当然の判断【なずみのホラー便 第78弾】

なずみ智子

当然の判断

 それまでの経緯について説明すると長くなるので割愛するが、武雄は、とある組織から命を狙われる事態となった。

 そんな武雄の前に、彼を警護ならびに保護してくれるという2つの団体が現れた。

 自身の命を確実に守るためにも、どちらの団体の救いの手を取るかの判断を誤ってはならない。

 以下がそれぞれの警護ならびに待遇の概要である。


【団体A】警護人4名、当面の食事はインスタント、4畳の部屋、トイレ&シャワーは共有、契約成立後ただちに警護開始

【団体B】警護人20名、食事は3食ともシェフが用意、24畳の部屋、専用バスルーム付き、美女付き、契約成立1週間後より警護開始


 武雄は、団体Aを選んだ。

 納得がいかない団体Bの者が、武雄に詰め寄ってきた。

「なぜです? あんなド貧乏団体を選ぶなんて! うちの方が人数的にも厳重な警護ができるというのに! あなた、みすみす殺されてもいいんですか?!」


 やれやれ、と武雄は溜息をついた。

「今まさにこの瞬間も命を狙われているっていうのに、警護の準備が整うまで1週間も待てってか? この場合、迅速さが何にも勝るんだよ。俺はみすみす殺されたくないからこそ、当然の判断をしたまでだ」



――fin――

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当然の判断【なずみのホラー便 第78弾】 なずみ智子 @nazumi_tomoko

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