第2話 旅立ち
この国で子供達が仕事を始めるのは、12歳になった次の春と決まっている。
貴族であれば、そのもないかぎりでも無いのだが。
ギフトに合った職場が近くにあれば、通いの弟子となることもある。
無ければ近くの街に出ることになる。
つてがあれば、そのつてを頼ることもあるが、多くの者はギルドの世話になる。
例えば、商人に向くギフトを持つ子供は、商業ギルドへゆく。
商業ギルドでは、その子供に向きそうな商家を紹介してくれるのだ。
大きな商家では、住み込みで働けるが、すべて住み込みで働ける訳ではない。
なのでたいていのギルドは、大きな宿泊施設をもっている。
格安の宿泊費は、雇い主が払うのが常識だ。
15歳になるまでは、基本的に給金はでないからだ。
15歳になった次の春から、見習い期間は終わり給金を貰える。
と同時にギルドの宿泊施設から出て行くことになるのだ。
これは、冒険者ギルドも同じだ。
ただ、宿泊費は、自分で用意しなければならない。
冒険者には、絶対に拒否できない依頼が一つだけある。
「初心者育成依頼」といい、指名依頼で依頼主は、ギルド。
15歳以下で、独り立ちはまだ難しい冒険者を育てる為の依頼だ。
その依頼を受けた冒険者は、指定した初心者を伴う義務がある。
初心者育成の為の依頼なので、弱い魔物討伐といったものがほとんどだ。
ベテランには簡単な依頼なので、少し高目の依頼料が設定されている。
なお、その初心者が受け取る依頼料は、別設定である。
冒険者には、ランクがる。
Sが最高で、次がA、BCDEFGまであり、Gクラスは、15歳未満と決まっている。
15歳の次の春を迎えれて、まだGクラスのものは、冒険者を諦めるしか無い。
宿舎を去らねばならず、「初心者育成依頼」の対象にもならないからだ。
逆に、15歳を待たずEクラスに達した者も、宿舎を出なければならない。
Eクラスなら1人でも、魔物討伐の依頼を受けられるようになるからだ。
微妙なのが、15歳の春、まだFクラスの者だ。
Fクラスは、1人で討伐依頼を受けられない。
パーティーに属していなければ、冒険者を諦めるのが普通なのだ。
なかには諦めきれず、収集依頼などをこなす者も居るのだが。
リーラン12歳の春。
村からギザールの街へ向かう少年は、13名。
そのうち冒険者を目指す者は、4名であった。
イーグナー、男、ギフトは剣士。
マリー、女、ギフトは魔法使い。
アーノン、女、ギフトはレンジャー。
そしてリーラン、男、ギフトは大器晩成。
屈強な、大人数人が護衛として付きそうのが恒例だ。
リーランの祖父ミルドルフも、同行した。
村にある馬車3台でギザールの街を目指す。
約2時間ほどでギザールの街へ着いた。
街は十字の大通りで4つの部分に区切られている。
大まかにだが、北東が高級住宅街、南東が平民の住宅街、北西が商店街、南西が職人街となっている。
街は城壁に囲まれていて、大通りの突き当たる四方に門があった。
一行が到着したのは、街の西門。
商業ギルドを目指す一行は、商店街へ、職人ギルドを目指す一行は、職人街へ向かった。
そのギルドを目指す一行は、街の中心と向かう。
冒険者ギルドは、職人街の北東の角に在って、北向きに建っていた。
3階建の大きな建物で3街に会議室とギルド長室、仮眠室。
2階には、執務室と資料室、書庫がある。
1階には受付、金庫室、食堂、地下には解体室と修練場があった。
一行がそのギルドに到着したのは、午前11時前。
ギルドの中の人影は、少なかった。
貰ったギフトが大器晩成? 飛個呂 @piccoro
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