4章-04話 人探し(後編)

「はい」としっかりした声が聞こえ俺の手が握られる。データパッドを片手で二つ持ちしたナーシャがうなづいた。


 即、一番近い屋根の上に瞬間転移が完了した。

 目を開け識別を確認する。

「識別表記なし! 壊してもいいぞ! 市街地でのMMの違法運用だ、まずはギルドにLIVEで流してやれ」とナーシャに頼むと、ナーシャは屋根の上で座り込んでギルディアスのみにLIVE配信を開始した。「マーカー識別のないMMが市街地で暴れています。強制停止させてもよろしいでしょうか?」とナーシャがギルディアス重鎮に報告という形でLIVE実況を行った。


「ギルディアスとしては他国内ではあるが狙われているのがギルド員である以上それを保護するのが、最優先任務である。ギルドマスター・ヨナが認める実施せよ」と強い口調で挑まれた。


「俺が牽制と同時にぶっ放す、グレンは全力回避で頼む。軽装級の装甲くらいならこれで抜けるはずだ!」といいつつARゴーグルをかけ無尽斬の応用で射程延長型の術である無限刀を十六発抜く刀すら見せずにARモードで斬った。



 次の瞬間グレンとアイネを追っていたMMが無数の刀傷を頭部マルチスキャナ群に集中させられセンサー沈黙、の憂き目にあってその場で転倒した。バランサーまで逝った様だった。

 MMの頭部は半壊していた。誰も乗ってない型のようであるが薄紫色をした粘液上の液体が頭部から垂れてきていた。

 

 次の瞬間コクピットからナイツが飛び出し屋根の上にいるナーシャめがけて斬り込んだが、「のろい!」と俺が一括して手刀のみで分身せずに三十発程叩き込んだ。そいつの持っていた剣は折れて飛び、そいつ自身も階下に叩き落されて動けなくなったようだった。


「ナーシャ無事か?」と俺がいった。

「はい私には怪我はありませんが、今のナイツは複雑骨折はいってますよね」と相手の心配をしていた。



 グレンと抱きかかえられたアイネがナーシャの隣まで上がってきていた。

「降ろすぞ」とグレンがいってアイネを屋根の上にそっと降ろした。

「怪我はしてないよな」とグレンがアイネに声をかけた。

「大丈夫、怪我はしてない」とアイネもそれに答える。



 そこに無人タクシーを飛ばして甚九郎ジンクロウとマリが到着した。

「みんな無事かい、ってこの下に倒れているのは敵かい?」とマリが簡易式の鎖でぐるぐる巻きに縛り上げてしまった。



 甚九郎が刀を抜いて「どこんものかキリキリと白状してもらおうか」と起きているのを見抜いて、刀を首筋に突きつけ首を落とせる状態にしながらドスを利かせた。


 だが、相手も非合法活動としっての上で活動しているようで喋らなかった。


「喋らないのも手だがお前はすでにギルディアスに送信されていることに気が付くべきだったな」と俺がいってナーシャがデータパッドを向けた。顔を背けようとするが甚九郎が刀を突きつけているため背けられなかった。


「そいつは捨て石よ」とさらに高いところに人影が現れた。


しかしそいつらは迂闊すぎた、「ギルドが数チーム動いてるんだぜ?」と俺がいったときには既にエイシアのチームとベルンのチームでその数人を取り囲んでいてそいつらは動けなくなっていた。



「警備員は何をしているんだ……役立たずめ。」とほぞを噛んだような顔をしたが、警備員の方こそいい迷惑で新人PTパーティーに問答無用で熨されているのであった。



 マリがグレンとアイネに同行してくれるように頼み、室内へ入っていった。


 それから三十分もしたころであった。

 手荒い歓迎を受けて服こそボロボロにはなっているものの怪我をマリに治してもらい、怪我や骨が治って無事な状態の証人が救出された。


 ギルディアスのガーディアンが護衛する中、奥さんと子供と抱き合う姿がLIVEでギルディアスに流れ続けたのはいうまでもない。


 そのままガーディアンの保護を受けた証人の男性は我々に向かって一つ大きく一礼しガーディアンと共にその場を離れていった。



 ギルドの警備兵がその後到着し、鎖でグルグル巻きにされて動けなくなっている奴をさらに拘束し、MM軽装級と共に支部隊の管理場に一時拘束という形で持ち帰られていった。他の兵も、出てきた以上キリキリ喋ってもらうぞという形で連行されていった。



 ギルディアスにLIVE配信されていることをそのまま伝え、各リーダーは今回の報酬を正当にギルディアスの銀行振り込みとし報酬を出来高分に各員が受け取ったのである。そして今回の一件は終わったのであった。

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