第10話 檻のような中学生活 

 日本の義務教育制度は9年となっており、内6年は小学校で、残り3年は中学校で学ばなければいけない。

 そんなわけで家から約15分の中学校に入学したわけだが、私が中学生だった頃はやたらと生徒に対する地域の目が厳しく、ちょっとした問題を起こしたりするとすぐに指導が入る監獄のような学校だった。そんな監獄ではあったが、今の腐れ縁と遭遇できたのはかなりプラスだった。そいつには初めの自己紹介から目をつけられ、すぐに意気投合した。人生で初めて理解者を得たように感じ、毎日のように他愛もない言葉を交わした。会話の内容は部活の非合理な練習法への愚痴や恋の話(一方的に弄られただけ)、果てには教育制度の欠陥まで話すようになった。しかし中学生であったため、学術的な話はしていなかったが生徒であった自分たちから見た学校という施設のズレを解消する気もないくせに延々と駄弁った。何故かそいつの前では面白いことが多く巻き込まれたくないことにも巻き込まれたりした。内容はある一つがどうしても思い出したくないから説明しないが、とにかく日頃の苦渋を華金で解放するサラリーマンのような生活を送っていた。

 中学での担任は比較的アタリといえる人が多く特段困ったことはなかったが、同級生が問題だった。まず根本的に思考回路が噛み合わない人物が多く、最初は歩み寄ろうとしたが価値観の差が大きすぎたが故に歩み寄ることをやめた。地域の公立中学の世界は狭く関わる必要を感じないのに関わらざるをえない、そんな状況に嫌気がさし集団からあぶれる回数を増やした。当然非難が相次いだし、親にも連絡がいったが当の私はどこ吹く風といった感じで呑気にゲームをしていた。不登校になる必要性も感じないので仕方なく体を動かして、成長期を無事に過ごすためだけに学校に行っていた。

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