第2話
このTwitter社の規制へのユーザーの反応はさまざまであったが、大多数はすでに誹謗中傷と批判の境界線がわからなくなっていたし、何より彼らにとっては規制の内側にいることが重要だった。彼らが内側として認識しているものがあって、その内実について疑問を持つものは全て外側のほうに放り出された。秩序に基づく混沌はそのような様相を呈して、Twitter社のあり方を肯定するツイートが大多数だった。
ごくわずかユーザーが大きな声で反対したが、数の問題に対抗できはしなかった。制圧し、飲み込み、同一化する。生命に根源的なプロセスが行われたに過ぎなかった。意味などなく、そこには生成の段階だけがあったようだ。
この部分ついての資料を読み込んだときには、時代を超えた共感というか今の自分自身の要素について語られたかのような痛さ-痛みに還元されるイメージが適切かはわからないが-を感じた。
今となっては検証し得ないことだが、Twitter社への批判規制まではまだやり直せる可能性があったのかもしれない。少なくとも軌道修正を試みるくらいの余地が残されていたはずだ。何故その時の社会がTwitter社を、ひいては短絡的な数の暴力を許容したのかはわからないが、強いて許さなかった理由をあげるのも難しい。
すべからく全員が、わずかだけずつ悪かった。知覚できないほどの小さなズレが集まって、やがて予測不能な大波になった。初期値鋭敏性がもたらす神秘。極小と極大を結びつける真理。
個々人の利己的な行動が群れの動きを決定づけるが、閾値をこえた群れは意思を失った現象にすぎない。個体の動態からでは説明がつけられなくなってしまった巨大な群れ。膜の内側にいることだけが、彼らを彼らたらしめるものであった。
ちょうど一つの石ころがおこした水面の揺れが、宇宙の反対側の街一つを滅ぼすような津波まで拡大されるように、わずかなノイズはシステム内のダイナミズムによって増幅され拡散され、やがてはシステムそれ自体を滅ぼすような畝りとなる。
イメージ。
はぐれてしまうと困るから、なるべく強く手を握っておいてほしい。
ネットサーフィン たなか @tanaka_tanaka
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