詩のような、童話のような、民話のような、澄んだ空気感と短い文章のなかに、たくさんの想いを感じる物語。 冷と熱。静と動。罪と功績。切なさとやりきれなさと、その対比が胸に迫ります。すぐ読めるのでぜひ。
しんしん、つめたい雪が降る。七五調で何度も繰り返される美しい情景が胸に刺さる。キンと凍り付いた透明感のある空気と、それをわずかに曇らせる温かい吐息。無音という名の音と、大地を揺るがす振動。積もる雪と、山の噴火。放逐される精霊と、祀られる精霊。罪を背負って生きる者と、功績と共にこの世を去る者。想うほどに二人の距離が広がっていくのが切ない。