第三十五話
「なあルキ、塔の中ではいったい何が起こってるんだ?」
俺達3人は差月○瀬煎餅をかじり、テレビを見ながら話をする。
「何も特別な事はないぞ、普通にダンジョンがある。ただ人類が複雑な技術を使って作り出した武器は大体使えん様になっとるがの」
「え!? じゃあ銃とかスタンガンとか駄目なの?」
楓の発言にルキは「じゅう?すたんがん?」と頭の上にクエスチョンマークを出していたので楓がスマホを見せて説明する。
「そうじゃの、こういう物は使えん。ただ弓や剣等の複雑な作りをしていない武器や、塔の中で手に入れた物、鍵を使って手に入れた物は問題なく使えるんじゃ」
「なんでそんな風になってるんだ? 何か意図的なものを感じるんだけど」
「そりゃそうじゃ、奴は人類が創り出したものは大抵気に食わんからの。そういうふうにしたんじゃ」
「奴ってのは塔を出した奴か?」
「なんか私達嫌われてるんだね、いきなりこんな事されてるし」
楓はプンプンと怒っている。
「昔はお主らを愛していたのじゃ、まるで自分の家族の様に。ただ奴は変化を嫌った、変わりゆくお主らを遠ざけて最後には捨てた。儂はそれが本当に気に食わんくての……だから喧嘩したのじゃ」
ルキはとても寂しそうな顔をしている。
今はあんまり深く聞かない方が良いか……。
「それにしても、塔の中で人類の武器は使えなくても、スライム程度ならクリア出来るもんだと思うけどな」
「極小の塔なら今の人類でもそれなりにクリアできる事もあるとは思うが、大きな塔になってくるとまず無理じゃ。お主らが最初に入ったあの小さな塔じゃと鍵を使わずに入ったのなら職業とレベルが15程あってようやくクリア出来る位じゃぞ」
「まじか……てか俺達以外の人類はどうすれば職業やステータス、レベルが開放されるんだ?」
「それなら職業が貰える塔をクリアして機能を開放するしかないの。色によって塔の役割が分かるんじゃが職業を開放する為の塔は紫がかった色をしている筈じゃ、レベルやステータスは塔の中に入れば開放されるぞ」
「なんか色々と新しい情報が出てきて頭こんがらかりそうだよ……」
楓は何も考えないようにしながら煎餅を食べている。
「うーん、もし俺達が職業を貰える塔を攻略するとして、それを一般に開放したら危険が増えないかな? その力を犯罪に使う人がいないとも限らないし……」
「そうだよねぇ、危険から身を守る力として使えば良いんだけどね」
「そのあたり日下部さん斎藤さんとしっかり話さなきゃならないな……どこまで話して良いのか分からん……」
「まあなるようにしかならんじゃろ、どうせ何もしなかったら人類は滅びる事じゃし」
「「えっ!?」」
ルキから聞き逃せない言葉が出る。
「そうじゃ、塔は制覇しないと少しずつじゃが成長する。成長限界まで達すると塔は外に魔物を放ちテリトリーを増やし始めるのじゃ」
おいおいおい、やべぇじゃねぇか……。
じゃあ少しでも戦力を蓄えて塔に対抗しなけりゃ、マジで人類は数を減らして最後には滅びる事になるぞ。
「解……これって少しでも早く私達が職業の塔を開放しなくちゃいけないんじゃない?」
「ああ、まさかこんな話になるとは思わなかったな、こりゃもう一度日下部さんと斎藤さんに話しをするしかないな……帰ったばっかりで失礼だとは思うけどすぐに連絡して話そう」
そうしてすぐ日下部さんと斎藤さんに連絡し、慌てて2人が蜻蛉返りで戻って来た。
「何度もすみません、とても重要な話だと思ったので日下部さんがいる内にと……」
「いえいえ、少しでも情報が欲しいですから」
「ああ、逆に私がまだいる時で助かったよ。……で、とても重要な話とは?」
2人はもう一度玄関からリビングのテーブルへ移動し席につく。
「まずこの子を紹介します、この子はルキといいます」
俺達は隠している場合ではないと考え、ルキを紹介する事にした。
「可愛らしいお子さんだが、この子がいったい……?」
「実はこのルキとは、ダンジョンで出会い紆余曲折あり今ここに住んでるんです。そして塔の事を知る人物でもあります」
「「ええええええええ!!!」」
おっさん2人のとても良いリアクションが家中に響き渡る。
旧キーメイカーのダンジョン攻略 〜俺だけ使える鍵でこっそりと特別なダンジョンに潜ります〜 UMA @suyaozi
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