第2話 しごき①

 よその学校の練習試合で負けた日のこと。帰りは車による送迎をせず、ランニングで自分たちの学校まで走って帰ることになった。かなりの距離がある。練習試合も、2試合もして、子供たちはクタクタである。しかし、指導者の命令で、そうなった。

 こんなことが1度や2度じゃない。真っ赤な顔をして走って学校に帰ってくる子供たちの疲れはどれほどものだろうか。

 小学校の野球チームでそこまでやるの、と思うけど、指導者がしごき好きだから仕方がない。

負けると、しごかれるということが繰り返されると、次第に、子供たちも委縮して、試合で実力が出せない。「負けたら怒られる」「ミスしたら怒られる」とびくびくして、のびのびしたプレイができない。

 そんな負のスパイラルに指導者は気づかない。

 勝つことがすべてという指導者に、のびのびプレイする楽しい野球なんてあり得ないのだ。

 そして、子供たちの中の何人かは、野球を嫌いになっていく。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

みんな野球が好きだった  有間 洋 @yorimasanoriko

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ