第11話 音楽バンドの解散理由みたいな

前回でもご紹介した通り私が通っていた中学校は地域の公立校である。つまり、同じ小学校からとその近くのもう一つほどの学校とで学年が形成される。そんなわけで私の家業は普段目に入れることがなかった層のクラスメイトの不必要なご好意で学年のほぼ全部が知ることとなった。「おい、あいつの家こんなことやってんだぜー」といった感じで広まるので、中学生活当初は鬱陶しかった。さすがに一定の時間が経つとその話題は消えるが、そのせいでほぼ学年中の人間からはこういう家の人間だというイメージがつけられる(おまけに小学生時代の評判までつく不親切設計だ)。

 そんな中学生活ではなんとテストに対する気力を失ってしまった。由々しき事態である理由は単に、テストの問題を解かされていると感じ始めてしまったのだ。みんなが必死に高校受験を見据えテスト勉強をし、塾に通いつめてようやく受ける定期考査の間私は勉強の楽しさは失うことはなかったものの、テストに対する見方が変わってしまった。テストは親のお叱りを受けない且つ学年中位程度の成績を残すことをターゲットにし、受けることにした。とはいえ、一回だけ重大なミスを犯してしまった。中学2年生のとき、音楽のテストが録音された放送ないのリズムを用紙に書く内容で、見事に全問外してしまった。今まで音楽はオルガン以外やったことがなく、そもそも楽譜なんて見ない(他人の演奏を丸コピ)上に、音楽センスがないそんな人間にオルガンの音以外を放送で鳴らされても分かるわけがない。よって私は音楽性の違いにより、音楽の授業を切り捨て科目に認定することにした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

生の矯正 @mi2ki03

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ