第5話
怪物の鼻の穴に、僕が投げた石ころが入る。
バオッ!!
すると怪物は大きくむせて、バオバオ言いながらドタバタする。
そして少ししたら逃げて行った。
………成功だ!
追い払えた!
まさか本当にこんな方法でうまくいくなんて!
僕は安心して座り込む。
………ふー、
疲れたな……。
いきなりこんなことが起きるなんてこれからが不安だ。
それにしても何だったんだあの鼻デカ怪物。
デカい豚っぽいのにパオーンって……、ないない。
僕は休憩したあと、旅を再開しようとしていた。
次は何も出ませんように……。
そう思ったその時、
バタン!!
バタン!!
バタン!!
!?
またあの足音!?
あの怪物戻ってきたのか!?
どうする?
逃げるか?
いや、もう一回追い払ってやる!
一度撃退したので、自信がついていた。
さあ、かかってこい!!
バタン!! バタン!! バタン!!
バタン!! バタン!! バタン!!
ん?
何かおかしい……。
さっきと音が違うような……、同じのような……。
何か変だと思った時、僕はとんでもないものを見る。
パオーン! パオーン! パオーン! パオーン!
!!!
なんとあの鼻デカ怪物が、少なくとも五匹以上でこっちに向かってきていたのだ。
「やっぱりかかってこないでーーーー!!!」
僕はまた全力で逃げる。
た、助けてよ!!
さすがにあの数は無理だ!!
やめてくれー!!
ここからが地獄だった。
その後僕は三十分も逃げ続けた。
死にそうだった。
怪物に殺されるのではなく、疲れて死にそうだった。
体力の限界を簡単に超え、足が折れそうになりながらも走った。
怪物に捕まるよりは逃げる方がマシだと思ったが、めちゃくちゃ後悔するほどしんどかった。
今こうして生きているのは、たまたま洞窟がありそこに逃げ込んだからだ。
僕は洞窟の中で倒れこむ。
息がものすごく荒いのを感じる。
最悪だ。
こんな気分を味わうならこんなとこ来なければよかった。
疲れが一番しんどい。
はあ。
早く帰りたい………。
少し経ち、落ち着くが、考えはまたネガティブだ。
翼があれば簡単に逃げれたのに………。
そもそも翼があればこんなとこ来なくて済んだのに。
翼があれば。
翼があれば。
翼翼翼翼翼翼翼翼翼翼翼翼翼翼翼。
僕は病みそうになった。
このままではまずいので帰ろうとするが、もちろん自分が今どこら辺にいるかなんて分からない。
何も考えずに逃げていたから、ここの位置なんてわかるはずない。
とりあえず洞窟から出るか。
僕は重い足を動かし、外に出る。
その時、お腹に違和感を感じる。
そうか………、
何か食べたいな………。
僕はあたりを見渡しながら、食べ物を探す。
するとベリーを見つけたので、何も考えずすぐ食べる。
だが、
!!??
ペッ!!
まずい!!
僕は思いっきりベリーを吐いてしまう。
まさかの毒ベリーだったのだ。
最悪だ!!
お腹痛い!!
腹が痛いのを紛らわすため、僕はまた走る。
◇◇◇◇◇◇◇◇
「あら、大変そうね、アルタスちゃん。 でもいい感じ!! どんだけ~~~ってレベルよ!!」
『翼』の物語 悠 武 (はるか たける) @takerutakeru
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