巻末資料集【※随時更新】

千華共栄国せんかきょうえいこく

 東方の海【ドニエ海】に浮かぶ島国。東側の【桜都おうと】と西側の【千古せんこ】の二国間からなる国家連合。

 しかしその事は海外に知られておらず、「桜都を首都とした千華共栄国という一つの国」として捉えられている。千古の存在が外から見つからないよう隠されているからである。


千古せんこ】※10年前

 今作の舞台となる、千華共栄国の西側の国。海域、領土ともに全て霧で覆われている。海外からは近づくどころか気づくことすら出来ない。

 鬼や妖の存在がこの国では特別に許されている。しかしそれが明るみに出れば、危険因子とみなされ他国から攻撃されかねない。よって国の存在が隠蔽いんぺいされた。

 かつては桜都(当時から数えて15年前までは【華都かと】と言った)とも交流していたが、やがて関係が途絶とぜつ。新たな文化も入らず完全に孤立し、徐々に衰退していった。


おに

 金色の瞳、額に角を持つ異形の者。生殖機能があることから生物である事が確認されている。長命であり、怪力と驚異的な再生能力を有する。人を喰らうと恐れられている。

 元々千古にいた者ではなく、異邦いほうの地から海を渡りやってきたのだという。

 現在、千古の山を住処として暮らしている。妖とは相容れないらしく、霧深い平地に降りる事はめったにない。


あやかし

 いわゆる化け物。姿かたちは個体ごとに大きく異なる。辺りを漂うだけのものから人を喰らい、害をなすものまで様々。生殖能力がない(≒生物でない)事が共通した特徴として挙げられる。これが鬼との決定的な違いであろう。

 もとから千古に存在していたのか否か、という事に関しては謎である。ただし隣の大国【獅永シーエイ】には、妖と似た姿の化生の存在が絵巻物で確認されている。おそらく、鬼のように他国から渡ってきたものと推測されるが……。


きり

 千古の陸から海に至るまでの領域に立ち込める白い霧。妖たちの住まう場所、と言われている。

土地間を移動するにはこの霧に入るしかない。霧に入った際の注意事項として、以下の三点が挙げられる。

・決して振り返ってはいけない

・知った声がしてもとにかく無視する、返事をしない

・(知った声がしても)相手の名前を呼んではいけない

 これを破ると入った者は消えてしまうと言われている。この注意事項は小唄にも歌われているが、行方不明者は後を絶たない。


獅永シーエイ

 東方きっての大国。千華共栄国とは海を挟んで向かい合っている。千華共栄国では「大陸」と呼ばれている。


 ~勢力別登場人物~

朝廷ちょうてい

 千古にてまつりごとを行う場。


 【みかど

 千古のはじまりから頂点に君臨し、国をおさめるただひとりの者。あかしとして【宝玉ほうぎょく】を所持している。当世の帝は【みかど】もしくは【御上おかみ】とのみ呼ばれ、帝位につく前の名前は【隠名おんみょう】(または【御名おんみょう】)として隠される。


 〔みかど(隠名:楯彦たてひこ)〕

  現在の帝。1歳。若泉帝じゃくせんてい崩御ほうぎょされたため帝位についたが、政治能力に欠けるとして十坏長門とつきながかど摂政せっしょうにつく。


 〔若泉帝じゃくせんてい(隠名:清満きよみつ)〕

 先帝。白翁御大はくおうごだいに指名され帝位についたが、よわい21、わずか三年ののちに崩御。


 〔白翁御大はくおうごだい(隠名:豊杵とよきね

 若泉帝の前の帝。御大ごだいとは、帝位を退いた先帝に与えられる尊称そんしょうを指す。

十坏氏とつきうじの勢力を抑えられず、帝位を退いた現在は隠居生活を送る。




殿中主でんちゅうしゅ

 千古の朝廷で中心となる十人の貴族を指す。

 殿中でんちゅう(※宮中とも)でこの十人がまつりごとについて話し合う。朝廷での発言力は他の貴族とはくらべものにならない。



 【十坏氏とつきうじ

 殿中主の大半を占める大貴族。その勢力は帝をもしのぐ。


 〔十坏とつき 長門ながかど

 摂政せっしょう。実質帝をもしのぐ権力者として朝廷に君臨する。鬼や妖を排除し、人間による繁栄を目指すべきだと主張。


 〔十坏とつき 冬成ふゆなり

 長門の甥。長門に追放され、放落ほうらく(※都を出て落ち延びること)した。



 【錦上氏きんじょううじ

 殿中主の一人。

 〔錦上きんじょう あざみ

 口髭の生えた恰幅のいい壮年の男性貴族。噂話を好み、貴族たちの情報源となっている。噂の出どころはだいたいこの男。



 【八幡氏やはたうじ

 殿中主の一人。

 〔八幡やはた 設楽しだら

 糸目の男性貴族。30代後半。無類の女好きで知れ渡っている。先代で十坏氏に領土を奪われたが、そこから殿中主の一人になるまで盛り返した切れ者。




紅霞山こうかやま

 危険だらけの千古の中、都へ入る唯一の抜け道。


 〔朱呑しゅてん

 青年か老人か分からない雰囲気をまとう、紅霞山の鬼の頭領。外見の特徴として白髪、垂れ目、麻呂眉、一本角が挙げられる。無類の酒好き。




灯里とうり

 人間の武家衆が統治する土地。人間にとっての数すくない安全地帯。


 【灯里武家衆とうりぶけしゅう

  灯里とうりを統治する6つの武家を指す。

 

 〔天乃あまの 高子たかこ

 灯里の現領主。【姫城主ひめじょうしゅ】と呼ばれる。経験や肉体の強さは周りにおとるが、優しく真っすぐな心、強靭きょうじんな精神を兼ね備えた19歳の少女。周りの者の支えを受け、人間による繁栄を掲げている。


 〔羽々はば 渚子なぎこ

 天乃高子の補佐にあたる女性の武士。男武士にも引けを取らない武術を誇る。


 〔荒田あらた 行武ゆきたけ

 気性が荒い元野盗。天乃高子に仕える。


 〔吉里きり 義人よしひと

 天乃高子に仕える。武家衆の中でもトップの策士。


 〔はら 康太こうた

 武家衆の中では最年少で天乃高子に仕える。単純。


 〔世良せら

 天乃高子に仕える。隠密。


 〔尾身おみ 蔵之介くらのすけ

 ヌシ討伐隊隊長を務めた。武家衆の一員ではないが歴戦の武士もののふ


ヌシ

 灯里とうりの東に位置する村々で恐れられていた大蛇。古くから生贄含む貢物を受け、代わりとして村々を災害や妖たちから守っていた。




加々良山かがらやま

 鬼ではなく、烏天狗を筆頭とする妖がむ山。千古でも霧が特に深い東の果てにそびえている。まず人は来ないド田舎。


 【定家さだけ

 妖相手に取引し、加々良山に住んでいる人間一家。


 〔さだの 道遠みちとお

 現【道弦どうげん】。宮中だけでなく妖相手にも演奏を披露する。


 【道弦どうげん

 道遠が名乗る芸名。宮中専属の楽人【楽師がくし】として都におもむき、演奏を披露する他、帝や貴族に芸をほどこす。定家さだけの長男は代々この名を名乗っている。


 〔さだの 道常みちつね

  道遠の息子。17歳。無愛想。面倒見はよく家事は得意だが、体力や運動神経は妹に劣っており、それを本人も気にしているのだとか。頭は回るがつめが甘い。本人は冷静ぶっているが自己犠牲的なまでにお人好し。

 【道弦】を襲名しゅうめいするべく、楽器の勉強中。


 〔晴子はるこ

 道常の妹。運動神経抜群のおてんば娘。家事は苦手なのですべて兄に任せている。山菜採りと釣りが得意。簡単な文字までなら読み書きができるようになった事は最近の自慢。都での生活を夢見ている。都へ行く父の土産を毎度楽しみにしており、以前貰った絵巻物と椿つばきのかんざしがお気に入りだそう。






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技術者【千古盛衰】 草壁葛 @Tsutsura

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