第2話 畑
「なんだよこれ……」
「ど、どど、どういうこと……?」
俺たちは畑を見て絶句した。
畑が荒らされていたのだ。
それもせっかく育てた野菜が踏み荒らされて……とかいうレベルでは無かったのだ。
畑自体が跡形もなく踏み潰されていたのだ。
「は……はは……」
「ハルト……?」
「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!巫山戯んなよ!!!俺たちがどんだけ苦労したと思ってんだ!!!!やったやつぶっ殺してやるよ!!!!出てこいよクソが!!」
俺は力任せに拳を地面に突き立てた。
ボコォン!!という大きな音と強い衝撃がして、俺は正気に戻った。
「……は?」
地面に大きく穴を開けていたのだ。
そしてその中心に、俺が立っていた。
その様子を見ていたアイナが、唖然とした様子で話しかけてきた。
「な、何をしたのハルト……?」
「ただ拳を地面に叩きつけただけなんだが……」
「いやいやいや!おかしいでしょ!どういうこと!?」
「俺にも分からない。火事場の馬鹿力ってやつか……?」
「うーん……どうなんだろう……」
俺たちがそう言っていると、さっきの音を聞いた他の畑の人達が一斉にこちらに向かってきた。
「お、おい……ありゃあどういうことだぁ……?」
「おらにもわがんねぇ。ただ穴の
「俺もだぁ……」
「まさがあいづがやったんがぁ……?」
やべえ。完全に俺が悪者じゃねえか。
確かにね?ここをこんな状態にしたのは俺だよ?でもさ、元はと言えば俺たちの畑を踏み潰して行ったクソのせいじゃね?
だから俺は悪くない。うん、悪くない。
「えーっと──何か大きな魔物が畑を踏み潰して行ったみたいです。俺たちはたまたま最初に見つけただけで……全部その魔物がやったんです!」
「そ、そうだったんか……」
「おらたちの畑がぁ……」
よし。これで完璧に全部が魔物のせいになった。晴れて俺は無罪放免だn──あっ、やめてください、アイナさん。そんな目で見ないでください……
俺はアイナをちょいちょいと指で呼んで、
「良いか、 よく聞け。こういう時に、俺が捕まったらどうなる?お前もただじゃ置かれないぞ?だから、魔物の所為にすれば問題は解決なんだ。それにな?剣神さん来てるだろ?多分ミンチなんて比じゃないくらいにぐちゃぐちゃにされるぞ?俺ら2人とも」
「……分かった。そういう事にしておくね」
グヘヘ……話が早くて助かるぜ、アイナの親分。
「でも後で楽しいお話し合いしようね!」
そう言ってきたアイナの顔が満面の笑みだったのを見て、俺の背筋にゾクリと冷たいものが走った。
そして今までの出来事が急激に脳内を駆け巡った。
その時の俺の顔は、多分真っ青なんてものじゃ無かった気がする。
そして家に帰ると楽しいお話し合いが深夜まで続いた。
それ以降、俺はアイナと相談無しにこういうことは二度としないように肝に誓った。
家のリビングに神聖水が湧いた。〜ただの水だと思って常用していたらいつの間にか世界最強になってました〜 卯月 為夜 @urunero321
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