第7話 「データベースの作成」
さて、FileMakerのサンプルソフトである [ 資産 ] を開いてみたのはいいけれど、そもそもエクセル以外でデータの管理をした事がない私にとって、データベースとはなんぞ? という疑問から始まるのです。
Wikipediaによると、データベースとは・・データベース(英: database, DB)とは、検索や蓄積が容易にできるよう整理された情報の集まり。 通常はコンピュータによって実現されたものを指す。
コンピュータを使用したデータベース・システムでは、データベース管理用のソフトウェアであるデータベース管理システムを使用する場合も多い。
という事らしいです。 なんとなくですが、理解できました。
では、ほとんどの会社で使用しているエクセルとはどう違うのか。 エクセルではできないのか?
これはシステムを自社で製作しようという案を発表した時も社長から問われた質問です。
自身でも、これまではエクセルで受注・納期等を管理できる物を作成し、計算式や簡単なマクロを組んで業務を行ってきました。
その経験を踏まえて、エクセルでは自社のデータベースによる販売管理システムの構築は難しいと感じていた理由としては、まずエクセルは同じファイルを複数の人間が開いて保存する事ができない事です。
同時に二人が編集できない為、担当する業務事に異なるファイルを使用する必要があり、データベースという概念からは程遠いものでした。 受注や発注、製品のデータ等 様々な情報を共有する事ができす、すべて手書き台帳で管理するよりはマシ 程度のものであると感じます。
当社の業務の中心であった、金属加工部品を仕入れて販売 といった業務以外にも、 顧客からの依頼を受けて、設計・アセンブリ(組立)等の業務を始めており、図面・部品の管理が複雑になってきている現状からも、データベースによる効率的な情報の管理が必須となってきているのです。
前置きが長くなりましたが、パソコンのFileMaker の画面をよく眺めると、[担当者] [所在] [項目] [モデル] などといった項目があり、文字を入力する事ができます。 年賀状ソフトでいう所の氏名や住所 役職等を入力できる、いわゆる「フィールド」という物です。
このフィールド名を作成したいデータベースに見合った名前に変えると今回の目的である、ネジゲージ管理として使用できそうです。
[シリアル番号] というフィールドもあり、おそらくここには他と被る事のない管理番号・コード番号のような物をいれるべきなのでしょう。 今回はゲージ管理用ですので、「GE-001」 (ゲージの1番)というようなシリアル表記にしようと思います。
フィールド毎に様々な設定をする事ができ、数字しか入力できないようにする事もできます。 この辺りはエクセルと似ていますので省略・・。
次はレイアウトの変更です。
レイアウトは、エクセルオンリーの経験では、少し戸惑う部分があると思います。
画面右上の [ レイアウト変更 ] ボタンをクリックすると、レイアウト編集モードに切り替わり、フィールドの入力マスサイズや色、形を自由に変更する事ができます。
エクセル方眼紙的なデザインとはかけはなれた、POPの作成に近い感覚で 1ピクセル単位でデザインを修正する事ができるので、凝りだすと終わらなくなりそうです。 今回は初めての業務用アプリの作成ですので、デザインはあまり凝らずに、パソコンやiPad の 操作になれていない人でもなるべく使いやすい ものにしたいと思います。
この時は知らなかったのですが、パソコン用やiPad用のレイアウトをそれぞれ作成して、使用している機器を判別してレイアウトを切り替えるという事も可能なのです。
iPad用の画面では、機能を少なくするかわりに、文字やボタンを大きくして使いやすくするといった感じです。
ただ今回は、いくつもレイアウトを作るのが大変なので、パソコンでもiPadでも、どちらでも同じレイアウトを使用し、同じように表示されるように作成しました。
レイアウトを修正しながら、こまめにパソコンとiPadの両方で確認していき、うまく画面に収まるように作成していきます。 ホームページを作るような要領です。
手探りでの作業が続く・・
これまでの作業・・非常にスムーズなように書いていますが、残念 「資産」のサンプルファイルを開いてから2~3日は経過しております。 はい。
比較的スムーズだったのはレイアウト変更・デザインです。 これは今までの経験からも直感的に作業ができました。 ただ、レイアウト画面に切り替えると今まで表示されていなかった謎の表示があったり(埋め込みのスプリクトだった)しましたが。
やはり苦労したのは、データベースの概念と、ボタンに機能を持たせる事や、検索・切替といった、FileMaker の基本的な使用方法です。
何とか本を読みながら作業を行った事と、 今回のゲージ管理ソフトは、単独で動作するデータベースであり、他のデータベースとは特に連動させる必要がなかった為、この3日目で完成させる事ができそうです。
ある程度、フィールドの設定とレイアウトが出来上がってきたら、ついにデータの登録です。 データベースというからには、データが入っていないと正しく動作しているかわかりません。 販売管理システムの導入方法を検討している時に、さまざまなソフトの無料版を試しましたが、やはり使い勝手がはっきり検証できなかったのは、データが入っていなかった事が大きかったです。
さて、今回のネジゲージ管理アプリのデータは、以前にエクセルで作成したゲージの在庫表のデータを使用します。
エクセルで作成した住所録を年賀状ソフトに取り込めるように、FileMakerもエクセルから簡単に取り込む事ができます。
ただ、今回はエクセルのデータをそのまま使用せす、項目ごとに分解して取り込む事にしました。
ネジゲージの品目名 「 M10 P0.5 ネジゲージ 通/止 」 といった項目は、 サイズ[M] [10] ピッチ [P] [0.5] 種類[ネジゲージ] といったフィールドを作成し、分けて登録した方が今後の検索や新規登録に都合が良さそうだからです
そしてついにエクセルデータのインポート!!! これはスムーズにできました。
ゲージのサイズ順にソートされ、 在庫あり・貸出中が一目でわかります。 加工業社から貸出依頼の電話があったときに、ゲージ置き場までいかなくても、事務所のパソコンから在庫状況が把握できるようになりました。
iPadからでも、ゲージの詳細を開き [チェックアウト] のボタンを押すと、貸出先を登録する事ができます。
この貸出先名は、取引先業者のマスタを作成したり、データベースの連動がまだ難しかったので、直に入力する必要があります。 ただ、一度でも入力した貸出先は、次からは選択画面に表示されるので、入力する必要はありません。
貸出を行う加工業者はある程度決まっているので、一通り打ち込んだ後は項目を選択するだけで大丈夫です。
ようやくデータベースらしくなってきたのですが、一番肝心(自分の中で)な物がまだ登録できていません。 それは・・ゲージ本体の写真です。
データベースによる管理をする上での憧れ(自分の中で) それは、製品の写真や画像が同時に画面に表示されている事なのです!
これからが、FileMakerでの楽しい所で、パソコンからなら画像データを フィールドにドラッグするだけで登録が可能です。 フィールドは「画像」 「PDF」 「ファイル」 登録さえされていれば、様々な形式を入力する事がかのうなのですが、さらにiPadからだと、カメラのアプリを起動して撮影した写真をそのまま登録する事もできるのです。折角なので、画面の中にiPad のカメラを起動するボタンをつけました。
ボタンには、[カメラを起動] → [フィールドに登録] といった、簡単なスプリクトを登録し、 また、レイアウト設定の中から、ボタンを [ すでに写真がある場合は表示しない ] [ iPadのみ表示 ] というような設定を付け加えました。
これらの登録は、多少エクセルを使っていれば、とくに問題なくIF関数と同じ方法です。
FileMaker を開くのに使用している機器を判別する関数があり、 またそれをIF関数でボタンの表示・非表示にするだけです。
ようやくそれらしい物が出来上がり、少しばかりの手ごたえと程よい疲労感に浸る事ができました。
未経験者が業務管理システムを構築してIT化するまでの1年間 ふねさん @kyoto6908
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