怒りの舞踏
ジュン
第1話
「あなた、お怒りが溜まってそうですね。どうです、一度わたしが主宰する怒りの舞踏教室に体験入学されてみては」
「はあ……怒りの舞踏教室ですか……」
私は訊いた。
「どんなことをするんです?ただ踊るだけではないんでしょう?」
「仮面舞踏会の一種でして、日頃の怒りを踊りで発散してもらうんですよ」
「はあ……」
私は、怪しげなダンス教室の類いだと勘ぐった。でも、仕事で上司に叱られてばかり。内心怒りが溜まっていたのも事実だった。
私は訊いた。
「どこでやってるんです?」
男は言う。
「パンフレットを差し上げます。そこに地図も載ってますから」
私は、興味本位で、怒りの舞踏教室に出てみた。主宰は言う。
「さあ、今宵の舞踏会!怒りの舞踏のはじまり、はじまり!さあ、皆様、日頃の怒りを舞踏で発散しましょう!」
参加者は、仮面をつけて、音楽に合わせて踊る。私は、最初緊張したが、すぐ調子が出てきて、汗だくになるほど踊りを楽しんだ。ダンスタイムが終わると、主宰は言った。
「皆様、日頃の怒りを発散していただけましたか!さて、初めて参加された方に感想をお聞きしましょう!」
「えっ!私……」
私は言った。
「今日は楽しかったです。日頃の怒りも思い切り発散できて。実は私、仕事で叱られてばかりで正直、会社に行くのが嫌で。辞めちゃおうかと思ってたんです。そんな矢先、この舞踏会に誘われて」
パチパチパチパチと拍手が鳴る。
主宰が言う。
「それでは、お開きといたしましょう!」
「帰ったぞ。みんな、仮面をとってもいいぞ」
「彼女はなかなか、職場に馴染まないからな、クビにしてもいいと思ったが、会社の悪評を書かれても困る。それで、ストレス発散の舞踏会を我々、社員が作ったわけだ」
終わり
怒りの舞踏 ジュン @mizukubo
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