嫁と姑が戦国時代に転生?……もう設定だけでも強烈です。
でも本当に驚かされるのはここからです。
二人の精神が行きついたのは、戦国時代、明智光秀のもと。
しかも普通の農村の娘と母親として、若干若返った体で戦国の世に放り出されます。ここから二人の生きるための戦いが始まります。
もともとあまり仲の良くない、というか苦手同士みたいな二人。
でもそんなこと言ってられません。
頼りになるのは歴女を自認する主人公『アメ』の深くて正確な歴史知識。
一方の姑さんの武器は持ち前のバイタリティー!
この二人が足軽に志願し、従軍し、なんとかかんとか厳しい時代を生きていきます。
タイトルの明智光秀はもちろん、有名なあの武将たちも登場し、ととにかくワクワクさせるストーリー展開で突っ走ります。
しかも作者の豊富な知識と解説により、戦国の世を体感しているような強烈なリアリティーがあります。
戦国の世がどんなものであったのか、自然と身に沁みてくる感覚はすばらしいです。
なのに、この二人。
必死なんだけど、どこまでも飄々として、隙あらば笑わせにかかってきます。
このコメディーの混ぜ具合が絶妙で、笑ったり泣いたりハラハラしたりと、実に楽しい読書体験をもたらしてくれます。
そして最後には……この先はもちろん内緒です。
ぜひ読んで確かめてください。
本当に面白い作品でした。
意識だけがタイムスリップしちゃった嫁姑が織り成す、コメディタッチで面白おかしな戦国時代っ!
ウソウソ!? 幻のあの城も武将もこの目で見られちゃう!? 歴女の血が騒いじゃうー!
なんてテンションで読み進めようものなら、後の展開の衝撃も凄まじい事となりましょう。
上記のコメディは勿論、時折混ざる時代小説然とした厳粛さ。読者をも巻き込む、次元を超えた語り口。
信長が生きた戦国を、まるで真実味を帯びて描写される様は荒っぽくも等身大。
大自然の美しさに心奪われる瞬間もそこそこに、いつ潰えても不思議ではない今をどう生き抜くか。
アメの豊富な知識と、オババのラップ&ソウルで乗り切っていくのです。
金色のすやり霞映える「明智光秀によろしく」ーー鋭さ湛えるその眼と相まみえる時、アメの心を突き動かすものとは。
隙間時間に楽しむも、一気に読破するも良し。おすすめ超大作です!