まず文章が軽快で読みやすい。それに主人公が現代人なので、時代物が苦手でも現代の尺度で解説されるからとっつきやすい。
また作者が歴史に造詣が深く、描写部分はまるで現場にいるかのような臨場感がある。
けれども他作品と本作が一番ちがう点は「女性たちが嘘偽りなく描かれている」ところだろう。
歴史物というと、とかく華々しく武将が活躍する横で添え物のように女が『ご都合主義的に』描かれた作品が多い。
しかし本作は作者も主人公も女性だからか、老いも若きも女たちが非常にリアルである。
登場する女達はけっして見た目美女だったり性格が従順なわけでもないが、戦国という不安定かつ自由な時代を自分たちなりに精一杯生きようとあがく。
男達は表向き社会的な主導権を握ってはいるが、その熱気に引きずられて話が展開していく。
そこが新鮮で、次になにが起きるか読者には想像もつかず、たまらなくおもしろいのだ。
コメディータッチで軽快なテンポでありつつも、本作には人の真理がある。
だからこそ胸を打たれる。最後まで読み続けたくなる。
本日めでたく完結してしまったが、良い物語をありがとうございました。
自分は歴史、特に日本史に全く興味のない者で、歴史の歴がなぜ厂と林と止でできているのかすら分かっていないのですが、そんな自分でもわくわくしながらスラスラ読める戦国時代劇でした。
出てくるキャラクターが個性的! そしてその中であっても際立つ姑と嫁。強い個性たちが織りなすは意外性溢れる物語。大抵のことには動じない姑のオババは大の夢の国マニア。密偵もこなす器用なアメは歴女で博識。そんな二人が現代の便利な生活から離れ、戦国時代の生活に順応していく様は痛快です。
歴史の授業を受ける前に、この作品を読んでいたら僕も歴史に熱中していたのかな? と思います。授業中無味乾燥に感じていたものが命をもって頭の中にするする入ってくる感覚はたまりません。
歴史要素ある作品に二の足を踏んでいるあなた、一回この作品に目を通してみてはいかが?
かなり本気で思っちゃうほど、臨場感溢れる戦国時代タイムスリップです。
主人公は、姑のオババと一緒に、タイムスリップ、と言おうか憑依転生と言おうか。とにかく突然戦国時代に来てしまいました。
しかしオババは某世界的アニメが好きな肝が座った女傑、主人公は「槇島城の戦い」を知っているぐらいのどマニア歴女でした。
ちなみに私はこの後「槇島城の戦い」をWikiped〇aで調べーーようとするのですが、あまりに長いのと漢字ばっかで諦めました。私と同じ人間はひとまず「第21話 魔王の兵」を読むといいです。
彼女らはとにかく戦国時代を生き抜こうと、一先ず女性だけで組まれた「鉄砲隊」に入ろうとしますが……。
異世界転生にしろ私が何時も首を捻ってしまうのは、「どうしてこいつは自分が支配者側にいられると信じられるんだ?」と思うからです。
ですがこの物語は、被支配者からの視点でずっと綴られています。でありながら、主人公は支配者である織田信長の心情を推測するのです。
物事を多角的に見るとは、どういうことなのか。
そして、オババはまたあのマウスなランドに行けるのかーー違った、二人で現世に戻れるのか。
目が離せません。