第110話 全部まとめて面倒見てやらぁ!!
そっからの俺たちの行動――――――主にアーサーは早かった。
首謀者を最初に殺した大将格の…………グルーミィだっけか?そいつに仕立て上げた。
死体も残さずアーサーが処理しちまったから文句も言えねぇだろう、死人に口なしだ。
ハゲも、バランも、ゼクスも、アーサーの彼女になったルーティーも、死体にされて操られないように自分から仕方なく従っていたという設定で押し切って行った。
どさくさに紛れて魔族と交際している事までカミングアウトして、大吾に猛反対を食らったがそれさえもアーサーは勢いでどうにかしちまった。
最終的にフェリシアさんがアーサーの熱意に折れて、大吾を一緒に説得したらしい。
マジで、アイツは勇者だと思った。
それから三年後――――――。
俺とアーサーはとある記念式典に参加していた。
アーサーの隣にはルーティーが片時も離れる事無くパートナーとして参加している。
そして俺の隣には……………。
「ルシード、何を呆けていますの?」
俺の第三夫人となったイザベラが、気を引く様に俺の腕を引いた。
そう、俺もこの三年間の間にサリア、マリー、モア、イザベラ、シルヴィア、シスカと結婚した。
皆結構我が強いので喧嘩が絶えないかと最初は思ってた。
けどマリーがある提案をしていたらしい。
妻としての役目を分担しよう、と――――――。
そしてスティレット家の衛生面担当がサリア、内政担当がマリー、社交担当がイザベラ、警護担当がモア、対中央府貴族社交担当がシスカ、財務担当がシルヴィアという鉄壁の夫人たち(誤字じゃねぇぞ?)が出来上がっていた。
今回の式典は中央府が主催なので本来はシスカの担当だったわけなんだが、シスカは現在身重なため俺から参加を見送ってもらった。そして代理としてイザベラに参加してもらった。
暫く会わない間にマリーもモアもイザベラもすげー美人になってて、風の噂によれば数多の求婚を受けていたらしい。
それでも一途に俺のことを想ってくれていた事に今でも深く感謝している。
「いいや、俺の奥さんはいつも通り美人だなぁと思ってな」
「当然ですわ。アナタの妻なんですもの」
頬を僅かに染めながらイザベラは微笑み、身体ごと擦り付ける様に俺に寄り添った。
ついついムラムラしそうになるのを自重する。
今になって思うのは
まだガキの頃からエロいエロいとは思ってたが、すぐにムラムラして来やがる。
昨日――――――というか今日の深夜まで、今日の式典に参加するイザベラと身重のシスカを除いた全員と寝てこのザマだぞ?してなかったら俺が抑え込めたかわかりゃしねぇ。
そんな物思いにふけっていると、隣のイザベラはもじもじとし始めて、
「だからその…………昨日出来なかった分、今夜はたっぷりと愛して下さいましね?」
信じられるか?この可愛い人俺の妻なんだぜ?
…………………今夜が楽しみだ。
早く夜にならねーかな。
今回の式典は一応俺も名前は挙がっちゃいるが、アーサーが主役だ。
何せあの騒乱の後、益々魔族に対して厳しい目が向けられる状況だった。けどアイツはそれを逆手に取り、”空白地帯”及びこの国とが接する領地の幾つかがアーサー個人の領地として認めさせた。
今日はそれを正式発表する記念式典だ。
俺はあの騒乱の功績を今頃思い出したように称えられ、誰も近寄りたがらなかったそのアーサーが拝領する土地の一部――――――って言っても、そこいらの貴族よりも大きな土地をスティレット家の領地として拝領した程度だ。
要するにスティレット家は体良く盾代わりにされたわけだが、まぁ大丈夫だろ。
隣の領地にはアーサーが居るし、俺の後ろ盾にはX・カーヴェ家も居るし、なんとオーズさんも俺とアーサーの領地の近くに大吾から領地を貰っているからな。
オーズさんとリズさんは相変わらずラブラブだ。
今回の式典も参加予定だったが、リズさんのお腹に五人目が居る事が判り、急遽オーズさんも参加を止めるくらいには仲が良い。
因みにだが、今はミモザがリズさんの傍仕えとして働いている。
オーズさんの家の子どもは全員が男で、今のミモザはまだ俺が小さかった頃のサリアのような立ち位置に居るのかもしれない。
アイリーンはシバキアにある軍学校で教師をしている。
ファナル先生はそこの教頭先生になっていた。
何気に優秀な先生だったのかもしれない。
フォルスとミリアは今もスティレット家に仕えてくれていて、フォルスはスティレット家が所有する騎士団の団長として、ミリアはミューレさんの護衛騎士を買って出てくれている。
決して恵まれているとは言えない環境から立派な騎士として成り上がっていく物語をニーアさんが書籍化”スティレット家の双翼”として売り出したところ大反響、二人ともそう呼ばれるようになるまでに時間はかからなかった。
アーサーとルーティーの二人の婚姻も無事に承認され、幸せオーラを振りまいている。
式典が始まり、国王の演説に続いてアーサーが壇上に上がり話始めた。
当たり障りのない内容、予めそうしたものを書くプロによって書かれた演説文。
俺もその練習の場に立ち会っていたから内容も覚えちまった。
けど、アーサーは最後に一文付け足した。
「これから先、人と魔族が共に歩むために、双方の文句は僕とルシードに言え!!」
……………あの野郎巻き込みやがった。
周囲からの視線が俺に向かう、ここでビビってなんていられねー。
俺は胸を叩くと、不敵に笑って言い放ってやった。
「人も、魔族も全部まとめて面倒見てやらぁ!!」
異世界転生!?上等!! ~真面目にテッペン取ってやらぁ!!~ 暑がりのナマケモノ @rigatua
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