手の触れる距離

作者 味付きゾンビ

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★★★ Excellent!!!

終末医療施設に入所しているおばあさんと担当の話。そして、人を人足らしめる物は何か。使っていないパソコンのHDDからデータをサルベージするのとどう違うのかという課題。
終末医療施設と言っても単に老人をケアしているだけでなく、記憶から有意義な情報を聞き出して記録しているというのが優しさだけではどうにもならない現環境の厳しさを醸し出しています。
バーチャルな世界が広がりつつある現代で、数歩先の未来を映したSF作品。面白かったです。

★★★ Excellent!!!

 病院に入院するひとりの年老いた女性と、それを看護・治療する人たちの記録と日々の情景。
 SFです。しっとりとした静謐な風景の向こうに、少しずつ大きな物語が立ち上がってくるかのような、太い芯を感じさせてくれる作品でした。
 困ったのはお話の内容に触れづらいところで、レビューとして言いたいことはいっぱいあるのに、でもどこを切り取ってもネタバレになるような気がします。
 なので非常にざっくりふんわりした言葉で申し訳ないのですが、とにかく空気感の美しい物語です。お話の設定や舞台そのものは骨太なSFで、しかしその壮大な世界を通じて描かれているのは、あくまで人間のありようや生き方そのもの。大きな世界から小さな個へと接続していく、その流れが味わい深い作品でした。