水晶幕


 モノクロに思い出される子供の頃

 そこには 

 藪と残飯と性を混ぜた犬の発情期が

 濡れた皮脂の臭いとなって

 襲いかかる


 首輪 鎖 

 音を立てて倒れた獣

 脚を切ることを怠った腑分けのあとに

 生きていた欲情の肢体


 生々しい木の幹は

 横たえたまま幼虫を産む

 春の悪夢が

 来たる梅雨の退化に向かい

 糸引くなめくじを育てる

 温室の夢 夢の帰路 そして駅舎


 植木鉢の底に 石の下に 脳の先に

 水晶体の多層構造

 液体 A B C を舐めて

 眼圧に浸す文字を選び

 酸化した記憶は普遍化の下で再生する

 

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エトセトラ フラワー @garo5

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