第15話 雷神と髑髏
相手は格上だ、彩音だけでは到底敵わない。
魔女の力があるとはいえ、何の訓練もしていない自分では、足手まといになるだけだ。
そう考えた華恋は、図書委員会本部で風紀委員会連絡網に緊急リンク。
応援要請を出し、ナビゲートすることにした。
「そこを右です!って通学路ですよね?しっかりしてくださいよ先輩!!一般生徒が戦闘に巻き込まれてるんですから」
『めんごめんご、もう着くからさっ。よっと、とぉおおおおおおおちゃああああああああっく!!!』
「はぁ・・・大丈夫かなぁ・・・一応、兄さんに連絡を・・・」
『もしもし?』
「兄さん、学校に一人敵っ!!あとは・・・核区中野にまだ誰も対処してない緑色の刀を持った敵がいる」
『分かった。そこに向かう、華恋はあと4本、特別な妖刀を持った風紀委員を探してくれ』
「分かった、気をつけてね兄さん・・・」
『おう、任せろ』
******
「さて、核区中野に向かうか。っと、そういえば試してみるか・・・来い、ナラクッ!!」
黒い影が主に呼応し、姿を現した。
命令を待つかのように、立ち尽くしている。
「よし、武装化!!風車と同じようなやつ!!」
すると、ナラクは形を変え、バイクのように変形した。
「よし!これで中野まですぐに行けるな」
影灯はナラクに跨がる。
しかし、それ以上何も起きなかった。
「?流石にバイクは無理か・・・自転車なら・・・」
今度は自転車の形に変形させた。
しかし、ベアリングの構造を理解していない為、車輪が回らなかった。
「うーん、徒歩で行くのもなぁ・・・そうだ!!」
ヒヒンッ!!──そう聞こえたような気がした。
「馬なら行けるか!!よし、行くぞナラクッ!!」
何はともあれ、核区中野に向けて出発する影灯であった。
******
同時刻、場所は建設途中で破壊された宇宙エレベーターの再建が進む第1学区核区新宿のかつてトチョウと呼ばれていたビル。
その一室の木製の楕円形長机に4人の男性と1人の女性が座っていた。
それぞれ、3席以上の距離は空いており、一人は老人、それ以外は若い男女だった。
彼らは長い間沈黙を保っていたが、それを老人が破るのを待っていた。
老人は重々しく口を開け、彼らに問うた。
「彼らは使えるかね?」
老人が質問をすると、金髪の男が返答した。
「問題ありません。音無は俺から見ても・・・失礼私から見てもこの学区最強の男です」
「ふむ、気を遣わせてしまったかMr.金剛寺。堅苦しいのは嫌いでね、私に敬語は必要ない。君達の方がこの都市においては強い力を持っているのだから」
金剛寺は、難しい顔をする。
生真面目な彼にとっては年配者は全て敬意の対象であり、老人の言葉に頷くことは彼の道理に反することだからである。
「ほ~ら、理事長もこう言ってるし、ちょっと気、緩めたら?金剛寺くん」
呼び掛けた男は、第四学区生徒会長『
男にしては少々長い髪と、薄ら笑いを貼り付けた顔。
掴み所のない、水のような男であった。
そして、呼び掛けられた金髪の男は、第三学区生徒会長『
「しかし、理事長。あなたがいなければこの都市は成り立ちません。それに私のような若輩者はやはり敬意は払うべきだと判断します」
「お堅いねぇ・・・流石は金剛石より堅い男だ」
「お前こそ口を慎むがいい、狭山霧。聞けば、木の書を落としたそうじゃないか。そんな男にこの椅子に座る資格がまだあるとでも思っているのか?」
狭山霧を鋭く睨み付ける、濡れ烏の羽根のような黒髪を腰まで伸ばし、美しい絹のような透き通る白い肌を持つ女性は第二学区生徒会長『
嘲笑と怒りを交えた、その表情を向けられて尚、狭山霧は飄々とした薄ら笑いを全く崩さない。
「嫌だなー。落としたなんて誰から聞いたのさ?僕ってばみーんなみたいな才能と無縁の凡人なんだよねー。小学校の頃から委員長、児童会長やってきたら生徒会長になっちゃいました的な?」
「この道化師が・・・」
「そこまでにするがいい。このような不毛な話をする為に我を呼びつけたというのであれば帰るぞ。我は貴様らと違い備えるべきことがあるのでな」
高校生とは思えぬ威厳で場を鎮めたのは、第一学区生徒会長『
少し尖った耳、美しい銀髪、鋭い真紅の眼、そして鍛え上げられた肉体。
一つ一つの言の葉が彼の前に立つ者を畏れさせる存在感を放っていた。
ただ一人を除いて。
「それってーもしかして、『魔術祭」の事?それともー」
「無論、『聖戦』である」
「「!?」」
「ありゃーはっきり言っちゃうんだ。さっすが皇くん」
「そこまでである。急に呼び立ててすまない。このところ黒是覇の動きが不穏でな。今回の事件に対する君達の意見が聞きたい」
「あからさまな陽動だな・・・と私は考えるが」
「なんだ、気付いてないのー六花ちゃん?」
「どういう意味だ?」
「自分の学区の状況すら把握出来ないからそうなるんだよー。さっき侵入者がおたくの学区に入ってたの見ちゃったんだよねぇ・・・」
「なんだと!?ということは──」
「いやいや、彼はすぐに事を構えるつもりは無いみたいだよん」
「何故分かる?」
「ふむ、そやつも我らと同じ契約者か」
「御名答ー☆」
「ふむ、そういう事であれば、私の足元を嗅ぎ回る虫共もしばらく放置しておくべきか」
「それが気になっているのですが、何故核区の新宿にある歌舞伎町をアジトにしてる奴らを野放しにしておられるのですか?」
「それは──」
「それは、彼らもまた資格があるからだよ、金剛寺黎」
「「「お前は!?」」」
「北嶋か」
「おや、居たのかねMr.
北嶋と呼ばれた白衣の男は理事長の反対側の椅子に腰掛けた。
「ああ、聖戦の時は近い。時に狭山霧。君は木の書を落としたと聞いたが?」
「いやー確かにあったんですけどねー教科書の間に挟んでどっか行っちゃいましたー」
「・・・ふむ、君が何を企んでいるかは知らないが、もう一つ魔導書が余っていてね。良ければ受け取ってくれるかい?」
「こんな男に2冊目を渡すなどもったいないです!!」
「ふむ、僕としては別に誰が契約者となろうと問題は無いんだよ。重要なのは10人の魔女とそれに伴う契約者が揃うことにある。資格によって書が与えられる優先順位が定まるとはいえ、それだけだ。魔導書を手に入れる資格は誰にでもあるし、魔女にもまた契約者を選ぶ自由がある。だからこそ、持つべき者が持つ為に誰が何をしようと一向に構わないんだよ」
「流石は科学者、説明の上手さが段違いだねー。いいよ受け取ってあげるよ。それで今度はどんな魔導書なのかなー?」
「私の手元に残った最後の一冊は・・・冥の書だ。彼女は少々気難しいから気を付けるんだよ」
そう言って、北嶋は白衣の内側から紫色の魔導書を取り出し、狭山に手渡した。
「三王の魔女の魔導書・・・最後の一冊を何故貴様に手に入れる資格がある?」
「金剛寺黎、君には金の書の資格・・・いや、運命があるんだよ。君しかヴィーナスとは付き合えない」
「それはそうだが・・・」
「話は終わりか?我は帰るぞ」
「私もだ。もう議題は無いだろう?」
「そんじゃーお開きってことで」
「では、解散とする。集まって貰い、感謝しよう。健闘を祈る」
こうして、会議は終了した。
各々が立ち去る中、
「・・・金剛寺くん、君のとこ手出さなくていいの?」
「こういう事件はプロに任せるに限る」
「そっか・・・でも、彼はちょっとヤバいと思うよ・・・」
「何か言ったか?」
「いやー何もー?」
「そうか、なら、せいぜい大事にしろよその魔導書」
そして、全員がこの会議室から立ち去った。
堂々と構える者。
凛と佇む者。
強かに見据える者。
不敵に笑う者。
それぞれがそれぞれの立場、視点で聖戦へと向き合っていた。
「さぁて、こいつはどうしよっかなー。この前のは通販に流しちゃったし。僕はもう契約してるしなぁ・・・」
******
時同じくして第三高校グラウンド。
雷神宿りし少女、風紀委員副委員長
そして、彩音もまた、魔術で強化された拳を骨に叩きつけていた。
「──我が拳は鬼の如く、眼前の敵を撃ち祓わん──」
拳が土を纏い、グローブが形成されていく。
さらに、魔術都市の制服には、魔力に反応して硬質化する特殊繊維が使用されている為、彩音は身軽な鎧を纏ったも同然だった。
しかし、相手はがしゃどくろ、骨の妖怪である。
一説によれば、健康な骨の堅さはダイヤモンドを凌ぐと言われる。
ヒビすら入らないどころか、拳打を繰り出したグローブが先に割れてしまい、彩音は幾度となくこのグローブを生成しなおしていた。
「くそっ、堅いのよ!!この凡骨が!!」
「カルシウムたっぷりであるからな!!ってああ、この言い方言いづれぇ・・・言葉遣い変えていいか?」
「勝手にすればいいじゃんッ!!!おらぁッ!!!」
一蹴、そして一閃。
重々しくも鋭い一撃ががしゃどくろの脇腹を捉える。
当然、がしゃどくろは吹っ飛ぶが、骨の鎧はほんの少し欠けるだけだった。
「まだまだ行くよー、おりゃぁああああああ!!!!!」
「甘いぜ、見くびったな小娘?」
振りかぶって跳躍した蕾楽に、宙に舞ったがしゃどくろの背中から無数の骨が腕のように降り注いだ。
「と、思うじゃん?彩音ちゃんッ!!」
「おるぁあああああああああああああ!!!!!!!」
翻った蕾楽の背後から跳躍した彩音が蕾楽を蹴ってさらに跳躍。
無防備の顔面を殴ろうとした瞬間。
ゴキッ
背中から生えた骨が、彩音を拘束し、脚を折った。
「!?あああああああああああああああああああああああああ!?」
「骨があるのを忘れたのか?しかも、攻撃に気をとられて足下がお留守だぜ」
そのまま彩音を地面に叩きつけると、
すると、がしゃどくろはおもむろに少女の身体から離れた。
「俺としたことが、美人を傷つけるところだった。美しい顔だと思ってさらけ出していれば当然狙われるよな、すまねぇすまねぇ。戦いより俺のフェチズムを優先しちまった」
出てきたのは褐色の肌で金髪のガタイのいい男だった。
髪を書き上げると、刀を携えこう言った。
「仕切り直しだ、今度は顔面殴って良いぜ。尋常に勝負といこうぜ」
「ふーんアンタ以外と紳士じゃん。まぁ、あたしの知り合いに比べたらまだまだだけど」
「言ってくれるじゃねぇか、黒いねぇちゃん。元々こんな作戦に興味はなかったが、力づくでねぇちゃんをオとすことに決めたぜ」
「って、二人だけで何話してんのよ、私もいるんですけど」
「へぇ、金髪のねぇちゃんもしかして俺に気ぃあるカンジ?」
「冗談言うなっての。私には許嫁がいるんだから、第三学区最強の男がね」
「へ!?」
「マジか・・・ねぇちゃん倒せば、音無楓に挑めるって訳だ。こりゃ楽しみだぜ」
「アンタみたいなのがいるから私が掃除しなきゃいけないのよ・・・いいから来なさい実力の違いってやつを思い知らせてあげるッ!!!」
「ぬかせ、小娘」
稲妻が爆ぜる。
一閃の光が刹那に男に去来し、雷迅の一撃を喰らわせようとするが、骨の鎧に阻まれる。
「やれやれ、若い姿は舐められるのがイヤだな。これでも嬢ちゃん達よりは生きているんだが。これでも20代後半だぜ?敬えよ」
「嫌だねッ!!」
蕾楽が再び降りかかる。
目にも止まらぬ速度で雷ががしゃどくろに直撃した。
「へぇ?その速度流石は雷神と言ったところか。電気で筋肉と神経を強化してやがる。土御門様々だなぁそのカラダ。ますます欲しくなったぜ」
「!?・・・効いてない」
「いや、びりびり来てるぜ・・・。俺のフェチズムになぁ・・・だが」
「っ!?」
がしゃどくろが蕾楽に顔を近づけ額を付き合わせた。
「惚れてもいねぇ男にこんなに近づいちゃあダメだぜ?
「あああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
「蕾楽先輩!!!」
見ると、紫陽刀が脇腹に突き刺さっていた。
じわりじわりと血が滲んでいく。
そして、紫陽刀は血を吸い紫が赤紫へと変色していった。
「いいぜ・・・俺のフェチズムに突き刺さってくるこのカンジ・・・最高だ」
「蕾楽先輩から離れろぉおおおおおおおおおおお!!!!」
見かねた彩音ががしゃどくろに飛び掛かる。
しかし、それを止めたのは蕾楽だった。
「来るな!!」
「!?」
蕾楽は苦悶の表情から不敵に微笑んで見せた。
更に、歯を食いしばって紫陽刀を突き刺していく。
「ぐぁあああああああああああああ!!!!」
「なに?・・・まさかッ!!ぐはっ、あああああああああああああああああああああああああ!!?」
突如、がしゃどくろに電流が流れ始めた。
「く、くそっ離れない!?」
「アンタ知らないでしょ?電流が流れている間、全ての筋肉への脳からパルスは届かなくなる!アンタは自分から電気椅子に座っちまったてことよ!!」
「はぁ・・・、いいぜ・・・フェチズムに刺さるじゃねぇか・・・」
「肉を斬らせて骨を断つ、ってね。どう?痺れるでしょ?」
「はぁ・・・はぁ、悪くない・・・だが──」
突如がしゃどくろの身体から無数の骨が生え、地面に突き刺された。
必死の抵抗で、雷神の呪縛から逃れようとする。
「骨は電気を通さない・・・この程度すぐに抜け出して見せるさ」
「甘いッ!!──雷神よ、眼前の敵に
手に握られていた雷迅が宙に浮き始める。
周りの大地は鼓動し、空気は震撼する。
二人の頭上に太鼓を携え、雷迅を構える神が顕現した。
「──
「ちっ──」
「吹き飛べぇええええええええええええええええ!!!!」
「──
衝撃波が砂塵を生んだ。
轟音とパキパキという音が全てをかき消す空間に残ったのは満身創痍の両者だった。
「いやぁ・・・げほっごほっ・・・なかなかフェチズムにクる攻撃だったぜ」
「アンタ・・・あれでまともとか正気?」
「はっ、俺が正気に見えたなら眼科を紹介しようか?うちに百個の目を持ってるいい奴がいるぜ」
「おーこーとーわーり。で、どうする?降参するなら今のうちだけど?」
「おいおい、それはお互い様だろ。お前の脇腹に刺さった紫陽刀。止血こそされているが、そいつが血液を吸い上げて紅くなってる。早く輸血しなきゃ死ぬぜ?」
「ばーか、この程度じゃ私は死なないわよ」
「そうかい・・・っと時間切れだ・・・」
そう言うと、がしゃどくろは骨で編まれた翼を生やした。
ゆっくりと羽ばたき始め、がしゃどくろの身体が空へと昇る。
「ちょっと待ちなさいよ!!逃げる気!?」
「また遊ぼうぜ・・・それと、黒いねぇちゃん・・・俺のフェチズムに刺さる良いカラダだ・・・次は相手を頼む」
「っ~~!!?ナ、ナニ言ってんのよ!!ばっかじゃないの!?」
「その刀土産がわりに置いてくぜ・・・生憎俺は侍じゃないんでな」
あばよ、とがしゃどくろは飛び去ってしまった。
「それじゃ・・・こいつを壊しますか・・・まずは抜かないとね」
「ちょっとそれ抜いたら、蕾楽先輩が!!」
「私は大丈夫!!いっくよー」
躊躇なく勢い良く抜いた。
しかし、彩音の予想に反して、勢い良く血は噴き出さなかった。
雷神の能力。
『豊作』と『癒し』の力である。
『豊作』は契約者の体力を増幅し、『癒し』は回復をもたらす。
土御門は代々、雷神との契約によって農業を成功に導いた豪農家なのである。
「流石に血が足りないわね・・・誰か呼べる?」
「うーん・・・あっ」
「だ、大丈夫か!?」
「陽輝!!どこ行ってたのよ!!?」
「つーかそれどころじゃねぇだろ、保健委員会呼ぶからじっとしてろッ!!」
「いっ・・・あたしより、先輩!!雷神?ってのがあるとはいえ、あたしよりダメージ深刻だし」
「分かった、先輩こっちです。早く手当てを!」
「いや待って、こいつを先に破壊するぞ・・・きたれ雷神ッ!!」
再び雷神が顕現し、今度は紫陽花を粉砕した。
すると、陽輝が呼んだ保健委員会は校内ということもあり、すぐに到着した。
「すぐに保健室へ!!緊急事態警報に基づき、治癒魔術の使用許可が降りています。土御門副風紀委員長には輸血の準備、神崎さんには治癒ギプスを用意して!!妖怪に憑かれていた女子生徒は検査室へ!!」
「「はい!!」」
「陽輝・・・これ」
「なんだ!?」
「紫陽刀の欠片、図書館の華恋ちゃんに持ってってあげて。あそこならこれが何なのか調べられるはず・・・」
「分かった、任せとけ!!」
「頼んだわよ・・・それと」
「?」
「後でお見舞い来てよね、ハンバーガーでいいわ」
「分かったよ・・・おとなしく寝てろ」
「うん」
蕾楽、彩音を乗せたストレッチャーは、特別棟の保健室へと運ばれた。
そして、陽輝は託された紫陽刀の欠片を図書委員会に委託し、調査するために図書館へ向かう。
焦げ付いた匂いと、血に染まった紫陽花の欠片がまだ残ったグラウンドでの戦いは決着した。
しかし、また別の場所で戦いは発生し続けている。
******
『
『
『
『
「分かった、僕も向かおう。愛真、無理はするなよ」
『は、はい・・・了解です』
「各自、討伐を開始してくれ」
通信終了。
ふうと、一息を着き、楓は眼前の敵を一瞥した。
緑色の妖刀、
しかし、楓の眼には静止した世界も同然。
懸命に突撃してくるそれをかわし、すれ違いざまに風刃の柄を相手の鳩尾に音速で叩き込んだ。
相手は一瞬固まり、すぐに白目を剥いて膝から崩れ落ちた。
静かに泡を吹いて倒れた男から刀を奪い、風刃で粉々に叩き割った。
ここまで一切顔色変わらず、次の現場へ急行しようとしたその時。
黒い馬が駆けてきた。
圧倒的な黒、どこからどう見てもこの世のモノとは思えないそれに跨がっていたのは影灯だった。
「武装化、使えるようになってるじゃないか」
「ありがとうございます。あれ、もう終わりましたか?」
「ああ、それより愛真が朱命丸を発見した。近くの現場に急ぐぞ。お前の幻従は温存しておけ、風車で向かう」
「はい!!」
ナラクの馬が霧散した。
すると、自動操縦で風車が近付いてくる。
二人が乗り込むと、風車は愛真の戦場に向けて発進する。
激化と収束を繰り返す戦場と、別の場所で交錯する思考。
世界を巡る戦いへ向けたカウントダウンの秒針がカチリカチリと進んでいくのであった。
楽園十字計画 蕎麦兎 @rabbit_of_soba
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