夢で出会った二人の話
十二月二十五日。
夢を、見なかった。
あの日から二か月と少し。その間でこんなことはない。
戸惑いを覚えながら、部屋を降りてテレビをつける。このあたりのローカル局。今日は普段より少し寒いらしい。
ともかくさっさと用意をしないと学校に遅れてしまう。積み上がるカップ麺の殻を避けていつも通りにポットをつける。
夢を見なかった――彼女と会えなかったことには、はじめは驚いたが落ち着いてきた。考えてみればあれは夢、連続した夢を見ているほうが異常だろう。もしかしたら今日だけで、明日からはまたあの世界に行けるかもしれない。
鞄を取り家を出る。日常に向かう。
でも。
もし、もうあの夢を見ないのならば。彼女にもう会えないとしたら。
それはとても、とても寂しい。
「――速報です。十月に本市で発生したひき逃げ事件で、被害者の女性が――――」
夢で出会う二人のおはなし もやし @binsp
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