は絶対助けてくれるので意味ないですよ!」


「最初っから意味なかったってことか」


「そういう事です!」


琴音は満面の笑みで隣に並んで俺に合わせて歩き始めた。


「ん?前みたいに?」


俺が琴音を守るようなことはしてないような、あ〜大勢の男子に囲まれてる時に1回だけ助けたような気がする。だけどそんなたった1回の出来事でよくそんなに信用できるな。


「ところで先輩、部活って何してるんですか?」


「部活強化支援」


「へ?」

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俺にグイグイ来る後輩とその後輩の事を好きな親友に挟まれた俺はどうすれば 紅月鈴音 @AkatsukiSuzune

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