第05話 愛撫への抵抗

 エイネは口を咬んだ。

 両手と両足を広げられ、身動きが取れないままでいる。

 しかも目の前の男が、その汚い手で、服のファスナーを下ろしたのだ。

 黒い服が豪快に開かれる。


 自慢の大きい、色白肌の乳房が出て来てしまった。


 エイネが少し動いただけで、乳房は左右に揺れる。

 高まる羞恥。

 だけど、それが男にバレてしまうのは余計に腹が立つ。

 エイネは口を噛みしめ続けた。


「ほほう……」


 男は興奮している。

 小顔の美女が持つ、たわわに揺れる二つの実。

 先端は、サクランボの様に可愛かった。


「期待通りの良い胸だ。張りもあってプルプルしている」


 男はポケットから数字の入った紐を取り出し、エイネの体に巻いた。

 乳房の周りを先端まで囲った後、小さなおへその周り、黒いお尻をも囲った。


「バスト95、ウエスト60、ヒップ82、最高だな」


 男は紐を仕舞い、その手を、サクランボを隠す様にエイネの乳房を包み込んだ。

 不思議だ。

 形が戻る。

 弾力があり過ぎる。

 右手だけは飽き足らず、左手でも揉み始めた。

 これはまるで、楽園にいる様な気分だ。


「ん……んん……うん…………」


 エイネの声が零れる。

 形がどんどん変わる自分の乳房。

 上下に伸び縮み、左右に揺れていく。

 プリンの様な動きだ。

 先端も固くなってきた。

 摘まめば摘まむ程、体に痺れを起こし、走っていく。

 股の間もこそばゆい。

 左右からの快感に堕ちそうだ。


「き、気は済んだでしょ?」

「いや、これからだ」


 我を保ちながらエイネは睨む。

 だが、男の鼻息は止まらなかった。

 突然、部屋一面を覆う壁が急変した。

 乳房を弄られながら、エイネは部屋の光景を見て絶句する


「君はこれから、絶頂の域を迎えたまま、私のものになる。この娘達に様にね」


 部屋一面に並べられた銅像。

 全てが若い女性で、中にはあどけない少女まである。

 皆、エイネと同じ様に手足を広げられたまま拘束され、一糸纏わぬ姿のままもがき苦しんでいた。

 エイネの頬に冷や汗が落ちる。

 この銅像達は、かつては人間として普通に暮らしていた。

 だが、この男が、自らの性欲を満たす為に生贄として捧げられてしまったのだ。


「暑いかい?」


 エイネの汗は次第に体にも溢れ、乳房の先が光った。

 男は指先でエイネの体をなぞり、汗を集めていく。

 そして、豊満な乳房の先まで指を持っていき、回した。


「あ……あん……う………ううん……」


 声が漏れてしまう。

 エイネの艶やかな反応に男は頬を緩ませ、指先の汗を舐めた。


「こ、この女の子達、どうしたのよ?」

「私のものになってくれたのさ」

「クズが」

「何?」

「クズだって言ったんだよ!!」


 猫の威嚇。

 エイネは轟く様な怒りを男にぶつけた。


「お前は、この娘達の、愛する人を選ぶ権利を奪った。そのくだらねぇ変態趣味の為に、何も知らない、何もわからない、世間知らずの女の子達の希望を汚したんだよ!!」

「言葉には気を付けた方が良いぞ。シャドウキャット。君は私の玩具だ。玩具は大切に扱わないと……」


 男は一変、冷たい表情を浮かべながらエイネの乳房を掴んだ。

 だが、今度は愛撫ではない。

 エイネの乳房を千切る様に回した。


「ぐ……ッ!」

「こうやって、壊しちゃう事だって出来るんだ」


 男は爪を立てながら、エイネの乳房を放した。

 激しい反動。

 綺麗な乳房には、赤い跡が走っていた。


「まあ良い。最後の情けで、君を楽にしてあげよう」


 忽然と現れる先の小さい数本の無機質な触手。

 触手の先は五本に分かれており、エイネの目の前で蠢いた。

 息を呑むエイネ。

 触手が、エイネの体を攻め始める。

 まず、豊満な乳房に食いついた。


「ひゃ……!」


 快感が体に送られてくる。

 エイネの体がビクンと動いた。

 触手は出る筈のない母乳を求めて、乳房を吸っていく。

 激しく、飢えているかのように。


(こんなもの……!!)


 残った触手がエイネの体を撫ではじめる。

 へそを責め、服の中にも潜り込んだ。

 脇の下を優しく撫でられ、股の間も通っていく。


「良いねえ。その強気な顔。だけど、君はもうお終いだ」


 男が鼻を伸ばしながら、微笑む。

 快楽から逃れたいあまりに暴れ始めるエイネ。

 しかし、暴れてもエイネの手足を封じる枷が邪魔をする。

 硬く響くだけだった。


「さて、君を固めさせてもらうとするよ」


 天井が開かれ、大きな機械が出現する。

 充満した黒い瓦斯が吹く。


 まずい。


 この瓦斯を浴びれば、永遠のアートに変えられてしまう。

 エイネは手足に力を入れたが、枷はやはり取れない。

 しかも触手が乳房を始めとする体のあちこちを責めてくる。


 もう限界だった。


 エイネは目を瞑った。

 快感を受け入れ、体を静かにする。

 せめて、最後の時くらい綺麗なままでいよう。

 所が、瓦斯は一向にかけられなかった。


「な、何だ? 調子が悪いのか? 良い所なのに」


 男は目が点となった。

 機械が止まってしまった。

 更に、硬く閉ざされていた扉が豪快に倒れた。

 扉の向こうから、何者かが現れる。


「連れが世話になったな」

「な、お前は……シャドウキャットの部下!」

「はぁ? 部下じゃねぇよ。俺は――」


 引き金が静かに引かれ、その人は答えた。


「『そいつの男』だ」


 弾丸が部屋に響き渡る。

 男は胸を抑えながら、膝を砕いた。

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SHADOW CAT & BON DOG マナトプス@紅茶王家の家来 @Manatops

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