4章-05話 雑務なのか雑用なのか修行なのか

 その日は朝から雑用と雑務の仕事に追われていた。

 雑用や雑務に追われるのは、そんなに珍しいことでもない。


 俺は厨房に立っていて料理を作るメインコックをやっていたし、アイネはデータの裏取りという地道な雑用をやらされていた。


 ナーシャは教壇に立ち魔導の講師として、難しい魔導の呪文を教えたりしていた。 

 俺も教えられるには教えられるが、ちゃんとした講師資格を持っているのはナーシャくらいであるため。

 魔導講師として呼ばれるのはいつもナーシャなのであった。


 唯一講師としてランクを持つものが俺にもある、それは魔導剣士としての実務担当教官であり、魔導剣士の講師でもあるのであった。



 甚九郎ジンクロウも賢者として補佐に回ることができるため、賢者として教壇に上がることも多かったのである。


 ゼルは指導者のランクには届いていたため、銃士として指導を授けるための訓練を行っている最中であり、リズも分野は違うが精霊使いとして指導できるランクにいるため指導を授けるための訓練を行っていた。

 二人とも言葉遣いや、指導者としての立場を徹底的に教え込まれておりランク二十五位になれば指導者として教壇に立つことも可能になるといわれるくらいであった。


 マリは一般的には正式に高司祭とタメで話せるランクであるため、神殿の無償作業などに行っており、雑務か雑用の日は在席しないことが多かった。


 グレンは宮殿での礼儀作法についての造詣ぞうけいが深く、それを教えることのできる知識や作法の講師ランクを持っていたため、指導者として評判がよかったのである。


 俺のメインコックとしての腕前もどんどん上がっていたため、ランクテストを受けてみてくれないかなどの声掛けもいわれていたりした。そのためランクテストを受けてみたら、飛び級で二十五ランクまで上がってしまっていたりしたのであった。そのおかげで料理講師資格までついてきてしまったのである。


 本業で使うクラスとランクがほぼ同じってどうなのさ?


 という疑念にかられもしたが俺の本業は武将三十四ランクでありそれは変わらないのであった。


 ただしまつりごとを教えられるようになるには、四十ランクの武将ランクが必要であり、今の俺にはまだ遠かったといえる。

 ただ、馬術はすでに講師として教えられるようにはなっているので。いつでも馬術講師としては教壇に上がれるのであった。


 まあ馬術が必要なくらい辺境に行くことがあれば必要になるという程度のものでしかないわけだが。


 和の作法については十分に教えられるだけの講師資格などを持っているが、茶の湯や懐石の作法などといわれても、今日では一部のお大臣や高級官僚が学ぶものとしては存在したが、一般ラインでないのは事実であった。


 俺の中での一般としては、料理講師・馬術講師くらいが関の山であったのだ。




 雑務や雑用のない日は休日として過ごしか鍛錬に充てることが多く、比較的多くの時間を鍛錬に割いているのであった。


 その分の進みは早く、一般的にはオリジナルの技を生み出すにはランクが三十は必要だとされるところをショートカットし二十以上でオリジナルの技に手を出しているのであった。


 その最たるものが異界魔法師、魔導剣士、魔導師であった。才能が開花するのが速いといわれていたのでコンボやミックスまでできるようになっていったのであった。

 特に真奥義についての造詣ぞうしが深く本来なれば十も技が使えれば上等といわれるものが二十五や三十は技が使えたりしているのである。


 グレンも長生きではあるが技の基本形くらいしか使用せずに、応用技は少ないのであった。


 同じナイツでも差がこれだけあるので希少な才能を秘めているとか言われもしたわけだが、深奥奥義だけは教わってないので使えない。教われば使えるようになるといわれ「修行をせんか?」とギルドマスター・ヨナからも言われていたりするのではあるが。

「そのうちに参りましょう」と、はぐらかしていたりするのである。

 そんなことをやってたりしたので、ついには秘伝書を送られてしまったのであった。覚えろという事らしく手引きもついており逃れられなくなったという事に他ならない。

 なので鍛錬のかたわら深奥奥義の秘伝書に目を通していたりするのである。魔導剣士としては技のレパートリーが増えるのは好ましくもあるので真面目にとりかかっているのであった。

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グランシスディア冒険記 御鏡 鏡 @mikagamikagami

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